
Photo by
shimomayu
桜のようなヒト
毎年のことなのに,桜の開花を心のどこかで待ち望んでしまう。
綺麗なだけではなく、
パッと咲いてパッと散る、その潔さは「真似したくても中々できない生き方」のような去り際のカッコ良さを感じるからだ。
先日、僕が憧れていたおじいちゃんが亡くなった。
皆 トニーさん、と呼んでいた。
「おじいちゃん」と呼ぶには元気すぎた89歳。
ジャズピアニストであり,シンガーでもある。
ライブの時はいつもタキシードをビシッと決めて、普段はカラフルなキャップを被り、バナナリパブリックをカジュアルに着こなす。
知り合いのカフェに1人でランチに来て、気がつくと隣の女子大生に声をかけて楽しそうに喋っている。
マウイ島が好きで、行くとゴルフ三昧。たまにホテルロビーにあるピアノを弾いて,周りのゲストに拍手をもらうことがあった、とか、僕にとってはとにかくカッコいい大人のトニーさんだった。
亡くなる2週間前の昼間,携帯にお電話をいただいた。
「またカフェに行きたいなぁ。もう少しコロナが落ち着いたらね。」
あと「来年 卒寿(90歳)のライブやろうと思ってるんだよ。」と。
その内容も話し方も,お元気この上なかったからこそ、
正直信じられない位驚いてしまった。
けれど,同時にカッコいい人は最期の最期 去り際まで素敵なんだなぁ、というところで腑に落ちた。
僕にとって,トニーさんは桜のように素敵なおとな満開で、パッと美しく散ったのである。
生前可愛がって下さり,本当に嬉しかったです。
心からご冥福をお祈りします。
ありがとうございます。
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