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やまだしす からだにきざむ

施術日が近づいてきて、私の心は意外にも穏やかだった。
前日もぐっすり寝て、当日もしっかり食べて。

依頼した彫師さんの元へ向かう。
打ち合わせはインスタのDMで済んでいる。
当日は大きさと位置、インクカラーのチェックのみで淡々と進む。

服を脱ぎ、消毒を受け、針が入る。

 痛い。

想像よりも強い痛みに「やっぱやめます」と言いそうになる。
そうだ、私、痛みに弱かったんだ。
若干の後悔がよぎるが、20分もすれば麻痺してタトゥーマシンの音を聞くうちに眠ってしまっていた。

また夢を見た。

テレビに彼が映っていて、あんまり上手じゃない歌を楽しそうに歌っている。
花*花の「あ~よかった」を歌っている。

「いやなんでテレビなん」と思わず突っ込んだところで「はい、終わりましたよ」と彫師に起こされた。

自分の身体に刻まれたソレは、真っ赤になった肌が額縁のように見えてとても美しかった。

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