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#491 「この経験を、これからの学校生活に生かしていきたいです。」

2023.12.11.
朝、勤務先の最寄駅の1駅前で降り、30分くらい歩いてみた。荷物が重くなければアリだな!天気が良くて荷物が少ない日はウォーキングチャレンジデーにしようかな。


題名に書いた言葉。
「この経験を、これからの学校生活に生かしていきたいです。」
なんの行事でも、終わりの言葉で出てきがちなので、耳にしたことがある人が多いと思う。

私はこの言葉があまり好きではない。

実際、行事の経験というのは、だいたいその後の学校生活、または人生に少なからず生きる。というか、子供たちが意識していないところで密かに生きていると言った方がいいような気がする。意識的に生かそうとしている子に、あまりお目にかかったことがない。

なので、その言葉を聞くと、

本当かいな?
どんな場面で、どんな感じに生かしていこうと思ってるのかね?
みんなが使ってる耳触りのいい言葉で締めくくろうとしてるだけでしょ?

などと、偏屈な私が心の中でツッコミを入れているのだ。


どうしてこの話を話題にしたのかと言えば、最近立て続けに学校行事を見に行く機会があった上に、Y@小学校教諭さんのこんな記事を読んだからである↓

EDUBASEの渡辺道治先生のセミナーについてまとめてくださっている記事だった。(渡辺先生の噂はSNSでよく聞くのだが、なぜか私はこの先生に羽生結弦選手っぽさを感じて、踏み込むことができずにいる。なぜだろう。)

話し手の言葉には3つの段階(①頭言葉、②胸言葉、③腹言葉)があるそうです。①頭言葉は言葉をただ話している状態、②胸言葉は言葉を覚えて説明しているような状態、③腹言葉は言葉がその人のものになっていて、相手に気持ちや思いが伝わる状態。話し手が言葉を研ぐという状態は③を目指してやっていくということ。

Y@小学校教諭さんの記事より


頭言葉、胸言葉、腹言葉。
なるほど。

多分、題名の言葉は頭言葉か胸言葉なのだと思う。以前から誰かが言っていて、自分もそうだなと思って使っているけれど、言葉がその人のものにはなっていなくて、気持ちや思いが乗っていない感じがする。


そんなことを考えていたら、もうひとつ思い出したエピソードがある。

初任校では、「委員会紹介集会」なるものがあった。委員会活動は5、6年生だけが行っているので、下の学年に活動が見えにくい。なので、年度の初めに、各委員会の新任委員長が体育館のステージに立ち、仕事内容を発表するというものだ。

全校の前で、一人で原稿を見ずに委員会紹介をする…ということで、委員長たちにとってはかなり緊張感がある集会である。

委員長の言葉にはテンプレートがあった。

「今年度、〇〇委員会の委員長になった、(名前)です。〇〇委員会では、〜〜や、〜〜といった仕事をしています。〇〇委員会からの皆さんへのお願いは、××です。よろしくお願いします。」

といった感じだ。各委員会の担当の先生に原稿をチェックしてもらい、しゃべる練習をして、本番に臨む。

ある年、4月にはどうしても集会の時間が取れず、ある程度仕事にも慣れた後期のスタートで紹介集会をすることになった。

その時、印象的なスピーチをした子がいた。

その子は、初任の年に2年生で担任した女の子だった。どちらかと言えば引っ込み思案で、手を挙げて積極的に発表するというイメージもない。
でもその子は委員長になり、ステージに立っていた。もう6年生か。委員長になるなんて、頑張っているんだな、と、その時点で感慨深いものがあった。

「〇〇委員会の委員長をしている、(名前)です。〇〇委員会は、〜〜などの仕事をする委員会なのですが、前期、私は委員長として上手に委員会を仕切ることができず、悩んでいました。ですが、△△をしてみたり、周りの人たちが協力してくれたりしたことで、少しずつ活動がうまくいくようになってきました。思い切って委員長をしてみて良かったなと今では思います。一生懸命やっていこうと思っているので、皆さんどうぞよろしくお願いします。」

みたいなことを確か言ったのだ。

意表をつかれて、私は涙ぐんでいた。話し方は多少辿々しかったけれど、彼女の本心の言葉だと分かった。

あれは、腹言葉だったんだろうな。


心からの言葉は、相手に響く。
自分が発する言葉もできる限りそうでありたいと思うし、子供たちが発する言葉もそういうところを価値付けていきたいな、と思ったのだった。


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