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#488 みんながトットちゃんを待っている

2023.12.8.
自分で言うのもなんだが、今週はよく働いている。私の「よく働く」は自分内相対評価なので、実際周りを見回すと、成績に追われる学校や個人面談が入っている学校などがあり、私よりも断然忙しそうである。
ということで、こっそり自分の働きっぷりを褒めてあげることにしよう。バスクチーズケーキ(チョコ)でもお食べ。

適正体重+4kgだということが発覚


週3時間教えている、3年生の国語での話。私は、毎回の授業の最初に本の読み聞かせをしている。題して「国語の連続小説」である。

今回のクラスでは、鉄板である「なんでもただ会社」からスタートして、「おさる日記」「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」と読み聞かせを進めてきた。
だが、最近は銭天堂が有名になりすぎて、もう知っているという子が増えてきた。だいたいどの題名を読んでも「ああ、あれかあ!」となる子がいるのだ。私の読み聞かせの意図として、ステキな本と出会ってほしいというものがあるので、銭天堂は数話紹介して次に行くことに。

そこで、「窓ぎわのトットちゃん」をスタートした。


★個人的に思う、トットちゃんを読むときの注意点

実は、連続小説の取り組みでは、時々物語がうまく子供たちにハマらないことがある。私は「ルドルフとイッパイアッテナ」がまさにそうだった。自分が最後まで読み終わっていなかったということも関係していただろうか、途中から子供たちの食いつきが悪くなり、一部の子から「もうその本いいや…」という声を聞いたときには落ち込んだものだ。

同期で連続小説をやっているSくんは、トットちゃんでその現象が起きたそうだ。一度そういう経験をすると、別のクラスになっても読むのを躊躇ってしまう…という気持ち、よく分かる。

私の思う、トットちゃん読み聞かせ時の注意点は「初回」だ。物語は、1年生だったトットちゃんが、その奔放さ故に数か月で小学校を退学させられるところから始まる。
担任していた女の先生がトットちゃんの様子についてお母さんに力説するシーン。そこをちょっと大袈裟に読むのが肝だと思っている。

さらに、この本は実話とはいえ戦争前から始まるので、子供たちには身近ではない言葉がたくさん出てくる。「ちんどん屋さん」「開け閉めできる机」などは簡単に説明を挟みながら読むべし。

イラスト素材より

転校してトモエ学園に到着してからは、トモエ学園の魅力に子供たちが食いつくこと間違いなしなので、最初だけは読み手が頑張るところかな、と思う。


★トットちゃんの魅力とは

この話、聞いている子供たちにとっては「トットちゃんの奔放さや一生懸命さ」に親しみを覚えるだろうし、「トモエ学園の教育方法」について驚くだろうし、「トモエ学園の子供たちのやり取り」にクスッと笑ってしまうことだろう。様々な魅力がある。

そして、読んでいる大人にとっても考えさせられることがたくさんある。
◆電車の教室
◆自由進度学習(その日やることが朝全部提示され、どれからやってもOK)
◆体験から学ぶ、お散歩
◆水泳やリトミックの扱い
◆子供たちの興味を大切に
◆ハンディキャップをもつ子達
こういうのいいなと思う取り組みや、今は絶対無理ねーと思うもの。一周回ってここが最先端なのではとも思えることも。

土台には、校長先生の深い愛情があるところが、本当にステキだ。


★意外な反応

窓ぎわのトットちゃんの文庫本は、字も小さいし、言葉もちょっと難しいし、3年生でもかなりの読書好きでないと読まないのではないかと思う。
なので、全然知らなかったという子達は読み聞かせを聞いて「おもしれー!」となる。

大部分がそうなのだが、これを読み始めてから、クラスの大人しいタイプの女の子が、授業終わりに声をかけてくれることが2〜3回あった。

「家に、窓ぎわのトットちゃん、あります。」
「私、その本読んだことあります。」
「プールの話は読まないでください!だって、裸で泳いだって書いてあるから!」

こういう声かけ、これまでの本ではあまりなかったので、意外な収穫だなと思っている。


★そんなわけで

今の3年生には、トットちゃんは大人気だ。恐らく私の授業より、みんなトットちゃんを待っている。笑
「ちんどん屋さーん!(大声)」
と叫ぶ子が何人も出たこともあるので、最近では読む前に「静かに聞くこと」「読み終わったら切り替えること」を約束している。

続きが知りたいから本借りてみようかなと言っている子、映画のCM見たよと教えてくれる子、などなど。続編も出て盛り上がっているようなので、トモエの温かい愛情がこれからもみんなに伝わるといいなと思っている。


「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」


#教員エッセイ
#窓ぎわのトットちゃん
#読み聞かせ
#国語の連続小説
#本当はいい子

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