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人材紹介を使わない会社が、これから出てくるだろうなという話

最近、いくつかの会社、特にまだまだ小さなスタートアップにおいて、人材紹介会社を経由した採用を抑制させているケースが増えてきました。

そもそも、スタートアップならお金もまだ潤沢にないので当たり前かと思う人も多いと思いますが、スタートアップこそ、採用は超重要課題。そのため、(会社によっては)大手では考えられないくらい、一人当たりの採用にお金をかけている現実があります。

しかし、数年前に成功報酬35%が業界標準になったと思ったら、今や40%を提示する人材紹介会社も増え(エグゼクティブではない普通のポジションで、かつ今までとサービスになんら違いのない)、消費税up(2%up)より大きなインパクト(5%up)を与えていくようにもなりました。


◼️人材紹介会社を使った採用をしない

今後、はっきりとこう明言する会社も出てくると思います。

10数年前、外資系ITベンダの日本オラクルが人材紹介会社を経由した採用は行わないという戦略をとったことは有名です。2009年というと、ちょうどリーマンショックで、日本の経済情勢がどん底の頃でした。

そのため、今まで動かなかった人材も一気に転職市場に流れてくるなど、ダイレクトに採用がしやすかった背景もありますが、ここまで劇的にやった会社は見たことがありません。

2009年頃は、ほんとに大変でした。

私自身も2008年から外資系ITベンダにいたため、グローバルで採用はストップ。一部Openになったポジションも、人材紹介会社からの採用は承認がおりず、一部の役員層の採用は除き、社内異動で埋めるか、ダイレクトで採用するかの二択しか残されていなかったのです。

私が入社する前は、人材紹介会社経由での採用は、全ポジションにおける70-80%を占めており、2007年頃には「人材紹介会社からの採用をもっと増やします!」なんて前担当者がいってしまったのもあり、人材紹介会社は使うことができないのに、毎日毎日売り込みが多かったのが懐かしいです。


◼️しかし、今は人材不足の時代では?

東京五輪後の景気がどうなるかおいておいて、これから日本は労働人口が大きく減り、特にITにおいては、より人材不足の状況に陥っていきます。いきなり、リーマンショックの時のように、世の中に求職者が溢れることはあまり想定できません。

そして何よりも、いくら人口が減ったとしても、採用意欲の高い会社にとっては関係ないのです。

優秀な人材の採用が、事業を大きく成長できるかどうかの成否を握っているので、経営者としてもあらゆる手段を講じて採用を行っていくはずです。そのうちの一つとして、人材紹介会社を使うのは至極真っ当な戦略です。

ですから、例え40%のFeeになったとしても今まで以上に使う会社もあるでしょうし、人材紹介会社からの採用はしないと明言する会社は、実際には限られてくるでしょう。


しかし、使い方は変わるかもしれません。

(以前からそうだったという話はおいておいて)かつては人材紹介を通じて紹介された候補者は、採用要件を満たした候補者だったはずで、自分たちで候補者を集めるより効率が良く、人事の工数削減に寄与していたはずが、そうではなくなってきているからです。

それはリファラル採用の浸透が要因です。

リファラル経由の場合は応募から入社までのパーセンテージがエージェント経由の約10倍となっており、よりLINEにフィットする方と出会える可能性が高くなっています。

これはLINEのリファラル採用に限った話ですが、10倍はインパクトあります。人材紹介が100名のうち2-3名、リファラルが20-30名というところでしょうか。いずれにせよ、より採用要件を満たしているのはリファラルであることは間違いありません。

私自身、ここ2-3年だけに限定しても、人材紹介会社経由はリファラルやWantedlyよりも採用に至る率が低かったですし、10倍は偽りない数字だと実感しています。であるならば、リファラルをより推進するため、紹介者に報奨金を渡すだけではなく、リファラルを通じて入ってきた人にもメリット(入社お祝い金30万)を提供するというのは理にかなっています。

友人・知人の方をより紹介しやすくなるように、リファラル経由で入社された正社員の方には入社お祝い金(30万円)を支給するほか、個室がついているかどうかなど、「友人・知人の方と会食する際に利用できそうなお店リスト」を社内wikiで公開するなどのサポートをしています。加えて、自分のチーム以外の求人ポジションにより紹介しやすくなるような仕組みづくりや、リファラルや採用広報に関する社内勉強会なども推進しています。


候補者にスカウトメールを送るだけではなく、採用広報、マーケティングなど、採用担当の業務が増え続ける昨今においては、メインはリファラルやダイレクトで採用を進め、一部の難しいポジションだけお願いする、という本来の方向にシフトしていくのでは?と考えています。


◼️35%が高いか低いかの議論

少し前に、Twitterでやたらと人材紹介をディスる投稿がありました。あれってなんですかね?そんなに嫌なことされたんですかね笑?

それは置いておいて、最後は「成功報酬35%が高いか低いか」の議論です。

INST石野さんがズバッと切り込んでます。

よくぞいってくれました!という感じで非常にスッキリする内容のものでした。

高いか低いかを決めるのは払う側。それよりも、リクルートに踊らされて、人事の人たちはサボってないかい?一人の候補者を口説けないのはサボってるのと同じ。優秀な人がいれば解決するっていう考え方改めないと、これからの人口減に対応できないぞ。

と要約するとこんな話。

最近は、ビズリーチやリクナビなど、人材紹介会社と企業は同じ求職者DBを使うことが多いです。同じDBなのに人材紹介を使うと35%になるなら、もっと人事は頑張らないといかんです。スカウトの返信率は、企業側の方が圧倒的に高いのだから。

今後、人事も採用代行やAI等を用いた手法に変わっていくと思いますが、人材紹介会社には、人材紹介会社にしかできないサービスを提供して欲しいですね。

まぁ、でも40%は高いですよね...。

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