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景気の波と連動する人材採用

好景気に少し陰りが見えてきました。

11/16 日経新聞においても、(これは日米欧の自動車大手の話ですが)自動車業界で人員削減が進んでいることが発表されていますし、リーマン時に迫るというのは中々のインパクトです。

特に、厳しい状況になりつつあるのは製造業。
米中問題があるとはいえ、日本は金融よりも製造業に強い国。東京五輪後の経済に少なからず影響があるのではないかと、心配にさせています。

さて、なぜ冒頭で人員削減に関する記事を取り上げていたかというと、ちょうど人材会社の四半期報告書がでたこともあり、今回は「景気の波と連動する人材採用」について書きたいと思っていたからです。


◼︎景気の波と採用の波は連動する

私は今まで人事として十数年経験してきましたが、
その中で、特に実感していることは、

景気の波と採用の波は連動している。
ただし、それは波長を合わせて動くのではなく、
景気の波は、"採用の波の後にやってくる"。

ということです。

景気には、必ず波があります。

需要を供給が上回れば好景気になるし、逆だと不景気です。理論上はこの通りで本来は予測できるはずなのですが、何年ごとに波が来るのかはわかりませんし、企業の設備投資や在庫、建設等が絡み、かつ数十年に一度の技術革新なども起こってくるので、この好景気と不景気の景気循環は読むことができません。ただし、必ずこのサイクルはやってきます。

そして、先ほどの話。
景気の波は採用の波の後にやってきます。

具体的にいえば、
(欠員補充ではなく人員増加のための)採用を積極的に行い、急拡大を図っていく企業が増えていけば、当然のごとく景気はよくなっていきます。モノやサービスが売れていくと人手が必要になり、人手が増えるともっと売れていくという構造です。そして、先の需要が見えていても、採用には時間がかかりますし(選考から入社まで早くとも1ヶ月は通常かかる)、教育や給与支払いのことを考えても市場に影響が出るのは早くとも数ヶ月後です。

過去様々な企業を見ても、ただ闇雲に採用をするのではなく、適切な人材を、ある程度先を見据えて採用していっている企業は強く、仮に時機が早かったとしても、採用を進めている企業は、その後大きく成長しています。

逆に、
採用を抑制し始めてくると、景気は悪くなっていきます。「◯◯人の人員削減を発表」とかわかりやすい文言で出てくるのは、完全に不景気に入ったタイミング。特に大手は、労組との関係もあり、人員削減は最終手段です。

そのため、新卒採用数を減らしたり、欠員補充しなかったり、事業拡大のための新規採用が行われないようになるのが第一歩。先の需要が見えないから、採用を控える。本来は、米国みたくレイオフできるのが一番なんでしょうけど、日本は解雇規制が厳しく、労組もあり中々厳しいのです...。
外資系みたく、採用はジェットコースターみたいに、急に採用し始めたり、急に完全ストップしたりと乱高下を繰り返すところはあるものの、一般的にはまずは抑制から始まります。

イメージは下記の通り、
景気の波の少し前に採用の波が訪れるイメージです。
(ただしこの波の差は、業界や職種によって1ヶ月にも1年にもなります)

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◼︎大手人材紹介会社の報告書

先日、リクルート、パーソル、JACの大手人材紹介会社が四半期の報告書を出していましたが、全体的には引き続き人手不足が続くものの、今まで求人を引っ張ってきた製造業の求人数が、昨年、前月と比べても少しずつ落ちていっている状況が発表されていました。転職市場には製造業出身の人が溢れ出してきているのに、求人数は減少傾向。

一方で引き続き伸びているのが、メディカルとITで、金融もFinTech関連で昨年のコインチェック問題から立ち直ってきている感もありました。この大手人材会社から出された資料を見ても、全体的には人手不足は続いており、今後も需要はありそうです。

ただ、製造業をはじめとして、昨年に比べて熱量が冷めてきているのが現状で、日本の超大手製造業で何か起これば、事態は急変する可能性も秘めています。

*参考 JACリクルートメントの四半期報告書


◼︎例外の職種

今までのは業界の話。
職種に関しては、一部例外があります。

まずエンジニア。特にWebエンジニアは超がつく激戦区で、人手不足による例外です。数ヶ月採用活動しても採れなかったという企業も多く、自動車業界もIT系エンジニアを積極的に募集しており、全ての業種で不足は続くでしょう。

また、インサイドセールス、カスタマーサクセスなどは、今まではなかった比較的新しい職種。Saasビジネスが広がっていくにあたり、生まれてきたポジションであるがゆえに、ここも当分不足は続きます。

*dodaのレポート見ても、引き続き技術系は不足が止まらず。
 事務・アシスタント系が極端に低いのは、求人数と求職者数が合っていない証拠。

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そう考えると、引き続きSaas関連の企業は伸びるよなぁ。

今回は以上です。

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