毒キノコがあってもいい

 家族でも仲間でもない見知らぬ人を介抱したことで、弟と議論になった。

「絶対に殺せ。そいつは悪い奴で、武器を隠し持っているかもしれない」
「そんな酷いこと言わないで。知らない人でも放っておけなかった」
「じゃあお前は弟に毒キノコを触ってほしいか」
「絶対に触ってほしくないけど、毒キノコは消えるべきとも思わない。毒キノコが消えたら、それを必要としている誰かが苦しむ」
「どういうことだ」
「昔、毒キノコについて研究した人がいた。その人は毒キノコの危険を理解してしっかり準備を整えた上で、毒キノコのことを詳しく調べた。その結果、毒キノコの良い特徴を発見して新しい薬が作られた。だから私たちも慎重に、しばらくその人の様子を見守ろうよ」

おわり

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