タイトル未定
この物語のタイトルは、「タイトル未定」。タイトル未定だから「タイトル未定」。
なぜ「タイトル未定」なのかって?
彼は、まだ始まっていないから。そして、まだ生まれていないから。
人間だって、生まれる前はまだ名前が付いていないだろう?
タイトルは、物語の名前なんだ。
それだけじゃない。彼は、これから何をするかもまだ決めていない。
物語には目的があるだろう。少年が成長したり、仲間と冒険したり、最後に悪い奴を倒すとか。
人間の名前には、その人の使命や性格が込められているというけど、それは物語も同じ。
タイトルは、物語の目的でもあるんだ。
今タイトルのある物語はみんな、タイトル未定だったんだよ。
でも、みんなそれぞれの目的を見つけて、名前を与えられて、この世に生まれてくるんだ。
彼もまた、自分なりの目的を見つけては新しい名前を与えられ、この世に生まれてくるだろう。
つまり「タイトル未定」ではない、新しい物語に生まれ変わるのだ。
……ところが、思わぬ出来事が起こった。
彼は無事生まれてきたのだ。むしろ、ここからが問題だった。
彼のタイトルが「タイトル未定」だったのだ。もうそう決まっている。
もう一度言うが、「タイトル未定」という、立派な名前だ。
彼の生まれた目的は、あることを教えるためだった。
__すべての存在は最初、名無しだった。
おわり
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