ありがちスタート 人間界生活
こことは別の世界、魔法の国で双子の姫が生まれた。双子の姫はすくすくと元気に美しく育った。
「次は何して遊ぼうかしら?」
片方は、優しくしっかり者の姉。
「じゃあ外遊びしようよ!」
もう片方は、行動派の元気旺盛な妹だった。
「追いかけっこに、かくれんぼもしようよ!」
「いいわね、一緒にやりましょう」
何もかも正反対の二人は時々喧嘩もするが、普段は仲良しで、いつも一緒に遊んでいる。そしてどちらも、将来立派な女王になることを目指して、毎日勉強や習いごとを欠かさなかった。
そんなある日のこと。二人は母である女王に呼ばれ、玉座の間へ行った。玉座には女王が座って待っていた。
「ごきげんよう、お母様」
二人はそろって、礼儀正しくあいさつした。
「ごきげんよう」
女王は優しく微笑んで、あいさつを返すと、二人の娘の名を呼び、二人を呼んだ理由を話した。
「実は、二人に大事な話があるのです」
二人に関わる大事な話と聞いて、二人は首をかしげつつ、女王の話を聞く。
「この国は代々女王によって治められ、長い間平和が続いていました。しかし、最近では私も年を取り、力も弱くなってきています。そこで、二人には新しい女王になるための試験を受けてもらわなければなりません」
その試験の内容は、人間界で魔法を使って一番活躍した方が、女王になる資格を得られる、というものだった。
さらに女王は、二人の人間界生活を監視し支援するため、お目付役の妖精もつけた。
「ごきげんよう、お姫様」
小さな妖精は特徴的な話し方をしつつも、礼儀正しく名乗り、二人にあいさつした。
「ごきげんよう、妖精さん」
二人もそろって、礼儀正しくあいさつした。女王は続けた。
「人間界で生活するための手続きも、すべて妖精が代わりに行ってくれます」
説明がすべて終わり、二人は女王からそれぞれ魔法の宝石を渡される。どちらの宝石も美しく輝きを放っていた。
「二人とも、気をつけて行くのよ」
最後に女王が言うと、二人の後ろに魔法の門が現れる。
「はーい、お母様!」
「行ってきます」
双子の姫と妖精は、魔法の門をくぐり人間界へ行った。二人の旅立ちを、女王はそっと穏やかに見守った。
「二人とも、見守っていますよ」
こうして双子の姫は、人間界での慣れない生活を送りつつ、新女王の座をかけた戦いを繰り広げることとなる。
「女王様になるのは、私のほうよ」
「こっちこそ、負けないよ!」
おわり
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