善意でできた道

◆善意でできた道

 上級者向けの危険な場所を目指していた旅人は魔法使いに出会う。旅人に「安全な道を作ってほしい」とお願いされた魔法使いは自分の心から善意を取り出し、頑丈な道に変えた。旅人は早速道の上を歩く。道の上は魔法のバリアで涼しく快適で安全だったが、道を抜けた時が大変だった。道を抜けた途端、急に凄まじい熱気を感じた。今までずっと快適だったので、あまりの温度差に体力を奪われ旅人は倒れてしまう。気づいた他の旅人が助けようとしたが、もう遅かった。

◆すべては善意から生まれた

 この話は本当にあった話だ、と祖父は語る。話の主人公の旅人を助けた別の旅人は、若い頃の祖父自身だった。

 人も動物も星も、この宇宙のすべてのものは、善意から生み出された。その善意を使ってすべてを生み出した魔法使いこそが、私たちが『神』と呼ぶ存在だという。神は自分の心から善意を取り出すことで、どんなモノも一から、いくらでも何でもつくれる。何でもつくれる、ということは天国はもちろん、地獄もつくれるということ。人生で苦しいことがあるのは、そのためだ。

 つまり、話の魔法使いの正体は神で、旅人への善意ゆえに地獄への道をつくったのだ。

 最後に祖父は大事な事を教えた。

「地獄への道は一つだけではない。身近なところにも、数え切れないぐらいある。それは場所とは限らない。お前の好きな物かもしれないし、近所の優しい人かもしれない。お前の好きなプールだって、地獄への道にもなるし、また、天国への道にもなるだろう」

地獄への道は善意で舗装されている

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