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人生100年/定年70歳/成人18歳

人生100年時代という言葉をいろんなところで見聞きします。
でも、本当かなぁと思います。
健康の基本は食事と運動だと思いますが、たとえ医療が発達したとしても、添加物だらけの食事をしてたいした運動もしない私たちが、昔の質素な暮らしをして100歳を迎えた方より、健康に長生きできるとは思えません。
長生きできてせいぜい80歳というところでしょうか。
なので、人生100年に向けた備えや人生プランなんて必要なのかな、と思います。
人生100年という言葉を掲げて、健康で長生きできる将来をイメージさせた上で、結局「もっと働きましょう」と言っているんでしょうね。

定年が延びるのも同じだと思います。
2013年に改定された「高年齢者雇用安定法」を受け、2025年には定年65歳が義務化となります。2021年に施行された「改正高齢者雇用安定法」では、70歳まで定年を引き上げ雇用を継続するという努力義務が設けられたそうですが、これも10年後には義務化されるかもしれません。

一方で、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
成人になると、親の同意を得なくても、自分の意志で雇用契約やお金に関わる契約ができるようになります。18歳から自分の意志で働くことが可能になり、親の身分証明証なく銀行口座を開設し、クレジットカードを契約できるようになります。18歳から働くことを選ぶ人がどれだけ増えるかわかりませんが、理論的には「働いてお金を使える」人の枠が伸びた形となります。働く人が増えると、国にとっては税収が増えるというメリットがあります。現状、国民年金の納税は20歳以上のまま変わらないようですが、いずれ「改正」され18歳から支払うことになるかもしれません。

思うままにいろいろ書いてきましたが、いずれも「労働人口を増やして税収を得る」施策のようです。少子化で人口が増えないから、人生100年というスローガンを掲げつつ、ボリュームゾーンとなる高齢者の労働期間を伸ばし、一方で、若者の方にもこれまでより早く働くことができる枠を設ける。

少子高齢化社会では年金制度が成り立たないので、なんとか労働人口を増やそうとしているのはよくわかります。が、根本的な少子化対策への取り組みに、もっと注力すべきではないかと思います。子供を産む・産まないは個人の考えなのでそこに介入することはできませんが、子供を産みたいと思った人や、子供を見守ったり育成したりする人への支援を、もっと手厚くした方が良いと思います。

一方で、そうした環境が整ったからといって子供を産む人が増えるかというと、一筋縄ではいかない気がします。頭に浮かんだのは養老孟司さんのお話で、確か都市と子供は相容れないというもの。都市は、「自然という思い通りにならないもの」を排除して人間の都合の良いように作られたものですが、子供こそ「自然そのもの」であり、「思い通りにならないもの」だということです。

都市は、「自分のやりたいことをやる、思い通りにする」という意味で、「自己実現」とは相性が良いのかもしれません。けれども、自己実現と子育ての両立って結構難しいんですよね。子育ては、当たり前のことですが自分の思い通りにならないことばかりですから。もちろん、都市で暮らしている人の中でも、たくさんの子供を育てている人もいます。なので一概には言えませんが、それでも、都市が子供の増えづらい環境であるとは言えそうです。じゃあみんな田舎で暮らせば子供が増えるの?と言うと、きっとそんなこともないと思います。

そう考えると、「これが普通」なのかもしれません。過去と比べると、どうしても「生まれてくる子供の数が少ない」となりますが、今の日本ではこれが普通。少子化が問題なのではなく、「労働人口が多かった過去と同様の経済成長力のあ国をめざし、そのサービスレベルを維持しようとすること」が問題なのかもしれません。経済成長という名のもと、人間の欲望を叶える方向に突っ走ってきた社会が、人口減少に直面して、その姿を見直さざるを得なくなっているんですね。

ここでまた思い浮かぶのが、世界一貧しい大統領として知られている、ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領の言葉です。環境や開発について議論する国連会議でのスピーチで、環境問題の根本原因は政治にあって、環境問題を引き起こしている現在の社会モデル、つまり、現在の消費社会をコントロールしなければならないということをおっしゃっています。改めて見直さなければならないのは、私たちの生活スタイルだと。

「北の国から」で有名な倉本聰さんも、「貧幸」を唱えて話題になっているようですね。高齢者に向けて発信されているメッセージのようですが、若い世代であっても考えなければならないと思います。なかなか難しいですが、必要なのは覚悟かもしれません。

少子化を問題にしてきましたが、人口が減少するといっても、ずっと減少してゼロになるわけでもないと思います。どこかで、これ以上減りもせず、増えもしないというラインに落ち着くような気もします。そのラインが、この国の適正サイズなのかもしれません。ここまで、「これが問題なのでは?」「いや、こっちか?」などと色々考えてきましたが、優秀なデザイナーの方なら、視点を変えていずれの問題も一挙に解決するような方法を見つけてくれるかもしれません。

政治問題の解決に取り組むメンバーに必要なのは、デザイナーだったりして。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!