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第11話:「育児が過酷」って誰か教えてよ!本音をもらすことで救われる人がいる

子どもが生まれるまで、お母さんは眠れないし食べられないし、歯も磨けないし、お風呂に入っても大して洗えないし、お風呂上りは髪も体も冷え切ってからじゃないと自分を拭くこともできないなんて、知らなかった。
腕も腰も常に死んでるし、やりたいこと(そんな大したことじゃない、ちょっとお茶が飲みたいとかいまLINE返信しちゃいたいとか)ができないなんて、想像できなかった。

つい数日前まではわたしのお腹の中にいて、わたしは大きなお腹を抱えながらも機動性にあふれ自由という権利を行使できていたのに。
一度体外に出してしまったら最後、数年間は囚われの身になるなんて。
産後はなんだかだまされた気分だった。

子どもたちが赤ちゃんだった頃、わたしの近くには頼れる人が誰もいなかったから、めくるめく「やりたいことがこれっぽっちもできない」のオンパレードに
「ちょっとした息抜きを」とか「ちょっと贅沢なプチデザートで自分にごほうび」なんて小手先のことでは1ッッミリも太刀打ちできず、
上の子が生後4か月の時、夫が帰って来るやいなや無言で家を単身飛び出し、夜中車をかっ飛ばしたりしていた。

誰もこんなこと、教えてくれなかった。知っていたはずの母さえも姉さえも。
姉に、どうして前もって教えてくれなかったの!と迫ったら「言ったら産みたくなくなると思って」と言っていた。
そして「私だって知りたかった」と嘆いていた。

どうして、こんなにつらいことが伝わってこないんだろう?

過酷さが伝わるようになった

でも時代は変わって育児マンガが流行るようになり、育児の壮絶さを時にコミカルに伝えてくれる人が増えた。
これはすばらしいことだと思う。
こうやってわかりやすくおもしろく、率直に伝えてくれる人がいるから、今は産む前からずいぶん心の準備ができるんじゃないかと思う。

もっと、「嫌だ!」「大変だ!」「こうしたらうまくいった!」「わたしを支えてくれたこんな人、神!」がシェアされてほしい。
そうすることが、後に続く人にとっての知恵となる。

見て見ぬふり=加害者?

ちょっと次元が違うかもしれないけれど、この記事にとても共感している。

セクハラという問題に見て見ぬふりをすることは、加害者と同じことをしているのでは?と感じた社員が、思い切って声を上げた話。

朝日新聞系列“withニュース”のインタビュー記事で
「かつて女性は参政権もない時代から、文字どおり血のにじむような努力で先輩たちが作ってきてくれた道に、まだ岩とかつまずきやすい石ころとか残ってるのに、こういうのはうまく飛べばいいからって、次の世代に言うのってなんか違うなって。40歳を前にようやく思い始めたのです。」
とご本人が語っている。

次の世代の人に同じ問題を無言で先送りするのではなく、せめて現状を引き継ぎするとか(↑の方はそれすら加害者に加担すると言ってるけど)、一緒に解決策を考えるとか、自分が前世代となったからこそ矢面に立つとか、そういうことができるようになりたい。

語られた本音に共感することがファーストステップ

だからわたしが友人と育児を語るときは、「やってらんない」とか「わたしだって人間なのに」とか、わりとボロクソに言う。(子どもの前では言わない。上っ面だけのママ友の前でも言わない。)
そうするとその友人の子がまだ小さい場合、お母さん=聖職者かのように思っていることが多いから、わたしのあけすけな発言に最初びっくりするけれど、「そうか、わたしだって“やってらんない”と思っていいのか!」と開眼する。

脈々と受け継がれてきたことだから「当たり前、自分にはどうにもできない」とがまんしたりあきらめたりしないで、自分のモヤつきやいらだちにすぐに気づくこと。
これってストレスコントロールの第一歩のような気がしている。
すぐに気づくためには、まわりも同じように思っている人がいるということを知ることが、いちばんだ。
#metoo とか#kutoo とか、すごくいい。
だからわたしも、育児って過酷!と声高に言い続ける。
違和感を覚える人が増えれば、それは変化のための根拠になると思う。

共感したら、共動する

そしてこれ、3分弱の動画なのだけど、ムーブメントが起こる仕組みについて解説している。(日本語字幕付き)

たったひとりの行動が大勢を巻き込むムーブメントになるためには、その人に共感し共動する「最初のフォロワー」がとても大事、という話。
ひとりで行動を起こすことは難しいけれど、フォロワーになることはそんなに難しくない。

芸人さんがスベっても、まわりがおいしくしてあげることができる。
最初の勇気ある人を「勇者」とするのか「敗者」とするのかはわたしたち次第。
思い切って殻をやぶる人にもなりたいけれど、殻をやぶった人を支えられるようにもなろうと思う。

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