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少年社中 第37回公演『天守物語』

少年社中 第37回公演『天守物語』

原作 泉鏡花
脚色・演出 毛利亘宏

@紀伊国屋ホール
2019/08/02〜08/12

8/8 夜公演を見た!

いつか行こういこうと思いつついけていなかった少年社中。生で見るのは初めて。

ラストで点と点が線で繋がってサァーーっと目の前が開けるようなつくりの舞台は、そのガツーンと拳で殴られたような衝撃が癖になるのだけど、この作品もそんな印象。あまりにラストの畳み掛けが鮮烈。

死んでしまったら終わりじゃ、生きろ!狂えど生きろ!踊れ!狂え!っていうラスト。そこまででずっと描かれてきた、人々の醜いほどに生にしがみつく生き様を象徴しるようで。弱いながらに人間は必死に生きておりますという言葉がとても印象的だった。

祝祭的な狂喜乱舞の饗宴が本当に美しくて。

出演者20名あまりが舞台上で狂喜乱舞する姿は圧巻。人間のエネルギーの凄まじさ。素敵だった。


にしても本当に役者さん方が素敵だったんだ。

納谷くん
見るたびに表現の完成度が高すぎて震える役者さん。なんだかんだ年末の梅棒『超!ピカイチ』から数えて、『SPECTER』『舞台刀剣乱舞』慈伝の東京公演と続いて短期間で4作品見てる不思議。本当に体の使い方がうまくて毎度のことながら魅せられてしまう。今作では紛れも無い鷹としてそこに存在した。すごい...どうしてあんなにも説得力ある鷹としての演技ができるんだ...

松永有紗ちゃん
『四月は君の嘘』ぶりに拝見。同い年という事実に震えてしまうね......納谷くんとともに鳥の役な訳だけど、文句なしの説得力。ひらりと翻る仕草が好きだった。「辛いよ」の、あの不安を掻き立てられるような耳をつんざく台詞回しがまだ残ってる。人ならざる違和感をまとえるって何事

特にこの二人が印象的だったかなあ。他の人も...って思うと本当にきりがないんだよな......あの舞台上にいた誰しもが、確かにそこで生きていて。リアリティがあって。じゃ無いと成立しない作品。

世の中にはこんなにいっぱいバケモンみたいな役者がおるんやなあ....


ただ、全編通して楽しめたかというとそうでもなくて。これは本当に私個人の問題でしかないのだけど。

恋愛というものに縁が全くない人生を送ってきたものだから、印象として、物語に恋愛が絡むと物語が生々しさを失って完全なる異世界の話、ファンタジーに成り代わってしまう。心の距離感がすごく遠く遠くなってしまう。観劇するときの私の楽しみ方として、自分に引き寄せて共鳴できる部分を探す面ってとても大きいなと思っていて。だから恋愛、とくに男女間の性愛が絡んでくると困るんだよね。感情移入のしようがなくて。恋愛の話でも、性愛が絡まずただただ実直で歪な愛の向け方を描いていたゴジゲン『君が君で君を君を君を』はすごく受け入れやすかったのだけど。今回はちょっと難しかったな......

だからラストで普遍的な人間の生き方の話が入ってきて救われた。

人生経験が足りないなあ。

#観劇録 #少年社中 #泉鏡花 #演劇感想 #舞台感想

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