見出し画像

たとえひと夏だとしても。


『今年は全然夏感じてないな〜』

『じゃあ、一緒に夏っぽいことする?』



それが彼からのお誘いの言葉。

彼は、最近少し、気になっている人。



第一印象は特になし。
正直、惹かれる何かはなかった。


初めて会話を交わした日、その印象はガラッと一変した。
好きな言葉を選ぶ人、話し方が落ち着くな、今まで出会ったことがないタイプの人だな。

もっと仲良くなってみたいと思った矢先の夏の誘いだった。


彼が選んだお洒落なお店でご飯とお酒を楽しみ、
少し酔いが回ってきたかなというところでお店を出て、
花火と缶酎ハイを買って公園まで。

その日は真夏日にしてはいつもより涼しくて、
それもまた非日常を感じさせた。



心がふわふわとする、久方ぶりの感覚。



夏っぽいことに浮ついているだけなのではないかと心配にはなったが、
とてもとても素敵な人だと思った。


自分軸をちゃんと持っていてしっかりしているところ、
興味の幅が広く沢山のことを知っているところ、
さらっとした自然な気遣いができるところ、
手持ち花火を上に向けちゃうお茶目なところ、


今日で彼の「あ、ここ好きだな」と思うところがたくさん見つかった。

彼も私のそんなところを見つけてくれているといい。



夏は嫌いだった。

今まで恋人と過ごした想い出もあまりなかった。

でも彼の一言で、私の夏に色彩が溢れたような気がした。

ジメジメして身を焦がす暑さも悪くないなと思える今年の夏を、私は目一杯楽しまねばと感じた夜だった。




柚。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?