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【アニメ感想】オタク、お前もジュリエッタにならないか【ヒロインたるもの!〜嫌われヒロインと内緒のお仕事〜】

""""""全力な君がかわいい""""""

私はヒロインたるものを見て「LIP×LIP」のオタクとなった。このアニメは本当に素晴らしい。今期このアニメを見ていない人類がいるという事実が信じがたい。なれば俺が救ねばならぬ。故に布教のため立ち上がった次第である。ノブレス・オブリージュというやつだ。
だからとりあえず5話まで見てきてほしい。本編の話に触れずして魅力を説明できる人間ではないのでがっつりネタバレも含むからだ。

このアニメは「HoneyWorks」の楽曲を原作としたオリジナルアニメである。
私はHoneyWorksのことをよく知らない。なんならLIP×LIPのこともアニメで初めて知った。だからこそ安心してほしい。なにも知らなくともちゃんとこのコンテンツのオタクになれるのだから。それを伝えたい。
ちなみに「ジュリエッタ」とはLIP×LIPのファンを指す言葉である。お前もジュリエッタになるのだよ、俺のようにな。

メインの3人

主人公。嫌な部分がなく素直に応援したくなる子。こういった乙女ゲーの主人公み溢れるハイパーいい子からしか接種できない栄養を存分に満たしてくれる。
めちゃくちゃかっこいい。喧嘩してる時のキレ声がガチで怖くて好き。さりげなくでかい感情を吐き出す天才。
めちゃくちゃかっこいい。この手の童顔系毒舌生意気男だけが放つことのできるこいつめっちゃ人気あるだろ感を常に醸し出している。俺も好き。

これは人間関係の変化とその過程が熱いアイドルアニメ

まずこのアニメはごりごりの恋愛アニメではない。とはいえ確実にラブコメというジャンルではある。だが、それ以上に熱く燃えるアイドルアニメなのだ。
アイドルアニメではあるがLIP×LIPの2人のサクセスストーリーがメインではない。1話の時点で2人はある程度アイドルとしての成功を手にしている。故にこそ2人の人間関係、ひいてはひよりとの関わりにて生じた変化にスポットが当たる。
アイドルとしてはうまくやっているがそれ以外では激烈に仲の悪い2人がビジネスパートナーでなく真のパートナーになっていく過程が熱い。人間関係、そして感情の変化があまりにも繊細にして美しいのだ。
不器用で全力で夢にまっすぐなひよりの姿が2人を少しずつ変化させていき、ひよりもまた変化していく。
アイドルに興味のなかったひよりがアイドルのライブで泣くまでになる。だからこそとりあえず5話の「アイドルってすごい!」まで見てもらいたい。5話の完成度と熱さは明らかに常軌を逸する力を持っている。むしろ話したいことは5話が全てと言っても過言ではない。

拗らせ男子2人による超絶美麗アイドルと純朴素直なイモ女マネージャーというバランス

泥臭く熱くかっこいい「LIP×LIP」の関係性の変化

家庭環境の事情で女性が苦手な愛蔵とこれまた家庭環境のトラブルで脛に傷持ちアイドルを続ける勇次郎。2人は当初別々の方向を向いて喧嘩ばかりする。だがアイドルとしての成功という同じ夢を持っている。序盤の2人がなぜアイドルをやるのかという話の下りで明かされる理由は愛蔵は自分が歌いたいから。勇次郎はステージに立ちたいから。お互いの目的に2人である必要はない。だがLIP×LIPとして活動するためには2人でいる必要がある。ここに2人でなければならない必然性がある。性格は真逆で喧嘩ばかりしているが、アイドルをやるという同じ夢を見て追っている。これが本当に深い部分でパートナーとなる4話に繋がる。
序盤においては愛蔵は勇次郎のフォローや仕事のあとに喧嘩をしているが、4話の事務所で勇次郎がマスコミの対応をするシーンでは違うものが見れる。パートナーとしてカバーに入る、もっと言えば首を突っ込むとすら言える。

正々堂々迎え撃ってこい

愛蔵はそう言って送り出したものの、勇次郎が答えにくそうな質問をされたらフォローしに割り込む。愛蔵が実はこっそり勇次郎を見守っていた、そして答えたくなさそうな質問に対してフォローに入ったという事実に関係性の変化が伺えた。利害関係だけでない、信頼の形の片鱗が見とれた。ここでは序盤からの2人の関係性の変化が見られる。変化するに至った大きな理由は、後述するひよりの存在だ。

ひよりという人間に溢れる"必然性"


2人にとってひよりは最も身近にいるLIP×LIPのファンでない女性であり、素の自分で接することのできる身近な女性ということになる。
なぜ素で接することができるのか、それはひよりが芋女だからだ。アイドルに興味がなく、LIP×LIPのことが好きではない。ファンでないから、だから邪険に扱えるといった風であった、最初の頃こそ。だが2人のために本気でマネージャー業に打ち込み、同じくらい本気で陸上に打ち込む姿を見て次第に親近感が生まれていく。
ひよりにとっての陸上が2人にとってのアイドル。本気でやりたくて誰にも譲れなくて負けたくない唯一の共通点。陸上に対して本気で打ち込むひよりを見ることで客観的に自分たちの姿を見る。つまり同類なのだ。

そして周りの女子やファンと違ってひよりは2人に対して打算も下心もなしに、更に言えばアイドルとしてではなく同じ人間として接する。ここで良いように芋女であることが機能する。だからこそ、ひよりは1話の時点ではアイドルにも恋愛にも興味のない芋女である必要があったのだ。たった1つ、3人が共通している所は"本気で夢を追っている"というところだ。本気で夢を追う同類という属性が非常に重要なのだ。

そして認識の変化はひよりにも現れる。2人と同じように、親近感を持っていく。そして2人のことをアイドルとしてすごいと思うようになっていくしその笑顔に危険を覚え、夢に見るまでになる。
ここの心情の変化は本編中にてはっきりと描写されており、1話のサブタイトルが「アイドルなんてようわからん!」であり5話のサブタイトルは「アイドルってすごい!」である。これなのだ。これが脳に来るのだ。このシンプルにして明確な心情の変化の描写が素晴らしい。
生活のため、お金のために始めたアルバイトの目的が生活費のためだけでなくなる。お互いにとって仕事だけの関係ではなくなる。それがひいては今まで何度も聴いているのに歌詞が心に響いて涙するまでになる。

「頑張っている君に捧げる夢ファンファーレ」

必殺の5話である。ネタバレを気にするのであればまだ見ないでほしい。
見出しのシーンにたどり着くまでの発端となるのはひよりがLIP×LIPのために足を怪我してインターハイ出場の夢が破れたことを2人が知るところだ。
ここでは実質的にひよりが自身の夢とマネージャーとしての仕事、そしてLIP×LIPの夢とを天秤にかけたことになる。もしも陸上を上に見て取っていたら足を怪我したまま走らず、お渡し会にロゼッタを持っていくのは間に合わなかったであろう。
ひよりは足を痛めながらもロゼッタを届け、マネージャーとしての仕事は果たす。だがその怪我で自身の夢であった陸上の大会では予選落ちする。だから最初はその失敗に落ち込み、マネージャー見習いの仕事は生活費を稼ぐ必要がなくなったので陸上に専念しようと決める。

自分達のせいでひよりが夢を1つ挫折してしまったと知る2人はライブ前に悩み、彼女のためのサプライズを企む。今までマネージャーありがとうだとかそういったものではない。
今までと同じように夢を追い続けるということは変わらない、だが今後は陸上という自分の夢のために進むことを決めたひよりに対する応援だ。愛蔵と勇次郎は自分達の意思でひよりの夢を応援することを決める。アイドルらしく。そのアンサーこそが【夢ファンファーレ】なのだ。【夢ファンファーレ】が一番脳に来るわけだ。これなのだよ。
ここでひよりは初めてライブ会場の熱さを知り、ステージ上の2人のすごさを思い知る。


「過去の全てがその背中を押してくれる」


アンコール前のMCで愛蔵の言ったこの言葉の重みが分かるであろうか。愛蔵はこのアンコールを、夢ファンファーレを今後ひよりの未来でずっと背中を押し続けるものにすると言っているのだ。ひよりの中でLIP×LIPは過去になると言っているのだ。
今後陸上に専念することになればマネージャーであったことは、LIP×LIPとの今の関係は過去になる。それを全てわかり、受け入れた上でその背中をずっと押し続けると言っている。なぜそう言って応援できるのか、それは当然3人が前述した本気で夢を追い続けている同類だからだ。
愛蔵と勇次郎からのこのくそでかい感情の右ストレート、この熱さが尋常ではない。
だからこそひよりはアンコールの「夢ファンファーレ」を聴いて涙する。今まで何度も聴いた曲のメロディーが、歌詞が胸に響く、いや""届く""のだ。

なんのために夢ファンファーレ歌ったと思ってんだ

ライブ終了後の愛蔵のその言葉からもとってもでっけえ感情が見て取れて最高なのだ。

同じ立場だからこそ響く歌詞


インターハイ予選落ちを知った母親からの言葉は「ひよりは頑張りすぎるから心配」という旨の話であった。LIP×LIPからの言葉はその真逆のものとなる。

「好きから逃げるな」
「やりたいことやらなきゃ損じゃん?」
「君を楽しめ」


これらの歌詞は母親のような心配するものの立場ではなく、寄り添うものである。

「頑張っている君に捧げる夢ファンファーレ」

そして最後にこれが飛んでくるわけだ。これなのだ。「頑張っている君に捧げる」これなわけだ。
知っているのだ、頑張っていることを。この力の奔流が分かるか、これが1話から5話という間で行われるのだ。なのにものすごく熱く、胸に染み渡るのだ。それはこのアニメがちゃんとこの3人が本気で夢を追って頑張っているということをしっかりと5話までに描写してくれるからだ。長くやって視聴者へ思い込みを作らせるのは簡単だ。だがその逆となるとしっかりとした演出とストーリーが必要となる。そのなんたるかがこのアニメにはある。ストーリーのクオリティの高さのなんたるかがここにあるのだ。
喧嘩ばかりしていた愛蔵と勇次郎がひよりを応援するという同じ目標のもとに、アイドルに関する夢以外で初めて同じ方向を向くのだ。この感情と関係性の変化の細かな描写と演出がしっかり成されているのが素晴らしいわけだ。

こうなるからこそOP曲「ジュリエッタ」冒頭の

全力な君がかわいい

という歌詞にも重みが出てくるのだ。今後の関係性とこのラブコメの行末があまりに気になるOPとして化け物レベルの力を持っている。ジュリエッタはファンのことを指す言葉であるが、5話でひよりもジュリエッタ呼びされているのだ。あまりにも今後が気にならないか。

圧倒的に太い原作コンテンツから繰り出される充実の福利厚生

私はアニメからHoneyWorksというコンテンツがなんなのかを知ったがとかく曲が多い。そしてアニメにて挿入歌として流れる「ロメオ」や「夢ファンファーレ」のMVがある。しかもめちゃくちゃにかっこいい。ひよりの曲もあるのだが一度見たところ今後の展開のネタバレになりそうな描写がしばしばあった為全部は見ていない。早くアニメを全部見たいという想いばかりだ。
ちなみにサブスクにおいてもまあ膨大な曲があって感動した。このコンテンツともすれば相当深い沼であり、この圧倒的な福利厚生があるのであれば安心してこのコンテンツに浸かれるという安心感がある。

とかく言いたいことは1つ、アニメを5話まで見てお前もジュリエッタになれ。


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