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ここから勝つのが朝香果林。【My Shadow】は愛と自信が織りなす無敗のラブソング

知らないふりをしていただけの
あなたへの鼓動
どうしようもないのよ 戻れないのよ
だから 最後に ああ

My Shadow/朝香果林(久保田未夢)

俺は朝香果林が負けるところなど見たくもないし、負けることなどないと確信している。

【My Shadow】はラブライブ公式として出た朝香果林のラブソングである。

聴けば分かるがセクシー姉さんの通り名のまま、甘みよりも大人びた雰囲気の曲となっている。それでいて歌詞の中身もどちらかといえば失恋寄りの雰囲気となっており他の虹ヶ咲ラブソングたちと比べると若干印象に残りにくいイメージとなっている。
歌詞中においてもあまり多くのことが語られず、得られる情報量も少ない。

一見すると失恋ソングである。それは誰が見ても同じ感想を抱くであろう。だからもっと術式の解釈を広げるのだ。

これは朝香果林としての公式ラブソングなのだぞ?

そこから導き出される答えは一つだな。
そう、その通り。

ここから勝つから朝香果林

彼女は負けていない。あの朝香果林がこんな諦めを許すはずがない。あの超負けず嫌いな果林がこんな素直に諦めるものかと。
故に【My Shadow】は失恋をモチーフにした曲ではない。
諦めそうになり少し弱気になった果林を表した曲なのである。アニメ1期9話でもあった弱気になるところをメインに描写した曲となる。

そう考えればこの曲の全てに輝きが満ち溢れる。
私は最初、少しだけ悲しかった。なぜせっかくの公式ラブソングなのに果林はこんなに負けそうな雰囲気の曲なのだろうと。確かに大人な雰囲気は合っているし曲調も聴いていて気持ち良いがもっとやりたい放題ラブソングしてほしかった。
そもそもそういう系ならば既に【Wish】がわりとそのまま満たしている。
首筋咬んだりだとか鈍感な君におしおきだとか他のメンバーがやりたい放題やっているだけにそこは尚更だった。
そういった初見で明らかにやばいと分かる連中の曲とは違うからこそよく歌詞を、果林のことを考える必要があった。
すると見えてくるのだ。歌詞の解釈を果林にまで合わせた時、その違和感に。

この人こんな素直に諦めて負けを認めるのか、と

事実、歌詞を最後まで見ると彼女はもがいていることが分かる。諦めなくてはと思う気持ちを抱え、でも諦めきれなくて苦しんでいる。
なるほどな。そういうことだったのかと。要するにこれはかつてのスノハレPV序盤のあの辺のやつと同じ感じの前フリなのだなと。

上記を理解してから歌詞を見れば中身の凄さに目が行く。果林の目はまだ死んではいない。
なんならいつでも勝てるけどあなた(あなたであり私であり君であり俺)の幸せを願う気持ちが勝っているから自分を追い込んでしまっているのだ。
果林の優しさとの葛藤が伺える。

Cry 壊したくないけど
Cry 胸が痛いの

My Shadow/朝香果林(久保田未夢)

上記の部分などそれらが特に顕著に現れている。
やろうと思えば自慢のセクシーで全部ぶっ壊して奪うことだってできるという迸る自信が見て取れる。だけどそんなことをするのは胸が痛くなると。
なぜ胸が痛くなるのかと考えた時、あなたの相手にもまた幸せになってもらいたいと考えているからなのではないかと考察を広げることができる。
つまり大切な友人と同じ人を好きになり、あなたはそっちの方と仲良くしているように見えるという可能性だ。あるいはそうでなくても果林は安易に他人の幸せを壊すようなタイプではない。

それでも心の中にはやろうと思えば全部壊して奪うという選択肢はあるわけでそういった面でもやはり諦めようと思うが諦められずにいる様相を伺える。それは最後の【離さなきゃ】というフレーズから最も強く見て取れる。
そう、最後のフレーズが【離さなきゃ】なのだ。諦めなきゃいけないという気持ちでいる。
ここにこそ解釈の広げる余地が存在する。私の中の朝香果林はなんだかんだ言いつつもここで諦める女ではない。なんならここから勝つから朝香果林まである。言わせてくれよ、果林以外に何も感じない、考えらんないと。

また【人生は 白か黒なの?】というフレーズにも着目しなければならない。パンダの話じゃない。
これと対になるフレーズが果林のソロ曲に存在するな。そう、かの神の曲、神のMVである【VIVID WORLD】である。

白とか黒 そう Yes or No
そんなに単純じゃないなら
答えなんて誰も知らない
自由に未来創ろう

VIVID WORLD/朝香果林(久保田未夢)

この部分、実に対象的だ。【My Shadow】の方は白か黒かなのかと問いかけるような言い方だ。
白か黒かで割り切ろうとしている。でも自分の心が割り切れないから白なのか黒なのか迷っている。諦めなければいけないと思いつつも諦め切れない果林の割り切れなさを表している。
対して【VIVID WORLD】では世界は白黒で割り切れるものではないと言っている。この心境の変化にこそ着目したい。時系列でいえばどちらが先なのであろうか。言うまでもないな、朝香果林の勝ちを確信しているのならば【My Shadow】が先だ。

【My Shadow】は【VIVID WORLD】へと繋がる

ガチ恋論理的思考的に二人称の返還としても「あなた」が「キミ」へと変わる距離感の縮み方にも特筆しなければならない。
そういう前フリ的な曲なのだ【My Shadow】は。そう考えるとあまりにも愛おしい。この大人ぶって諦めが正解だと信じるが、諦められない本心が見えるこの朝香果林エナジーが本当に強い。
大人びて振る舞おうという心と元来持っている負けず嫌いの相反する様は美しく、この葛藤にこそ果林を感じられる。

ちなみに【VIVID WORLD】がガチ恋オタクにとっていかに美しく力ある曲かは下記にて話をしているのでここにおいては割愛する。

この関係の行方は

爽やかに強く勝つ系統の果林曲は【VIVID WORLD】が最高到達点であると私は信じている。だからこそ【My Shadow】の失恋してるっぽく見えるが本心としては諦めてもいなければ負けてもいない。というスレスレの演出を叩き込んできたことにはなるほどなといったところであった。
ある意味で朝香果林への解釈の尺度と厄介度を試されているようにすら感じた。

でも意外とこういう風に一人だとくよくよ悩んでそうだったりそんな雰囲気でもやっぱり自分の築き上げてきた努力の肉体には自信があるからやろうと思えば壊せるけどなあみたいな悩みを抱える様は非常に解釈の一致があった。
一発目でのインパクトこそ他より弱かったが聴けば聴くほど朝香果林のラブソングとしてなるほどなるほどこういう感じかといった納得と旨味を感じられた。

だからこそ、私は信じていられる。果林の問いに対して安心させてあげることができる。

この関係の行方?
言うまでもない。

一緒にいると心はずむ

”Vivid”な世界─────

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