見出し画像

小さな幸せを分かち合う

ふと空を見上げたとき、鰯雲にかかる茜色の夕日に目を奪われた。
思わず鞄からスマホを取り出し、シャッターを切る。
私がカメラを向けた先を、周りの通行人も振り返った。
なんだか、小さな幸せを共有できた気がして嬉しくなった。

人は、上を向いて歩かない。
それどころか、前すら向いていないことも多い。
下を向いていたり、手元のスマホを見ていたり、周りで起こっている出来事に気を取られていたり。
まっすぐ前を向いて歩いている時間って、実はほとんどないんじゃないかと思う。

だからこそ、ふと見上げた空が綺麗だと、心がふわっと柔らかくなる。
数多の情報が交錯する脳内を、一瞬にして「わあ!綺麗!」が占領する。
一人で歩いているときにそれを声に出すことはないけれど、写真に撮れば周りの人と分かち合える。
と、そんなことに気づいた、秋の夕暮れ。

小さな妹さんと手を繋いで歩いている小学生くらいの男の子が、童謡『紅葉』を歌っていた。
途中、ところどころ歌詞が曖昧なのもまた、可愛らしい。

秋の夕日に 照る山紅葉
濃いも薄いも 数ある中に
松をいろどる 楓や蔦は
山のふもとの 裾模樣

『紅葉』 作詞:高野辰之

季節は秋。
この日、今秋初めて、ヒーターを点けた。

寒さも一気に本格化するこの季節、どうかご自愛くださいね。

この記事が参加している募集

#この街がすき

43,261件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?