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採用・人事担当者が知っておくべき採用サイト制作のポイント

コーポレートサイトやサービスサイトを立ち上げて、新規顧客の獲得やブランディングを図る企業は多く、企業にとってWEBサイトは無くてはならない事業ツールとなっています。
起業時やサービスローンチ時には必ずと言って良いほど、「どういうサイトにしようか」「コンテンツはこういう感じにしよう」といった会話が経営陣や担当者間で行われるのではないでしょうか。

それほど、ビジネスとWEBとの関わりは根強いものとなり、事業を成長させていく上でWEB戦略は必須のプロダクトとなっています。

そして、その影響は新規顧客の獲得やブランディングといった売上だけに留まらなくなり、採用活動専用のWEBサイトを立ち上げて、採用に関する様々な情報を発信する企業が増えてきました。

「採用マーケティング」というワードが広まり、マーケティングの考え方や思想を採用活動へ活かし、人材難のこの時代で少しでも良い人材の確保を図るべく、様々な企業が取り組んでいます。

そこで本記事では「採用サイト制作のポイント」というテーマで、採用サイトの立ち位置や採用活動を展開する上でのポイント・得られることなどをまとめています。
弊社でも採用サイトに関するご相談を数多くいただいておりますので、企業の採用・人事担当者は是非参考にしていただけると嬉しいです。

採用サイト=成果直結ではない

社内で採用サイトの立ち上げが決まった、若しくはその方向で話が進んでいるとして、まずは採用サイトを立ち上げる前に、必ず覚えていただきたいことがあります。

それは「採用サイト=成果直結ではない」ということです。

私は採用・人事の担当を独立前にはやったことがありませんし、これまで弊社では中途採用(リファラル)が殆どで大々的に会社説明会を開催したこともありません。
ハッキリ言って人事レベルは低いと言い切れます。

それでも何故、私がこうも偉そうに言えるのかというと「マーケティングの観点」を用いると「採用サイト=採用活動への成果直結には繋がりにくいのではないか」と思うからです。

例えば、事業用のWEBサイト(コーポレートサイトやサービスサイト等)を運用するとしても、競合との鬩ぎ合いや成果に繋がるデジタルマーケティング施策の正しい取り入れ方など、WEB担当者はその難しさが痛いほど分かることかと思います。

広告・SEO・コンテンツマーケティング・オウンドメディア・SNSなどデジタルマーケティング自体が多様化しており、基本的にはどれか一つだけではなく、総合的に取り組んでいかなければならないのが現状です。

採用サイトにおいても全く同じことが言えます。

これまで採用活動は、求人媒体に広告費を支払って掲載することで新卒者や転職希望者と接点を持つ大きなきっかけであり、今も多くの企業が求人媒体へ掲載しています。

しかし今は、ウォンテッドリーなどの採用活動特化のマーケティングツールが普及し、この頃から「採用マーケティング」というワードを頻繁に聞くようになりました。
このように採用マーケティング自体も多様化しており、採用マーケティング手法の中の1つが採用サイトであり、それだけで完結するものではないということです。

ところが、弊社が採用サイトや採用マーケティングのご相談をいただく中で「求人媒体をやめて採用サイトだけで人材獲得を図りたい」「採用サイトがあれば採用活動がうまくいく」などを耳にすることが多いのも事実です。

ここでもう一度、マーケティングの例に戻ります。
集客を強化したいからWEBサイトを立ち上げたとして、直ぐに問い合わせが増えるのでしょうか。
コーポレートサイトとは別でオウンドメディアを立ち上げて、直ぐにユーザーがファンになってくれるのでしょうか。

答えはNOです。

問い合わせを増やすのであれば、SEOやSNSでの発信などで露出度を高めたり、ファン化を狙うのであればユーザーが心から求めている良質なコンテンツを発信し続けなければなりません。
これには相応の労力と時間を要する上に、競合の強さや市場によってはなかなか成果を出しにくい場合もあります。

採用活動におけるターゲットは学生若しくは転職希望者です。
就職・転職活動中の人は「大手で働きたい」「ベンチャー・スタートアップでバリバリこなしたい」「キャリアアップしたい」など、様々な想いを抱えながら取り組んでいます。

そして、今はインターネットやSNSで情報収集しながら自分に合っていると思う企業や興味のある企業へ徐々にフォーカスしていきます。
採用サイトは、このフェーズで初めて見てもらえると思った方が良いでしょう。

SEOだけで採用サイトを見てもらえるのは、それこそ一定の知名度がある有名企業(採用シーンでも社名検索が多い企業)くらいです。
殆どの企業の場合は採用サイトの露出度が圧倒的に低く、「採用サイト作ったけど全く効果が出ない」「結局コストが余計に掛かっただけだった」という事態に陥る可能性を秘めています。
これを防ぐためには「採用サイトに依存しない」ということが大切です。
先述の通り、採用マーケティングは多様化しているので方法は1つではありません。

採用サイトやSNSで情報を発信するも良し。採用マーケティングツールを使うも良し。求人媒体へ掲載するも良し。

数ある採用チャネル(オンライン・オフライン問わず)の中から、様々なコンテンツを経て採用サイトへユーザーを導くことが出来れば、そこからは採用サイト内のコンテンツや事業に対する想い・ビジョンなどでアピールすることが出来ますので採用サイトの真骨頂と言えるでしょう。

採用サイト制作のポイント

ここまでをご覧いただいた方の中には「採用サイトは直ぐに取り組む必要はないのではないか」と思う方もいるかもしれませんが、採用サイト自体を否定しているわけではありません。
私個人の考えではありますが、その立ち位置や正しい活用方法を理解した上であれば採用サイトは1つの有効手段だと思っています。
弊社でも採用サイトについてのご相談を多くいただいており、ご支援させていただく機会が増えてきましたので、採用サイトを制作する際のポイントについてお伝えさせていただきます。

<求職者が求めている情報を汲み取ってコンテンツにする>
採用サイトに限ったことではありませんが、ユーザーが「何を求めているのか」を正しく理解してサイト内のコンテンツに反映させることが大切です。
ここでいうユーザーとは「求職者」のことを指します。
よくありがちなパターンとして、カッコよく見せようと意識し過ぎてビジュアルデザインには力を入れているけど、肝心のコンテンツからは「何も伝わらない」「他社との違いが分かりづらい」と感じることは多いです。

私がそう感じるということは毎日沢山の企業の採用サイトを見ている求職者の方々は、私以上にそう感じているのではないでしょうか。

求職者が求めている情報は、事業内容・募集要項・条件・福利厚生・企業カルチャー・現場の生の声などが挙げられますが、最も力を入れるべき点はこれらをいかに「リアルさ」「独自性」「惹き付けるパワーワード」を用いて求職者へ伝えられるかであり、ビジュアルデザインはこれらを引き立てる為にあるということを忘れてはいけません。
折角素晴らしいカルチャーや制度を掲げていたとしても、肝心の見せ方を間違えてしまっては採用サイトを活用できているとは言えないでしょう。

私は元々グラフィックデザインが好きですし、デザインを蔑ろにした方が良いと言っているわけではありません。
正しくデザインを用いるべきだと思っているのです。

例えば「個人の裁量が大きい現場でスキルアップ出来ます」と謳っているコンテンツであれば、その明確な理由やマネジメント方針など細かくセグメントを切ってコンテンツにすべきだと思います。
それを大袈裟なデザインやアニメーションで誤魔化してしまうと、裏付けのないコンテンツがサイト内で宙ぶらりん状態なわけです。

自社を良く見せたいのも分かりますし、その為には画像や動画を用いたデザインで表現する方が手っ取り早く見栄えを良くできます。
しかし、求職者は本当にそのような採用サイトを望んでいるのでしょうか。

採用サイトは、コーポレートサイトやサービスサイトと異なり、採用活動に関することへ専念してコンテンツを制作することが出来ます。
それであれば一層、コンテンツの中身が濃い採用サイトの方が求職者が求めている情報を、より多く届けられるのではないでしょうか。

採用サイトは製品・サービスを売る為のサイトではないので、会社(人)が求職者(人)へアピールできる場です。
その地の利を活かして、「リアルで具体的なコンテンツ」となるような採用サイト作りを心掛けてください。
その上で、各コンテンツを引き立てるビジュアルデザインを取り入れると良いと思います。

<PDCAの実行>
弊社で採用サイトのリニューアルについてご相談をいただく際、「採用サイトのPDCAを実行していない」という声を一定の確率で耳にします。
これはかなり勿体ないことであり、折角立ち上げた採用サイトが機能しない大きな要因です。

採用サイトも通常の事業用サイトと同様、分析や継続改善は必須のタスクです。
「どこのページが一番見てもらえているのか、逆にどこのページがあまり見てもらえてないのか」「流入元はどこか」「エントリー率はどの程度なのか」など、見るべきポイントは他にも沢山ありますが、採用・人事担当者であっても採用サイトを立ち上げたからには、しっかりと運用していかなくてはなりません。

分析ツールの使い方が分からないのであれば採用サイトの制作を依頼したWEB制作会社か社内のWEB担当者に教えてもらうなど、会社の採用活動を担う担当者であれば絶対覚えなくてはならないスキルではないでしょうか。

採用マーケティングというワードの通り、採用サイトは作って終わりではありません。
それを踏まえた上で採用サイトは立ち上げるべきです。
ただ闇雲にコンテンツを更新するのではなく、分析によって採用サイトの課題を洗い出し、その後へ活かしていくことが大切です。

採用サイトの立ち上げを検討する際は、同時にPDCAを実行出来る体制整備や必要スキルを覚えることも頭に入れた上で取り組んでください。

採用サイトを立ち上げて得られること

採用サイトを立ち上げるメリットとして「ミスマッチを防げる」などがよく挙げられています。
ミスマッチを防ぐためには採用サイトのみではなくオフライン、つまり説明会や面接といった要素や実際の事業体制やマネジメント方針といった要素なども含まれる為、これを採用サイトを立ち上げるメリットには挙げるべきではないと思っています。
採用サイトは主に以下の3つを得られる採用マーケティング手法ではないかと私は考えます。

<エントリー数の増加>
ここで言うエントリー数とは、採用サイト単体ではなく、採用活動全体を通してのエントリー数を指します。

例えば、求人媒体に掲載するとしてもフォーマットや掲載出来る情報量は限られていますので採用サイトのURLを掲載することでアクセス増加が見込めます。
説明会などのイベント時に、参加者へ採用サイトの存在を資料などで伝えれば「社名+採用」というキーワードでの流入も見込めます。

当然ながらエントリー数を増やす為には採用サイトの露出度を高めなければならないので、露出度を高めた結果として「採用サイトの立ち上げ→採用マーケティング→アクセス増→エントリー数増」と繋がることは狙えるでしょう。
実際のエントリー数を増やす為には採用サイト内のコンテンツを充実させることも大切ですが、ここではアクセスを増やすことにフォーカスしてお伝えしています。

<求職者へより多くの判断材料を提供出来る>
求職者が企業の採用サイトを見る機会は「エントリー前」「内定後」の大きく2つのシーンに分けられます。

エントリー前だと求人媒体や説明会を経て、応募するか否かを判断する際に採用サイトを見て決める人が多いと思いますし、内定後、正式に入社の判断をする際に最終確認の意味で採用サイトを見る人もいるでしょう。

自社の採用情報や求職者向けへのメッセージが集約された採用サイトで、より多くの判断材料を提供出来ることは大きなメリットであり、求職者も自身の将来を考える上で大切な選択となりますので少しでも多くの情報を求めているかと思います。

<表現の制限がなく発信出来る>
求人媒体へ掲載する際は、決められたフォーマット・決められた情報量・決められたデザインとなりますので自社のカラーは出しにくいでしょう。

自社の採用サイトであれば、自社のイメージやブランドに沿ったデザインで統一出来ます。
ブランドコンセプトの統一は事業でも採用活動でも大切なことですので、自由度の高い自社の採用サイトを立ち上げることで可能となります。

また、掲載するコンテンツも状況に応じて変更・追加が出来ることは大きなメリットです。
例えば説明会の様子を動画やレポートで掲載することで、次年度の採用活動へ活かせますし、発信する情報の鮮度を担保する上でも採用サイトは効果的でしょう。
求人媒体では伝えられない自社の細かい部分まで伝えられることや表現の幅が広がることが採用サイト最大のメリットであると弊社では考えています。

まとめ

採用活動は企業の未来を創るプロジェクトです。
世界中に様々な企業がありますが、人と同じで100の企業があれば100の個性があるので、「一般的でよく見かけるような採用サイト」で成立するはずがありません。

これから採用サイトの立ち上げやリニューアルを検討している採用・人事担当者の方が本記事をご覧いただき、少しでも参考になれば嬉しいです。

最後までご覧いただき有難うございました。
定期的にnoteは書いていきますのでまたご覧いただければ幸いです。
最近Twitterも始めたのでフォローしていただけると有り難いです。


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