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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編15 入院4日目 脳溶ける

麻酔明けの脳はスーパー・パッシブ

病室は暑かった。
暦の上の季節は秋。
それなのに、ジットリと寝汗にまみれてウンウン唸る。
掛け布団をかけないのは肌寒いのだが、掛けると汗をかく。
そもそも、ただでさえ狭い部屋にベッドを6脚置いて、カーテンで仕切っているものだから、私のスペースはベッドと辛うじてトイレなどに立つ際に行き来できる余白程度の場所しかない。
掛け布団をかけない選択をしたところで、掛け布団を避けておくスペースもないのだ。

いつも通り6時になると、病室の明かりは煌々と照らされ、起床時間を告げるアナウンスが流れる。
今日も微熱程度のお熱で、いい加減「入院前日に深酒したせいじゃない」と吹っ切れることにした。

傷の痛みは昨日よりいくらか緩和したのだろうか……
それでもやはり、下腹に力を込めるとズキンと痛みが走る。

看護師さんが検温に訪れる。
変わらず腕の力で這って、なんとか上体を起こす。
寝苦しいのもさることながら、右肩が痛かった。超コリコリ。
看護師さんに訴えると、湿布を持ってきてくれた。
どうやら私の受けた「腹腔鏡手術」は、寝ている私の身体を、頭を下げるように傾けるらしく、手術中に自分の体重が両肩に乗っかっていたということらしいのだ。
肩こりの症状は、どうやらそのために起こったものらしい。

朝食は、昨日より幾分か米粒の入ったお粥に大根・にんじんをおからと煮た物、青菜をペースト状にした離乳食チックなもの、具なし味噌汁。
嬉しいのは梅のペーストとしらすがついていたのでお粥に味付けできること。
何を思うこともなく、サラサラ頂いた。
思ったことはせいぜい、「しらすよりもお米の方が消化に負担がかかるのだろうか……?」ということくらい。

今日・明日は特に何かをするというわけでもなく、経過観察なのだろう。
傷が癒着しないように軽く院内を散歩したり、体勢をこまめに変えるように言われた。
ベッドでずっとゴロゴロしていると、傷が癒着してしまうというのだ。
薬も自分で管理して、自分で服薬するようになった。

しかし、ものぐさ太郎はここでiPadを取り出した!
持ってきたイヤホンをiPadと自分の耳につなぐと、ポケットWi-Fiにつないで、ようようとhuluを立ち上げる!!
観るのは以前から気になっていた「エージェント・オブ・シールド」。
シーズン3まで公開中なので、相手に不足はない。

入院中の空き時間の潰し方をいくつか考えて事前準備をしてきたが、私は結局ずっとhuluを観て過ごしていた。
ケイタイとiPad、ポケットWi-Fiで読書、ゲーム、音楽・ラジオを聴く、ちょっとした書物をするはできる。
念のため、社用ノートPCも持ってきたので急な仕事にも対応できる。
しかし、結局入院中はずっとhuluを観て過ごした。



……なぜか。


麻酔明けで脳が働かなかったからだ。
読みたい本、漫画。ございましたわよ。
この時間があるときにガッと読んでしまいたい積ん読の山が……!!

開いてみましたが、全然文章が頭に入って来ない。
脳の吸水性がない、まったくない。

ダメでした。

ゲームならいけるかなと思い、ツムツムを立ち上げてみる。

これもダメ。

いまの私、全身パッシブ。
ツムをつなげて消すなんて到底無理。
……となると残ったのは動画鑑賞でした。


超パッシブ~いいわ~。
ということで、残りの入院期間はずっと「エージェント・オブ・シールド」を観続け、病室でシーズン2くらいまで制覇したのでした。

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