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私たちの婦人科疾患―卵巣のう腫編14 入院3日目 手術明け

手術当日の様子にも書いたが、幸いなことに全身麻酔明けの症状には苦しまずに済んだ。

朝、看護師さんが飲み薬を持ってきた。
水はあるかと聞かれたが、ない。身体も動かない。
手術前に水を含む絶食を指示されたものだから、間違って飲まないようにベッド周りを片付けていたのだ。

まず腹筋に力が入らないし腹部が痛い。

アウアウしていると、看護師さんが私のタンブラーに水道水を組んできてくれた。
この病院は飲料水は自販機で買う仕組み。ぬかった。
術後のことまで考えが及ばなかった。
薬は痛み止めと胃薬。
服薬のために起きるよう言われる。
病院のベッドは介助用のものなので、リクライニング機能がついている。
それを使って起き上がるものの上体を起こすと腹部がズキズキと痛む。
ああ、内臓を切って取られたんだな、と思った。
痛みを表現しようにもそれ以外の言葉が見当たらない。
寝ている間もシクシク痛みがあったが、起きて腹筋に力を入れると痛みの度合いが跳ね上がった。

服薬後、看護師さんが熱いタオルとともに着替えの介助に来てくれた。
あと、尿カテーテルを抜きに
カテーテルを抜く前に、自分で起き上がってトイレまで歩くように指示される。
看護師さんに手伝われながら、ヨロヨロと立ち上がる。
腹筋に力を入れるたびにズキンと腹の奥が痛む。
腹部を庇いながら歩く姿は背骨の曲がった老人のようだったろう。
術後すぐトイレまで歩かされることは前情報を仕込んでいたのでわかっていた。
すぐに日常生活への復帰への準備が求められるのだ。
そして、術後じっとしていると癒着する場合もあるそうだ。

ラッキーだったのは、私の病室は目の前がトイレだったこと。
5メートルも歩かなかった。
おぼつかないながらもトイレまで往復できた私は、無事に尿カテーテルとおさらばすることになった。
尿カテーテルバージンは、小学生の時分に入院したときに捧げているので、今回は二度目になる。
しんどいとは思うけども、小学生で体験した時よりもかなり異物感が小さくなっていた。
抜く時もスルッと抜けた。
医学は日進月歩と思う。

尿カテーテルを抜かれ身軽になった私に、看護師さんは蒸しタオルをくれた。
身体を拭いて手術着を脱ぐ。
ここでようやく自分で持ってきたパジャマへ着替える。
看護師さんは百均で購入した使い捨てのオバちゃんパンツに、夜用ナプキンを当てて履かせてくれた。さながら介護。猛烈に恥ずかしい。
しかし上体を起こすのも一苦労の私に抗う術もなく、パンツの穴に足を通すので精一杯だ。
生理用ナプキンを当てるのは、術後出血があるためだ。
上は持ってきていたチューブトップにした。
腕はまだ点滴が刺さっていたので、腕を通す必要が少ないほど着替えやすい。
どうにか着替えさせてもらい、一息つく。

病院からの説明を読み返してみるとこの前後で採血もされたようだが、記憶にない。

この日は、朝・昼は絶食。水分補給のみオッケー。
夕飯から食事再開だ。
身体も言うことを聞かないので、できることはない。
この時点で朝7時とか8時とかだったはず。

よく、術後の絶食期間が発狂しそうなほど辛いということを聞くが、空腹に関して私は特に感じなかった。
とりあえずリクライニングを45度くらいに起こしてベッドにいたのだが、昨日の麻酔のせいなのか痛み止めのせいなのか、うつらうつらしているうちに夕方になった。
看護師さんが汲んできてくれた水が無くなったので(あと、歩いた方がいいと言われたので)よろよろ自販機に水を買いに行ったりもした。

夕飯は重湯。
断食明けなので、当然といえば当然だ。
お盆に乗せられて出てきたのは5種類の液体。
限りなくお湯に近いお粥とコンソメスープ風のお湯、果汁少なめのりんごジュースっぽいものと飲むヨーグルトっぽいもの、ほうじ茶だ。
重湯であることには憤りは感じなかったが、食い合わせとしてどうなんだろうと思った。
あと、りんごジュースか飲むヨーグルト、どちらかで良かったな、と。
どちらも人工的な甘さが加わっていてこれぞ病院食と感じた。
痛み止めは毎食後服用だった。


手術日が生理予定日にもろ被り
だったがゴーサインが出たので、そのスケジュールのまま入院した。
経験から言わせてもらおう。
把握できているのであれば、手術と生理を被せてはならない
まず術後、少し出血すると説明を受けていたが、手術由来なのか生理由来なのか判別できない。不正出血かもわからない。

次に点滴を刺しながらのトイレ業務が痛烈に煩わしい
手術でできた傷口を守るため、パンツを履いて腹帯を巻いた後、ズボンを上げる。
ただでさえ内臓切ったな系の痛みで便器に腰掛けるのもどっこいしょなのに、腹帯を巻く行程が増えるのに、プラスアルファー‼︎  プラスアルファー‼︎‼︎
しかも私は左手の甲に点滴が刺さっているものだから、実質ほとんど左手は封じられていた。
点滴が刺さっている箇所は動かさないに限るとトラウマが言っている。
ーー嘆かわしきは想像力の欠如。
これから手術を受ける皆さんは、可能な限り重なりそうなら断るべし。

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