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歌詩 まとめ

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僕が今まで書いてきた「歌詩」をまとめています。
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【歌詩】なんで なんで

【歌詩】なんで なんで

なんで なんで

僕は僕の為に死のうと思っていたけど
今は人の為に死のうと思っているんだ

自分とか 世界の全てとか
何も言えなかったあの人とか
問題は変わっていくけれど
苦しいのには変わりないんだ

 なんで みんな救えないんだろう?
 こんなに手が触れる距離なのに
 なんで 後ろめたくなるんだろう?
 喜びで満たされているのに

夢や希望もなくて 目を瞑って走っていた
終わるときは 僕らしく終

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【歌詩】海洋散骨

【歌詩】海洋散骨

海洋散骨

宛名のない創作物は
もう誰にも届かない
頭の大きな警察が
覚えのない罪状を読みあげる
君は凍った土中から見上げ
刻一刻と消えていく
形のない身体が黒く淀み
遂にはみんな忘れてしまった

始まりの汽笛に心躍らせていたね
無効の切符とも知らずに

  「ありふれた事故だ」と言うが
  君は蛇にはなれなかった
  もう既に死んでいたとしたら?

ここは世界一悲しい安置所
もう何年も放置された

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【歌詩】urge

【歌詩】urge

見えざる国境を跨ぐ 見えざるヴェールをくぐる
生理現象 摩訶不思議 鼓動震える化学式

思考のひらめき 血液 巡る淀みない身体は
生理現象 稼働してる 馬鹿げたことばっかをしてる

外付けメモリーばかり酷使する僕らの初期搭載媒体は
喜怒哀楽を吹き込まれずとも
プログラムを書き換えるロボット

  僕は衝動で 君へ 君へ 近づく
  君は焦燥で 近づけば離れてく

アウフヘーベン 東の空に報いの灯

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【歌詩】憂鬱の分類学

【歌詩】憂鬱の分類学

憂鬱の分類学

心が凪ぐ日は
何でも外に出たがる
モノクロの生活
何もかもほっぽり出して

赤い車 水を吐き出して
濡れた服はそのまま 熱が冷めるまま

 手を広げても羽は無いから
 これじゃ空にも抗えない
 ましてや地上に嫌われた僕なら

鮮やかな影が冬の風に揺れる
鞄の中は双眼鏡とポケット図鑑

白い車 僕を連れていけよ
どうぞお気に召すまま 神のなすがまま

 触れたものや進取の気質は
 水

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【歌詩】無限ホテルで

【歌詩】無限ホテルで

「無限ホテルで」

 水に落ちた虫のように
 シーツの上に浮かんでる
 哀れな男は諦めの顔で
 太陽に抱かれる夢を見ていた

 いつわりのシャワーを浴びて
 見せかけのバスローブを着て
 確かな不安に身を委ねる
 そんな夜をもう、何十年も

 世界に催眠ガスが充満してから
 このホテルだけが安全地帯だ

眠らない頭 眠りたい体
眠れない訳は 眠れば分かるさ

 内緒で荷物をまとめて
 チェックアウ

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