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相手からYESを引き出すダーティな交渉術

こんばんは。この記事は GMOペパボEC事業部のアドベントカレンダーの記事です。この記事を見た人は今すぐ一個前の「旅先で見かけるカラーミーショップ」という記事が良いから読んでください。このタブを閉じて読め!!!

自分はGMOペパボという会社でアライアンス、BizDevを自称しており、経歴詐称の罪で寺井部長から禁錮10年を言い渡されています。今まさに味の素が1日10g支給される会社の檻の中でこの記事を書いています。ペロォ…オイシ…

これまで50社ほど新規開拓で法人様と提携してきたのですが(ここは詐称ではない)、相手からYESを引き出すダーティな交渉術について自分なりに意識していることをまとめてみました。味の素あと5g増やしてください。

相手のビジネスモデルを知っておくこと

まず会社同士が提携するには双方がwin-winでないといけません。この辺りのお話は同じく GMOペパボのアライアンスを務めるづっちんが書いてくださっています。この記事じゃなくて今すぐこっちを読め!
(本当にいい記事なのでおすすめです)

特に自分がこの会社提携したら良さそうだなと思った場合、以下の点を予め見ます。

  • その会社の主たるビジネスモデルは何か?

  • その会社のビジョン・ミッションは何か?

  • その会社のバックボーン/強みは何か?

  • その会社は何に採用の重きを置いているか?

例えば、打ち合わせ前にその会社のサービスや決算書、wantedlyをふんわりと見つめて「ここはtoCのサービスで月額のストックビジネスに重きを置いてるんだな。だから会員数の増加がそのまま利益に繋がりそうだな。逆にSMBはターゲットじゃなさそうだからどうしようかな」「ここはカスタマーサクセス強そうだな。流通を最大化するほど利益が出るビジネスモデルだからな。プロモーションをうちでやれるという話をしたら動きやすいかな」という感じで当たりをつけます。

その上で、打ち合わせ時に「御社にとってこのサービスの中・長期的なゴールと、我々に期待することはなんですか」という質問をします。その中で上記の予測のずれを正しながら、どんな見せ方をすればお互いの最大公約数になれるかを打ち合わせ中に考えます。
「そのビジネスモデルであれば、ここを伸ばせばいいですね。ところで、私たちはその数字に対してこうやって寄与貢献できます。過去の事例だとこういうふうなものがありますね」こういう筋書きが描けれればベターです。
あと、この質問は相手にとって「私はあなたのゴールを意識しています」という印象を持たせる機能もあります。私はあなたの仲間であることを強調する大事さについては後述します。要は「ヘヘッ!旦那の一稼ぎ手伝ぇますぜ!」を出せたら良いです。

特に、競合にあたる会社が同じような取り組みで成功しているか、という点を意識することも忘れずに。

あと、打ち合わせ相手の立場もTwitter、Facebook、wantedly、Linkedinなどでひたすらネトストしましょう。相手のバックボーンや視点の粒度を合わせておくこと、また決裁権限者であるかどうかによって、その後の話の持って行き方や質問に対する回答の重みが変わります。
(Twitterでやばいこと書いてたら大体やばいです。)

数字!数字!数字!相手の左脳をハックする

参考になる事例を出すときはできるだけ数字を織り交ぜます。悲しいかな、人間が数字が入っているとそれだけで信用感を感じてしまう習性をハックしましょう。また、確証バイアスの一環でしょうか、自分は自分で集めた数字に対して好意的に/積極的に受け取る傾向があるように思います。

  • 総ユーザー数hogehoge件!

  • hogehogeは利用数hogehoge件!

「そんなにそもそもの母数ないからインパクト出せない…」と見せ方に苦しむ場合は、割合などを使うと数字にお化粧ができます。
例えば死ぬほどずるい話ですが、5人中3人が賛同しているサービスはなんと「およそ70%の方が賛同!」という言い換えができます。
1日に100人のお客さんが来て、1,000円使っていくお店の場合「一人あたり10円引き!」というよりも「1/100の確率で無料で買い物できるチャンス!」という方がお得感があります。同じ1,000円分だけお店が負担しているにも関わらず。

かなり極端な例を出しましたが、ここで言いたいのは自社サービスの強みとして見せられる数字は何か、そしてそれをどう見せたら最も効果的に見えそうか、というのを考えておくのは大事ですということです。

権威性を持たせる/一般性を出す

これもアンコンシャス・バイアスという認知の歪みの一つですが、実績の中から権威性を持たせられる事例、または「みんなまたは幅広い分野でやってます」という数字を見せましょう。
どっちが効くかは相手によりけりなので、使い分けていきましょう。ブランディング、競合がはっきりしている場合は前者、ロングテール取っていきたい、事業規模がまだ小さい場合は後者が良いです。
「〇〇の分野で有名な〇〇のhogehogeさんも参加されています」「(某有名会社)さんの実績はこんな感じです」「これまで参加されてきた数はhogehohe件!」「1社で複数プロダクトを出されている方もいるんですよ」といういう切り口で見せられないか、今一度実績を確認することがおすすめです。

あえて相手のデメリットに言及する(打開策を添えて)

これまでいいことばかり強調するような見せ方を書きましたが、相手にとって提携する上でのコスト・リスクを明らかにすることも交渉の上では大事です。例えば「このミシン死ぬほど便利でぇ!一家に一台絶対に必要なんです!こんなにお得でぇ!」って言われても死ぬほど胡散臭いじゃないですか。
「まあ、今ミシンなんて使わないでも全然生活回りますよね、わかります。ミシンに10万とかクソ高いってぶっちゃけ自分もそう思ってましたwwただ…使っちゃうと笑うほど便利で、例えばうち子供がいるんですけど…」って話す方がまだ相手の共感を得られやすい。
交渉でも、このプロジェクトに参加することであなたが負うべきリスク・コストはこれですよ、ただここは解決できますよ、というのを予め提示してあげることで、以下のメリットが生まれます。

  • 本来相手が考えるべきコスト・リスクの省略ができ、ビジネスモデルの構築をしやすくさせる

  • 「私は押し売りをしたいわけではない」という相手の共感性を誘う

  • 相手にデメリットとその回避法を提示することで、その人の説明責任を軽くする

誰でもリスクを最小限にして、責任を負わず利益を最大化したいものです。
相手も少なからず打ち合わせ中にデメリットやコストを天秤にかけているはず。そこのポイントを把握し、どんな方法なら解決できそうか、というのを出してあげて、「もし上長に説明する必要があれば自分も同席します!」という味方感を出してあげるとよりベターです。
もし今回はリスク・コストが大きいとなった判断でも、いつかの機会に「このタイミングでまた相談してみよう」と思わせておくことができるはずです。

小手先テクニック:「そうはいっても…難しいですよね?🥺」

上述の通り、相手のリスク・デメリットを明らかにした上で、打開策や妥協案を提示します。その後に、「でも…いきなりこんなこと言うのって無理ありますよね…?」と言う「引き」の姿勢を入れるのもオススメです。
経験上、目の前の相手が謙遜や遠慮している場合、フォローを入れたくなるのが人間です。そうじゃない相手の場合、その後の取引で「ファ〜〜〜」という思いをするのでよっぽどのことがなければそういう相手は優先度を落として大丈夫です。(暴論です。ご了承ください。
謙遜すると、「あ、でもでもここの部分クリアならいけそうなんです」という反応を相手から引き出しやいです。そう言われたらすかさず「本当ですか!?そこの部分の打開策について改めてメールでも追ってご連絡差し上げますね!御社の規模感/技術力/価格帯ならいけそうですね!」と言うかたちで、「ここ課題だって言ったけどこういう方法取れるからよろしくな!」という感じで明文化します。

質疑応答は相手を知るチャソス!何が課題/何が魅力を把握し共通認識にする

メリットを伝える、デメリットをあえて明示するというこれまでの話を踏まえて、相手が自社との協業をどうメリットとして捉え、どこをリスクとして捉えているかを質疑応答で打ち合わせの最後に振り返るようにしています。

相手が何にメリットまたはリスク・コストを感じているかは相手の質問から把握しやすいのです。打ち合わせ時の質疑応答でこの質問の意図は何か?を考えることが重要になります。

相手が特定の数字について知りたがっているのであればそれがビジネスモデルのキーかもしれませんし、他社のリリースまでのタームやどんなシステムをこちらで用意しているのかについて知りたがっていればいわばコストについて気にしているのかもしれません。

相手がなんでこのことを聞いているんだろう?ということを明らかにした上で、「それってこういうことがご懸念(または重要指標)ですか?」と明示し、どういうメリット・解決策を出せるかまで握っておくと吉です。
また「ここメリットだと感じてもらっているな」と思ったポイントについては、打ち合わせの最後には「この点に関してはこのサービスは御社に寄与できると思いますので、ぜひ」というダメ押しに使ったりします。

Giver・Honest・Diligent(略してGTA5ヒャッハー)

ダーティな話ばかりしていましたが、自分が一番大切にしたいと思っている(大切にしているとは言っていない)部分はここです。
Giverになること。Honest(誠実)であること。Diligent(勤勉)であること。

Giverとは、まず自分のtake(得られるもの、利益)を無視して相手にどれだけ与えられることができる人かを意味します。
あなた達の得が、結果我々の得!の精神で、与えられる範囲のものは与えましょう、情報も、自分の時間も責任も。もちろんNDAいらない範囲でね!
あげるだけでなく、「決裁権限者にプレゼンする必要がある?なら私にさせてください!」そんな感じで相手の苦痛を取り除くというのもGiverの精神です。

そして、Honestであること。ここは結果的に自分の首を絞めないためにも重要な部分です。数字はできるだけよく見せますが、嘘は言わないこと。
そして相手から過大な要求をされた時に「期待値上げるようなことはしたくないので、〇〇はできません。でも、それってこれを解決したいってことですよね、これならできます」という範囲で、ごまかしの効かない、自分でハンドリングできない部分は正直に話すこと。自分や自社サービスでは叶わないことを伝えるのは勇気のいることですが、その中で最大限よくあろうとする姿勢はかえって信頼を生みます。

最後に、Diligentであること。勤勉さは精神論でなく、より良いを考えた結果、変化を求めた結果の産物と信じています。これは相手にも自分のためにも、そうありたいと思う部分です。

つまりそういうことだぞ(まとめ)

さて、大学生のレポートの最低文字数(4,700文字)くらい書いてしまい読むのがだるくなった皆さんに、ここだけお伝えしたいことがあります。
#駆け出し〇〇(専門職の名前が入る)さんと繋がりたい のハッシュタグの記事を読むくらいなら、以下のGMOペパボのアドベントカレンダーを読んでください。お願いします。

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