博物館デジタル化調査報告 No.1 〜ルーブル美術館〜
こんにちは。ミューゼオの奈良です。
今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策を、世界各国の著名ミュージアムごとに焦点を当ててまとめていきます。
国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。
第1回はレオナルド・ダ・ヴィンチ作「モナ・リザ」や古代ギリシアの彫刻「ミロのヴィーナス」を所蔵しているルーブル美術館。ミュージアムの公式HPなどを参考に情報を確認し、投稿時点の最新情報を集めております。ミュージアムとしての取り組み、SNSの活用方法を中心に、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。
(TOP画像はルーブル美術館公式Linkedinを参照しています。)
ルーブル美術館の概要
フランスの国立博物館
所在地:パリ
日本で一番大きな博物館は東京国立博物館で展示面積約2万平方メートル、美術館だと国立新美術館で延床面積約4万9,830平方メートル。東京国立博物館での収蔵品数は約12万件と面積と、ルーブル美術館は面積・収蔵品どちらにおいても3倍近く規模が上回っている。
Webサイトについて
〈開館時間〉火曜日を除く毎日、午前9時から午後6時
再入場不可のためしっかり計画立ててから入場するようにとの注意書きも。
【1】コロナ対策について
また下記内容が対策ページにて明記されている。
【2】バーチャルツアー
バーチャルツアーでは多くのフロアが公開されている。海外渡航が難しい時でも楽しめる取り組みだ。
【3】子ども向け作品紹介
アニメーション動画での作品紹介など楽しく学べる工夫が凝らされている。
【4】コンサートの無料配信
ルーブルの展示室を利用した本場のコンサートを無料で視聴できるコンテンツ。1時間たっぷり楽しみことができる。
【5】作品を深掘りするコンテンツ
「モナ・リザ」の技法や展示方法の工夫などがまとめられている。
SNSでの活動
ルーブル美術館では5つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。
それぞれの媒体における投稿内容は同一だが、中でもFacebookでの投稿が特徴的であった。
大きな画像と共に作品の背景を細かく解説している。内容は、パステル鉛筆のみを使用し描かれた女性についてや座っているキャビネットについて、また背景のモチーフの意味など幅広い。それぞれの解説に合わせた画像も添付してあるため、より理解を深めることができる。Facebookでは翻訳もワンクリックで簡単にできるため、様々な国へ魅力を伝えることもできる。
YouTube
〈チャンネル登録者数〉8.89万人
〈本数〉1000以上
〈配信開始〉2009/09/08(12年前)から配信
〈最高視聴〉1,617,912 回視聴(2019/03/29)
内容:「ルーヴルピラミッドは30周年を迎えます!」
Shop情報
ここからはルーブル美術館でしか買えないようなアイテムを紹介。
e-Shopはこちら:https://boutique.louvre.fr/
●バーバパパとのコラボ商品
日本でも人気なバーバパパがルーブル美術館収蔵作品に変身している。マグカップやパズル、トートバックなどアイテムの種類も豊富でプレゼントにも良さそう。
●日本の漫画
日本のマンガ家の中でも親仏である谷口ジローさんの作品。谷口さんは生前1か月かけてルーブル美術館を調査し作品を執筆。ルーヴル美術館は彼に敬意を表して、フュチュロポリスコレクション15周年記念の際、日本で最初に出版されたオリジナルのカラー版に8ページ追加したブラックホワイト版を販売している。
●大人気のボードゲーム
ルーブル美術館バージョンのボードゲームだ。他にもルーブルバージョンになっているゲームがあるためチェックしてみては?
まとめ
▶︎コロナ対策が明確であるため安心して訪問することができる
▶︎バーチャルツアーなどが開催され、作品をより深く知るきっかけがある
▶︎SNSにおいても情報量が多い。イベント情報だけではなく作品についても詳細に解説している。
ルーブル美術館ではさまざまな取り組みにおいて美術館を”楽しく”する工夫が詰め込まれ、自分から学ぶ姿勢や、知ることに対して「楽しい」「面白い」「ためになる」などのプラス要素が多くありました。最新鋭かつ老若男女どんな来場者においても「面白い」と思える取り組みが「世界でもっとも入場者数の多い美術館」を実現していそうです。
次回はヴィクトリア・アンド・アルバート博物館について調査していきます。V&Aでは展示の幅が広いため様々な取り組みが期待できそうです。
お楽しみに!