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「自分」を見ている「本来の自分」

朝ごはんを作りながら、スクランブルエッグをフライパンでクルクルしている時、ふと「私は私でいいじゃないか。」と思った。

大丈夫です。最近は落ち着いています。

私が苦境に陥った時に助けてもらってきた「ヨガ」は、「楽しく充実した人生を送るための手法」であり、体操のようなヨガだけでなく、ヨガ的な考え方(哲学)という側面があります。

ヨガ哲学などというと難しく聞こえますが、昔の人もいろいろな「考え方」を編み出して、苦しみや悩みから解放されようと工夫していたようで、仏教を興したお釈迦様も初めはヨガ行者で、修行しながら苦しみや悩みから解放される方法を考えていました。そうした考え方は現代の私たちにも強力なヒントを与えてくれます。

ヨガでは「自分」と「本来の自分」について次のように考え、「本来の自分」を知ることを大切な目的としています。
古くから伝わるヨガの経典に書かれているのですが、わかりやすく簡単に説明しようと思うと難しい。

目に見えている「自分」は生まれてから今日までかけて作られてきたものであって、姿形が気にいらないとか、辛い境遇であったとしても、それは「本来の自分」ではない。体の奥深くに存在する「本来の自分」を大切にすれば、目に見えている「自分=自我」の苦しみから解放される。

平たく言うと・・・

だれもが生まれた時は何の肩書も持たず、純粋無垢で生まれるけど、成長とともに誰かの子ども、どこかの社員、誰々さんの妻、などという役割を担うようになり、同時に悩みも増えていく。

でもそれは、今回の人生というストーリーの中の役割であって、辛いことがあったり、未熟な面があってもそれが自分のすべてだと悲観する必要はなく、「本来の自分」を大切にしてストーリーの「今この瞬間」を自分らしく生きていけばいい。

私たちはどうしても、目に見えている「自分」がすべてだと思って、苦しみを大きく、強く感じてしまいがちだというのです。

では、「本来の自分」というのは、どうすればわかるのか。

「本来の自分」は純粋で、素直で、自由で、満ち足りた存在。いつも役割としての「自分」を観察し、「もう少し何とかしなければ」とか「よく頑張ったな」とか「どうやったら幸せになれるだろうか」と考えているのが「本来の自分」です。

経典では、心を鎮めた時、「本来の自分」に会えると言っています。
例えば、体を動かすヨガや瞑想に没頭することでリラックスしたとき。そういう時間をできるだけつくって「本来の自分」に戻ることが、苦しみから解放されることにつながります。

また、人生というストーリーの中の逆境に挑み、経験を積むことで「本来の自分」は成長するといいます。「本来の自分」が成長すれば、目に見えている「自分」の良きアドバイザーとなり、苦しみに振りまわされることなく、より生きやすくなります。

夫と揉めると疲れるので、関わり方にすごく気を遣っていた私の場合は、よく言えば「成長し、対処法を身につけた」ということなのだけど、「本来の自分」ではないようなジレンマを感じてきました。
そしてそれが日常になると「夫の機嫌ばかりうかがっている自分。私はそんな人間ではなかったはずなのに・・・私は何をやってもダメな人間なんだ」とメンタルはどんどん落ちていきます。

否定され、無視されることが長期間になると、自分の存在自体がつまらないものだと思える。今どきの言葉で言えば、自己肯定感がなくなる。(この否定と無視も、うちの夫の場合はちょっと違う事情でした。そして、この落ち込みは夫が関わった時だけ。)

私はスクランブルエッグをクルクルしながら、「夫の思うような妻でないだけであって、『本来の自分』はダメな存在ではないんだ。」と今更だけど、腑に落ちたわけです。
理屈ではわかっていたけど、なぜかこの時、腑に落ちたのです。

そんなことを感じていた時、俳優・大東駿介さんのインタビュー記事の中に興味深いコメントをみつけました。
子どものころお父さんとお母さんが次々と蒸発し、育児放棄されていた大東さん。(俳優になってからのスキャンダルは置いといて、)彼の考え方は、誰かに教えられたものではなく、追い詰められた人間が本能的に見つけ出した生き延びる術だったのではないかと思います。

――苦しい日々の中で、こんな切り替え方をしたら気持ちが楽になった、といった体験はありますか。
大東:
ネグレクトになる前から、映画が大好きでした。大杉漣さんに憧れていて「いろいろな映画の中で、違う人生を送っているおじさんがいる」と思っていた。それで苦しい時期に、ふと「今の自分も『ひとつの作品の中の自分』と考えたら、楽になるんじゃないか」と思ったんです。

自分の価値を認めてくれる人がいなくなって、そのまま消えてしまう選択肢もあったけれど、僕は、生きることを選んだ。だったら、いろんな作品に出ては違う役を演じる俳優のように、「今この瞬間を『ある作品の中のすごい苦しんでいる人』くらいに距離を置いて、ただ通り過ぎてしまえばいい」と思ったんです。そうやって考えを巡らせる中で、俳優になりたいと思ったんですよね。

                   (⇧記事の中に動画もあります)

「私は何をやってもダメな人間なんだ」と考えてしまうのは、そういう考え方に陥りがちな自分自身(私自身)にも原因があるんです。

では、どうしたらネガティブ思考にならず、「本来の自分」を大切にすることができるのか。
その方法をヨガの先人たちはみつけ、体系立ててまとめています。
ヨガをしない人でも、誰もがすぐにできる方法。既にしている人もいる方法。次の記事で書いてみます。


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