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大きなモミの木の下で~Christmas Stories~

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クリスマスイブという1年で1度しかないその日を、noterさんたちとそっと切り取って紡いだ物語集です。
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#小説

天使

クリスマスイブの街はせわしく、行き交う人たち皆が、家族や恋人、それぞれの大切な人の待つと…

上田聡子
10年前
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超・瞬間小説​『サンタクロースの夜』

「願いは、かなう。」 …とは、昔から言われてきたが、近年それは当たり前の現象になってい…

かつて世界中で流行した幸福について (3333字)

 7年前、この世界から突如として12月24日が消失した。  冷静に考えれば、我々が失ったのは3…

灰谷魚
10年前
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きよしこのよる

 何気なく左腕の手首を見て、真衣子はため息をついた。これで今日2度目だ。何度見てもそこに…

短編小説「願い」

西暦2084年12月24日の夜、聖ニコラスは子供達の願いをかなえ、プレゼントを配る為、トナカイの…

瞬間小説​『クリスマスキャロルはチャルメラで♪』

はじめに「クリスマス残業」ありき。 クリスマスイブは、恋人のいるリア充たちが早上がりす…

雪の降る街

「今日はまた一段と冷え込むな」  スコップを持った初老の男が、雪かきの手を止めて呟いた。犬を連れて散歩していた親子が男性の顔を見ながら頷く。  空を見上げると、青い空に鈍く歪む太陽が光っていた。 「ちったあ、あったかくなって溶けてくれりゃいいんだが」 「この街の雪が溶けたことなんて、これまで一度もないですからねえ」  そう女性が呟いたあと、一陣の風が吹いた。折から積もっていた雪が高く空まで舞い上がり、そのままちらちらと街に降ってくる。広がる青空の下、きらめく雪がまた静かに降り

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