『461個のおべんとう』日本人の心をわしづかみするお弁当のもつ力ー昔、映画が好きだった。そして今も好きなのだ 60s映画レビュー(14)
これは某SNS関連のお友達から紹介された映画です。
で、じつはそのお友達からお弁当に関連するあるプロジェクトを紹介されました。それを見て、改めて私たち日本人にとってお弁当というのは民族のタマシイ的なものがあるな、と感じていたところだったんです。
そんなところでこの映画を見たところ…。今の私の心にドンピシャ!でした。
一言で言うならベリー爽やかな映画です。主役の親子(井ノ原快彦・道枝駿佑)にグッと来ます。その親子の絆が毎日のお弁当なんです。
離婚した父親が息子のお弁当を毎日作ると宣言。それを有言実行する、ただそれだけと言えばそれだけのストーリー(息子もナレーションでそう言っています)。
でも、それだけで面白いし胸が熱くなるんですよ。これは明らかに日本のお弁当の力です。
日本のお弁当には深い深い文化が詰っていると感じましたね。
だって、高校生の息子が父親が作ったお弁当を前にお箸を挟んで手を合わせるシーンや教室で友だち3人が机を付けて一緒にお弁当を食べるシーンを見るだけで涙が出そうになるもん(最近の私の涙腺の弱さもありますが)。
こんなことアメリカドラマのランチシーンにあります?絶対ないな(と思うけど…)。
毎日作る父親のお弁当がとにかく美味しそうでキレイなんです。ここがこの映画のポイントかと思います。
父親だからって「毎日」に寄りかかってテキトーなお弁当を作らせる設定にしていたらこの映画はダメだったかもしれません。
まるで一枚の絵のようなお弁当をあの父親が毎日作るから感動が生まれるのだと思います(実際、終盤で父親がインスタに上げているそのお弁当画像の集積が美しい模様のように映し出されます)。
おかずのうち、とくに卵焼きが飛び抜けて美味しそうで食べてみたい!と思ったことを付け加えておきます。
なお、脇を固める女優さんたちが素晴らしい。父親の元妻役の映美くらら、新しい恋人役の阿部純子(私は『ソローキンの桜』以来ファンです)、息子の同級生役の森七菜、そしてなんと祖母役は倍賞千恵子です。この映画は女性に支えられている男の話ですね。