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CLS高知 初参加の記録

2023年10月21日(土)、CLS高知 戻り鰹編に初参加してきました。しかも、パネルディスカッションにも登壇させていただきました。まだ興奮冷めやらぬ状態なので、書くことで整理してみたいと思います。

CLS高知 2023戻り鰹編 集合写真!
Photo by 集合写真家・武市真拓さん。

1.CLS高知とは何か

CLSは「コミュニティ・リーダーズ・サミット」の頭文字。CLS高知は、コミュニティに関わる人たちが全国各地から年に2回、初鰹と戻り鰹の季節(5月と10月)に高知に集まるイベントです。本編の前には2泊3日のワーケーションツアー、翌日には大人の遠足もあり、すべてに参加される方はほとんど1週間を高知で過ごすことになります。本編のフォーマットは、釧路で開催されるCLS道東など、別の地域にも広がっています。

CLS高知は2018年に始まり、今年の戻り鰹編で12回目でした。毎回、チケットは即完売。今回は会場を変えて収容人数を増やしたにもかかわらず、申込サイトのオープンから24時間を待たずに参加チケットは完売しました。

このイベントを立ち上げたのは、パラレル・マーケターの小島英揮おじまひできさん。新卒入社から30年以上に渡りマーケティングに携わっており、Amazon Web Service (AWS) のマーケティング部長を経て、現在は独立されています。

私は高知出身ですが、友人・知人からは「四国に行ったことがない」とか「四国の中でも高知だけは未踏」などとよく言われます。そんな高知に、年に2回、それぞれ100名もの人を集めるのだからすごいことです。

2.CLS高知 参加のきっかけ

私がCLS高知に参加するきっかけは、昨年の高校同窓会でした。この同窓会、その年の下一桁と卒業回の下一桁が一致する卒業生が幹事を担当します。私は72回生なので、昨年2022年に幹事をしました。

同窓会では毎年必ず、基調講演が企画されます。私はキャリアの専門家として、おもしろいキャリアを歩む同窓生の話を聞きたいと思いました。そこで62回生の小島さんをはじめ、72回生、82回生の同窓生3名とのパネルディスカッションを企画しました。

2022年の同窓会のチラシ(裏面)。

モデレーターを誰にしようか悩んでいると、小島さんが、自分のアイデアなんだから谷口さんがやってみれば?と背中を押してくれました。モデレーターは初めてでしたが、せっかくの機会なので挑戦してみることにしました。

パネルディスカッションの様子。
コロナが明けたばかりだったのでまだ距離が遠いです。
一番左が小島さん、一番右が私。

3名の同窓生が歩んできたキャリアのお話は興味深く、基調講演は多くの同窓生からご好評をいただきました。これをきっかけに、小島さんからCLS高知にも登壇してみないかとお声がけいただいたのでした。

3.予習① 雰囲気を知る

CLS高知は初参加なので、雰囲気を知るために、今年の初鰹編の登壇者が集結するイベント「地域と挑戦とコミュニティ」に参加しました。主宰はコミュラボの辻貴之(G2)さんで、戻り鰹編で一緒に登壇するお一人です。

この日はただただ、登壇者の熱量に圧倒されていました。何より登壇者全員が、人を巻き込むために主体的に、泥くさく動いていらっしゃるのが印象的でした。詳細はnoteにまとめてあります。

「地域と挑戦とコミュニティ」
真ん中がG2さん、右端が小島さん。
参加者の多くはCLS高知経験者でした。

4.予習② コミュニティに行ってみる

「地域と挑戦とコミュニティ」では、コミュニティ・リーダーがどんな思いでコミュニティに関わっているかを知ることができました。そうすると次は、コミュニティそのものに興味が湧きます。そこで、登壇者の春日井製菓・原智彦さんが主宰する「スナックかすがい」に参加してみました。

スナックかすがい、この日はクラフトコーラとグミの回。
一番左が原さん。

春日井製菓のグリーン豆を食べ、お酒を飲みながらマスター原さんとゲストの話を聞くこのイベント。途中、「かすがいタイム」という参加者交流の時間も設けられており、ここでもまた、CLS高知をよく知る方々とつながることができました。そして帰りには、袋いっぱいの春日井製菓のお菓子をお土産にいただきました。「地域と挑戦とコミュニティ」同様、やはり最後の最後まで参加者を楽しませ、驚かせる工夫がありました。

5.打ち合わせ 〜越境者としての私

8月某日、本番に向けて、モデレーター・小島さんと登壇者のG2さん、長橋明子さんと打ち合わせを行いました。パネルディスカッションのテーマは「学びとコミュニティ」。登壇者全員が大学院生ですが、決して大学院を勧める場ではなく、その視点からコミュニティについて考えるにはどうしたら良いかを話し合いました。

土佐料理のお店で打ち合わせ。

このとき私はようやく、自分が越境者であることにぼんやりと気がつき始めました。ここで言う越境とは、居心地の良いホームを飛び出して慣習の異なるアウェイな場に身を置くことを指します。

CLS高知に関係する方の多くはマーケターです。マーケターは商品・サービスが売れる仕組みをつくる人たちなので、常に思考が外向きだと感じました。私から見るとマーケターは、人の心理をゼロからプラスに動かす魔法使いです。ドラクエの作戦コマンドで言えば「ガンガンいこうぜ」。

一方私は、新卒からずっと人事街道を歩いています。人材開発やキャリアが専門で、近年は特に、組織で人が自分らしく働くための施策やワークショップについて考えてきました。つまりはクライアントのモヤモヤした気持ちが起点にあるため、人の心理をマイナスから上げていくプロセスに関わることが多いです。作戦コマンドに例えると「いのちだいじに」。

今思うとこの違いが、私にぼんやりとした違和感、いつもいる場とは異なる感覚をもたらしていたのだと思います。しかしこのときはまだ、その違和感は言語化されていませんでした。

6.CLS高知 2023戻り鰹編スタート!

いよいよ当日となりました。今年の会場は赤岡町の弁天座。ここは歌舞伎などの芝居ができる施設なので、枡席や花道、舞台装置など、よくあるイベントスペースとは異なる雰囲気です。

入場前の打ち合わせの様子を、2回席から撮影。

かみしも姿の司会・井上琢己さんが登場し、赤岡名物の絵金とどろめ祭りの紹介からオープニングが始まりました。さすがプロのアナウンサー、安定の進行です。

プロのアナウンサーが司会という贅沢さ!

キックオフセッションは、小島さんと(株)ソニックガーデンの倉貫義人さん。お話の中でも特に「チームとコミュニティの違い」が印象的でした。私もこれまで、色々な人と色々なことをしてきましたが、この違いが明確でないばかりにうまくいかなかったこともたくさんあったように思います。

これからも心に留めておきたい「チームとコミュニティの違い」。

7.いよいよ登壇! 〜ゼミから学ぶ持続可能なコミュニティ

キックオフセッションの次はいよいよ、私たちの出番です。数分前にスタッフに呼ばれ、私たちが向かったのは奈落。舞台装置があるので、登壇者は奈落からせりあがりで登場することになっていました。初めての良い経験ができました!

ここは奈落の底。笑
奈落のご担当、舞台の様子が見えにくく、
半日大変だったと思います。
ありがとうございました!
奈落の底からこんにちは。

登壇中のことは正直、夢中でほとんどよく覚えていません(笑)。言いたいことが伝えきれていない可能性もあるので、ゼミというコミュニティについて私が感じていることを、ここに記録しておきます。

仲間と学ぶとは?

私は学びのコミュニティにいくつか参加しています。そこにコミットする大前提として、その学びが好きだということは当然あります。しかしどんなに好きでも、コミュニティにいることを諦めてしまった経験が私にはあります。

その違いについて考えてみると、私がコミュニティにコミットし続けられるのは、そこに「学びの方針・学ぶための枠組み」があり、それにコミットする人が集う場だからではないかと思うに至りました。

例えば、私の所属するゼミには「ゼミ理念」があります。毎年4月の最初のゼミで、時間をかけて説明があります。そしてそれは毎年、少しずつブラッシュアップされています。ゼミ理念とは、こんな感じです。

  • ゼミ理念
    ・楽しい雰囲気、高い基準
    ・気兼ねなく失敗できる安全な場をつくる
    ・完璧を目指すより、まず終わらせろ

ゼミに人がたくさんいる以上、いろんな距離感の人がいます。でも学びの内容については、ゼミにいる誰とでも等しく意見交換したり、議論したりできます。それは、ゼミ理念のおかげだと思っています。

私が心地よく学び続けているコミュニティには、上記ゼミ理念のような「学びの方針・学ぶための枠組み」があり、それが定期的にアナウンスされ、周知されています。そして、参加者全員がそれにコミットしています。居心地が悪くなってくるコミュニティにはそれがないか、あってもメンバーの解釈に乖離がありすぎて好き勝手な状態が続いているように思います。

コミュニティ・リーダーが明確に握っておくべきは、コミュニティとしてのありたい姿をメンバーに伝え続けることなのかもしれません。

左からG2さん、小島さん、私、長橋さん。
ご一緒させていただきありがとうございました!

8.コミュニティは手段

パネルディスカッション以外にも、サポーターセッションあり、ライトニングトーク(LT)あり、たくさんのコミュニティー・リーダーのお話を聞くことができました。みなさん人を惹きつける話術に長けており、やはりここでもマーケターの外向きな雰囲気を感じていました。

私の中で強力なメッセージとして響いたのは、CLS高知サポーターの(株)コミュカルCEO・Mitzさんのプレゼンテーション。言われてみれば理解できるけれど、実は整理できていなかった大切なことを、コンパクトに教えていただいたように思います。特に「コミュニティ自体は目的じゃなく成果を出す手段の一つでしかない」というメッセージはガツンときました。

Mitzさんの他のスライドも素晴らしかったです!

この瞬間、CLS高知に向かうための経験がパチパチっとつながりました。コミュラボも、スナックかすがいも、そしてこのCLS高知も、手段の一つ。それぞれにその先の目的があるから、コミュニティとして持続可能なのだろうと思いました。

最近では人事にもマーケティングの視点が求められていますが、私にはそれが足りなかったのだと思い知りました。

9.TECH-TECH KOCHIの応援団長

最後は、高知の活動家を県外の参加者が応援するグループディスカッションです。本編の数週間前にいきなり「TECH-TECH KOCHI (テクテク高知)」の応援団長に任命されました。

活動家と応援団長で構成されたFacebookメッセンジャーが事前に作られ、そこで応援団長の皆さんが進め方のアイデアを共有していました。おそらくマーケティングの手法なのか、私はついていけずにちんぷんかんぷん。私のアウェイ感はこのときピークに達していました。

ネットで調べて勉強しようかとも思いましたが、借りてきたやり方ではうまくいかないような気がしました。TECH-TECH KOCHI代表の武田桂子さんの了承を得て、結局、自分なりのやり方で進めることにしました。

課題は大体いつも、いま言語化されていることより深いところにあるものです。1時間という短い時間では、適切な解決策までは導けないと思いました(実際は時間が押して40分で実施しました)。

この時間を意味のあるものにするために、セッションの目的を、課題の明確化と武田さんを引き続き支援するゆるやかなチームを作ることに設定し、Points of You®︎という写真カードも使いながら、以下のアジェンダで進めました。

  1. 自己紹介

  2. 問題提起〜メンバーからの質問

  3. 強みの共有&チームボンディング

  4. 今後について(LINEオープンチャットの作成)

武田さんの強み・弱みを表すカードを置いていただき、
そこにメンバーが自分の強みカードを置いて、
どのように武田さんをサポートできるかについて話し合いました。

当日は、偶然集まった4名のメンバーと、武田さんと私のチームとなりました。ディスカッションを通じて、武田さんの課題は「TECH-TECH KOCHIのメンバーにもっと学び続けてほしい」というYOUメッセージから、「私はTECH-TECH KOCHIを高知で一番のエンジニアコミュニティにしたい」というIメッセージに変わりました。

セッションを通じて4名のメンバーの強みも言語化されたので、武田さんが困ったとき、お悩み別の相談先になってくれることを期待します。私も引き続き、コーチングなどで武田さんをサポートしていけたらと思います!

10.後夜祭 〜高知の教育の話

夜は高知市内に戻り、後夜祭という名の打ち上げです。追手筋演舞堂の1〜3階まですべてを貸し切り、大人数での宴会がスタートしました。

2階から撮影した1階の様子

ここでは、LTで高知のキャリア教育の話をしていたみよしたかやさんや、会いに行けるセンセイとして有名なのざたん(野崎浩平さん)と話してみたいと思っていました。

私は現在、大学で非常勤講師をしています。小中高大、いろんな発達段階の生徒に関わる先生方と話す機会を持つことは、生徒たちのバックグラウンドを知ることにつながります。

幸運にもみよしさん、のざたんと3人で話す機会を持つことができ、お二人が具体的にしていることや、描く未来についてお聞きすることができました。私の内側にある教育への情熱がうずき出す良い時間でした。

会いに行けるセンセイ・のざたんと!

11.ハッシュタグと共通言語

CLS高知の参加者は全員、「チョンマゲの焼きめし」を知っています。X (旧Twitter) のハッシュタグ「#CLS高知」を追っていくと、毎回必ず複数の参加者がここの焼きめしをアップしています。最近では「とまととのカレー」も人気急上昇で、CLS高知の前後にわざわざ日高村まで遠征する方もいるくらいです。

今回も、二次会の後にチョンマゲを訪れると、店内は見事に黄色いTシャツだらけ。それぞれのグループが異なる場所で二次会を楽しんでいたのに、気がついたらここに集っている不思議。さすがマーケターが仕掛けるCLS高知、課外活動の指南まで抜かりないです。

おそらくこのとき、チョンマゲの店内は全員CLS高知の参加者でした。

12.越境者としてのCLS高知

初参加のCLS高知でしたが、ここで私は越境者であることを自覚できたことが、新しい気づきにつながりました。

私は「ガンガンいこうぜ」のマーケティングの世界観に対し、今までは少し苦手意識を持っていたかもしれません。しかしCLS高知に参加して、その奥にあるフィロソフィにたっぷり触れることができました。特にCLS高知に集う人たちは、実際に動いている「活動家」が多いので、良質な情報が集まるのだと思います。わざわざ高知まで来ていることが、「活動家」である最大の証拠です。

他方、慣れ親しんだ人事の「いのちだいじに」の世界観に課題を感じる時間にもなりました。企業の人事と打ち合わせしていてもリスクの話ばかりが先立ち、なかなか前に進まないことがよくあります。「活動家」の人事が少ないのではと思わずにはいられません。作戦コマンドもせめて「いろいろやろうぜ」くらいに進化させないと、人事に人がついてこないだろうと思いました。


最後に、Mitzさんが今回のCLS高知を10分の動画にまとめてくれていますので、ぜひ雰囲気を味わってください。


次回、CLS高知 初鰹編は2024年5月18日(土)。アウェイの風に吹かれに、また参加したいと思っています。


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