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スタートアップにとっての「主語」と「補助線」

お疲れ様です、Boulderの牟田です。
先日SaaSwayに参加させて頂いたことをきっかけに、2つ程の個人的に有益な気づきを得たので、noteにまとめて共有したいなと思います。

「諦めない気持ち」の主語を見極めること

SaaSwayの「急成長を実現するSaaS組織立ち上げのリアル」のセッションではヤプリの庵原さんが「諦めない。本当に諦めない。そしてひたすら改善し続けるだけ」というコメントにかなり激励されたと同時に、同セッション内では「お客様の成功=自分達の成功」というフレーズにも個人的にもかなり共感しています。

「お客様の成功=自分達の成功」というフレーズは言わばユーザー・クライアントと「Win-Win」な関係を築くということだと認識していますが、しかしここに「諦めない気持ち」を乗せると場合によっては意外な落とし穴がある気がしました。
ここからは自戒込めての話ですが、その落とし穴は、スタートアップでは特に諦めたくない気持ちが強すぎていて、気づけばその「諦めない気持ち」の主語がズレてしまい「お客様の成功」ではなく、ただ単に「自分達の成功」になっている状態です。
その状態になると、お客様の成功を約束するよりも先に自分たちの事業がグロースできるかどうかに目が行き過ぎてしまい、主語が「事業を通じてお客様の成功」を諦めないから「自分たちの成功(短期的なKPI等」)を諦めないにしてしまいます。
「お客様の成功」を成すことでしか「自分達の成功」は有り得ないはずで、逆に「自分達の成功」を優先して仮に一時的にできたとしても、「SaaSは嘘をつかない」という言葉があるように、その成功はただの幻想でありいずれ現実(お客様のリアルな声)によって崩れることを理解する必要があります。

「諦めない気持ち」x「お客様の成功」=「自分達の成功」

改めて自分達の成功はあくまでも結果でしかなくて、お客様の成功というプロセスを何よりも大事にしたいなと思いました。
何よりも「お客様の成功」というのは曖昧なキーワードなので、自分たちだけで決めるのではなく向き合うユーザー・クライアントに「なにを約束するのか」を言語化した上で、その約束にすべての「諦めない気持ち」をかけることが事業を作って行く上でかなり重要だと感じました。

スタートアップCEOの業務優先順位を決める補助線、 「仮説の検証期間」

SaaSwayでは何人かの同世代起業家の方と話す機会があり、そこで「CEO(自分)のリソースの優先順位」について僕自身含め、思い悩む起業家が何名かが居ました。

「チーム・カルチャー」「事業戦略」「プロダクト・機能」

あくまでもPMF(シリーズA前後)までの話ですが、スタートアップのCEOは特にこの3つのキーワードに取り憑かれるかのように日々PMFへ到達する上でどうやっていいチームやカルチャーを集め&設計し、事業戦略の解像度を上げながら、最高なプロダクトを創ることについて考えてるはずです。
一方リソースが限られた中でどのように優先順位付けるべきかについてかなり悩ましい問いではあるかと思います。
実際に自分自身もずっと考え続けています。

優先順位についてかなり諸説ありな気がして、「採用にコミットした方がいい、初期からいいチームがないといいプロダクトは作れない」という方の意見もあれば、「プロダクトのグロースこそがすべて、業務委託でもいい、何よりも先にプロダクトにコミットすべき」みたいな意見も勿論あります。

どの意見も正しい要素はあると思いますが、とはいえCEOは一人しかいないので、一体どこに最も自分のリソースをかけるべきなのかについて整理することができなくなってしまいます。

そこで、優先順位を決める上での基準、更にいうと「補助線」が必要になって来ます。個人的な考えにすぎないのですが、その優先順位を決める補助線は「仮説の検証期間」なのではないかと最近思っています。

例えばプロダクトのMVPや機能の仮説検証はアジャイルであれば二週間〜一ヶ月のサイクルで検証して軌道修正できるはずです。しかし事業戦略を誤ってしまうと、プロダクトの検証サイクルを回してしまってもかなりのサンク・コストが発生してしまいます。
事業戦略の検証はプロダクトを回してユーザーやクライアントのフィードバック、KSF、KGI/KPIの達成具合を見ない限り持っている仮説の検証が難しいです。
そうすると自分の立てた事業戦略が本当に正しいのか?についてわかるようになる迄六ヶ月から一年かかることになります。間違ってしまったら後戻りできなくなってしまいます。

チーム・カルチャーも事業戦略に近いです。会社によって異なるかもしれませんが、僕は一人のメンバーが期待されているアウトプットを出すまでに個人差はありますが、おそらく三ヶ月〜半年の期間が必要だと思っています。
一人のメンバーを見極めるのは三ヶ月だとして、チーム全体でケミストリーを生み、会社のカルチャーを全員に浸透させて、当事者意識を持たせるようにする迄恐らく半年はどうしても要する気がします。なので僕の中でCEOの優先順位を決める基準は下記のように整理しています。

「チーム・カルチャー」「事業・経営戦略」「プロダクト・機能」という3つのキーワードの中、検証期間が長いものほど、アクセラレーションな意思決定であり、後戻りできなくなるので、よって優先度が高い。

上記の話を踏まえて、個人的にですが、「事業・経営戦略」>≒「チーム&カルチャー」>「プロダクト」の順番に時間をかけるようにしようと思っています。これも一つの検証だと思ってますので、この優先順位でやってみてまたその検証結果を皆様に共有できればなと思っております。

プロフィール

牟田吉昌(Yoshimasa Muta)株式会社Boulder founder CEO1993年生まれ/立命館大卒幼少期に中国の長期滞在経験あり、バイリンガル(日本語・中国語)大学在学中に語学サービス「フラミンゴ」の立ち上げに関与卒業後、リクルートホールディングスに新卒入社新規決済事業「AirPAY」担当、事業推進等に従事17年末にフラミンゴ再ジョイン取締役COO(C2C/B2B事業・組織・コーポレート全般)として事業を推進2019月4月より現職Twitter :Yeahman18Roots

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