2 地球トンネル
『しろくまハイボール!』 2 地球トンネル
第一話で、僕ことペンギンが招待状をもらって、しろくまさんのBar「ヒヤシンス」に行った話を書いたところ、たくさんのお手紙が届きました。
「おいおい、ペンギン君のいるところは南極だろう? しろくまさんとこは北極。君たちが出会うことなんてあるのかい?」
やだ、まだ知らないのか、イルカさんたら。
今はね、海底トンネルで北極と南極は繋がってるんですよ!
高速チューブに入ると、ひゅーと吸い込まれて30分ほどで北極に到着。もう宿泊なしで日帰り旅行できるんです。
ちなみに日本の北海道の旭川というところにもトンネルは繋がっていて、ときどき寄ります。透明チューブの向こう側で、おおーっと歓声が上がるのは満更でもない気分。えへん。
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でもね、使い方にはちょっと注意が必要です。なにせ人間さんたちにバレてはいけないですからね。
この前もうっかり死海でぷっかりしていたら、早朝にもかかわらず観光客がわらわらやってきたので、あわてて潜ろうとしたけど間に合わず、白と黒の岩の振りをして事なきを得ました。
もし写真を撮られてインスタだのツイッタやらに載せられたりしたら大変です。新聞に出ちゃいますからね。
多摩川で仲間のたまちゃん(本名はジョージですが)が話題になった時は、仰天しました。
あとね、やっぱり生態系を壊しちゃいけないから、遊びにいった土地での争いなんかは絶対禁止です。
そして、恋もしちゃだめ。異種間交流とかしちゃったら、もうもうトンネル閉鎖されちゃいますから!
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さて、今日も午後から、しろくまBar「ヒヤシンス」に行ってきましたー!
オープンして2週間、もう常連さんたちでにぎわっているようです。すこしずつメニューが増えているようですが、相変わらずハイボールが人気です。
あざらしのあっくんは、今日もまあるい氷を届けに来てくれています。
しかし彼は決して長居はしません。クーラーボックスからそっと氷を取り出すと、そそくさと帰ってしまいました。
いくらマスターが温厚なしろくまさんだとはいえ、やっぱりコワイのかもしれません。
そして、みんなに人気なのが、氷のカウンターです。
ひんやりして、見事に光り輝くロングカウンターなんです。インスタ映えしますよ! パシャリ。
昆布のねじり鉢巻きをしたラッコ君が、大工さんのカンナみたいな道具で磨き上げてくれます。
難点は、体があったかいジャコウウシ氏が居眠りすると、解けてしまうことですかね。昨晩はあと6ミリのところまで記録更新しました。
最近カウンターでカーリングゲームするのが流行っています。
まあ、カーリングと言ってもストーンじゃなくて、代わりにオセロの石を使うんですけどね。
で、白組黒組が別れて、歯ブラシでこすりながら対戦するんです。
ええ、困ったことに、その間は、ドリンクが置けないんです!
お店が終わるといつもしろくまさんがバケツでお水を撒いて、また新たな氷を作っています。
翌朝ラッコ君が「まったくもう」と言いながら、またピカピカのカウンターに戻してくれてるみたいですよ。
*あ、たまちゃんの本名は、本当は知りません。ちと盛っちゃいました。
いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。