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24:専門用語や時代がかった文章が苦手な読者向けカスタマイズ

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和風ファンタジー小説「花咲く夜に君の名を呼ぶ」のカスタマイズは「普通描写版」と「倭風描写版」の切替機能です。

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「花咲く夜に君の名を呼ぶ」は「異世界ファンタジー」ではありますが、その舞台は古代日本風な世界であり、日本神話をモチーフとしている部分もあり、「時代小説」的な要素もあります。
 
なので、雰囲気を出すために「時代がかった言葉遣い」をしていきたいと思ったのですが……
 
「たぶん、そういうのが苦手な読者もいるよな」ということを、同時に思いました。
 
作者的には「せっかくの古代日本風世界」なので「やまとことば」もバンバン使っていきたいですし、歴史的な専門用語もバンバン取り入れていきたい気持ちがあります。
 
しかし、それによって「そういうものが苦手」な読者に避けられてしまうのは嫌だな、と思っていました。
 
そこで考えたのが、このカスタマイズ機能です。
 
より「現代文」に近い文章でマニアックな専門用語も少なめな「普通描写版」と、より「時代がかった」文章でマニアックな専門用語多めな「倭風描写版」……
 
(「和風」ではなく「倭風」なのは、イメージしている世界観が「国風文化の花開く時代」よりずっと以前の時代の日本だからです。)
 
カスタマイズを作り「こんなマニアックな言葉を入れたらドン引きされるかな」という不安もなくなったことで、「倭風描写版」はかなり恐ろしいことになっています……。
 
一応、用語解説を入れてあるので「意味が分からない」ということはないかと思いますが、普通に古語辞典に載っていないレベルの単語がバンバン登場しますので……。
 
ちなみに自分はこれまで小説を書く際、高校入学時に伯父から贈られた広辞苑を使っていたのですが、この小説で初めて「広辞苑じゃ用が足りない!」という事態に直面してしまいました……。
 
(でも広辞苑って、古語辞典よりディープな古語が結構載っていたりするんですけどね……。)
 
……とは言え、カスタマイズごとに使う言葉が違い過ぎるのも作業的に大変なので「同じ漢字だけど、カスタマイズによって読み(ルビ)が違う」ということでラクをしている部分も多々あります。
 
それと、書き始めた当初は「倭風描写版の方が普通描写版より文章が“難解”になるんだろうな」と踏んでいたのですが、意外にもモノによっては「やまとことば」を使った方が平易な文章になるということもありました。
 
「同じ内容を、言葉を変えて2パターン書く」という作業は、難しく苦労もありましたが、その分メリットもありました。
 
それは「文章のパターンが増え、選択肢が増える」ということです。
 
「同じ内容でも、複数通りの表現方法が存在し得る」ということを学べたのは、大きな成果でした。
 
これは単に「現代文」と「時代がかった文章」の2パターンだけでなく、様々なパターンで応用が効きます。
  
同じ内容を書くにしても「あっちの書き方とこっちの書き方、どっちがいいかな?」と、頭の中に複数の選択肢が浮かび、「文章を選ぶ」ことができるようになりました。
 
「文章の幅」が広がり、文章力UPに繋がっているような気がします。

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