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湯船での話

「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日これからやろうとしていることをやりたいだろうか?」
スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で演説をした有名な一節です。

絶対的に「NO」が続いてる毎日を過ごしながら、「まだマシなNO」を目指して、細かいタスクを潰しまくる。そんな日々を過ごしていたのがここ最近一ヶ月のわたし。

「そもそもYESになる見通しはあるの?」
答えに困ることを聞いてくる妻。うっせぇわ、と泣きそうになりながら笑顔で怒るわたし。やじろべえもたまらない、不安定な心理状態が続いていた。

「お前に言われなくてもな、こっちはhふぁksh...」
「あーはいはい。疲れてるのね。わかるわかる。」

怒りにまかせた説教なんていくら聞いても何のためにもならない。遮った妻の判断は正しい。
こういう時、彼女はわたしの何枚もうわてである。

「わかったから、さっさと風呂入っておいで。」
妻に連れて行かれ、頭がまわらないまま、言われたとおり浴槽につかってみる。

、、、あ。

落ち着いてきました。
湯船をでたら妻、いや、先生の肩をもんで感謝しよう。

すると突然風呂場のトビラがひらき、隙間から手が伸びてきた。手渡してきたビニール袋にはコンビニで買ったガリガリくんソーダ味。

「足は温めて、頭は冷やすのがいいらしい。」とのこと。
「さっさと風呂で頭冷やしてこい。」
そう言って、先生はリビングに消えていった。

シャリっとかじる。
風呂で食べるアイスは、いつもより甘い。

この時間はYESな気がする。

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