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「オルタネート」を読んで。

また素晴らしい小説に出会えた。
小説を読み始めて、立て続けに良い作品に出会えて本当に幸運だと思う。
第42回吉川英治文学新人賞受賞のニュースでこの作品を知り、気になっていました。Kindle版が出たタイミングで即購入して読み始めました。

高校生がマッチングアプリをめぐり三本の柱となるストーリーが、順々に展開されていきます。繋がりそうで繋がらない主人公達が、それぞれの生活を過ごしていく内に次第に交わろうとしていきます。また、物語が進んでいく内にどんどんスピード感が増していき、本当に面白い!と感じながら読んでいました。

そして、もう一つ感動したのは描写です。
表現の一つ一つが全くくどくなくて、自然に流れていきます。情景も心理描写もひっかかりがなく、それが余計に物語をスムーズに進めていってくれました。

私自身は加藤シゲアキさんを存じ上げないのですが、
小説を書き始めて10年になると公式サイトのご本人の言葉を読みました。ご自身の芸能活動が停滞していた時に執筆活動を始め、様々な経験を経て今回「読み手を楽しませる」という点を明確に掲げて書き上げたそうです。
その通りの作品になっていると思います。
何気ない会話や一見あまり関係ない様な一つの現象の説明なども、最後には全部繋がってくる考えられた構成はとても勉強になりました。

ツッコミどころは、ほぼないのですが強いて言うなら、
尚志の大阪弁が気になったくらいですね笑
正味、そんなコテコテの大阪弁を喋る高校生いない。吉本の師匠クラスの貫禄があったと大阪生まれ大阪育ちの大阪から出た事のない私が思う、超個人的な感想でした。


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