感想 ドーン 平野 啓一郎読んでて気持ち悪くなってきた、著者の思想を押し売りみたいに押し付けられた気分だ。
有人火星宇宙船ドーンの話し、地上では大統領選挙、そして、東アフリカの戦争。近未来小説です。
読んでて気分が悪くなってきました。
嫌悪感の最大の理由は、平野氏の主張する分人という思想を、この小説の中でまるで押し売りのように許容させようとするスタイルにあります。
人は、場面や相手により違う人格になりうる。
それが分人という考え方で、そういうのもありとは思うのですが、それがあるという前提で物語は展開しています。
他の分人を扱った話しはすんなり読めましたが、これはダメでした。
くどいからです。
話しの軸は、主人公の医師明日人が宇宙飛行士として宇宙船ドーンで火星に行くことですが、そこで同僚のノノが発狂し、リリアンが妊娠します。
帰還すると、地上ではアメリカの大統領選挙の真っただ中。
リリアンの父は副大統領候補です。
父の所属する共和党は、東アフリカの戦争に派兵しています。
まずSFなので造語がたくさん出てきます。
散影 という言葉です。これはアプリだと思う。
顔認証検索ができます。
つまり、誰でもそれはできる。
Aという人を検索すると、無数の監視カメラを使い、そのAさんは丸裸にされます。
つまり、個人のプライバシーのない世界です。
検索するとざっとすべての行動が見れるので浮気なんかできません。どこに何時に立ち寄ったとか、誰と会ったとか丸裸なのです。
可塑整形 という技術が 散影 の対抗手段としてできます。
これは 検索される対象の顔を変化させる技術ですが、さらに、散影は進化し変化前や後までたどれるようになる。
戦争武器についても 蚊の毒素を作った細菌みたいなので攻撃するものが作られます。
ここだけpickupすると楽しそうですが、まったくそうではない。というか、面白くない。
それは著者がやたらと分人という思想にこだわり過ぎるから気色悪くなるのです。つまり素材はいいのに料理の仕方を失敗しているということです。
例えば、リリアンは宇宙船の中で妊娠します。
普通、長旅ですから、船の中で出産とか不可能だし死の確率も高い。
そういうことはしないですよね。明日人はとくに結婚してますから、それに、ノノという仲間がレイプしたみたいになっているし、リリアンもそういう方向で話し進めるし、やっといて明日人も他人事。どういうことなのかわからん。
分人とは、二重人格のことなんかと思ってしまいましたよ。
確かに、人は立場や状況によって行動や考え方が変化することがありますが、明日人の性格からも不倫とか宇宙船でのSEXとかありえないのです。医師ですよ。どうなるか一番わかっているじゃないですか。死にかけたんですよリリアン。
なんか、すべては分人のせいみたいになってるし。
不倫するのも、嘘つくのも分人が・・・みたいなのは気味悪いです。
だったら何やってもいいということになる。
大統領選もなんか変、民主党は確かにリベラルですが、平野さん好みな感じだし。共和党はトランプみたいな候補者なんですよね。
民主党は戦争に反対するという前提で話しを進めているが、ウクライナの戦争で武器支援したり、イスラエルの戦争でも支持しているの民主党のバイデンさんですからね。民主党=戦争反対みたいなのは著者だけが妄信している理想だと思うので、ここで出てくる話しは気味悪すぎます。
なんか、自分の都合のいい風に物語を誘導し読者を洗脳しようとしているのではと感じました。
二人の大統領候補の言葉がそれっぽくて面白いです。
共和党の現職の言葉
民主党の候補の言葉
僕ならこう言います。
生きてるだけで価値あるよ。有益なことをしようとなんて焦らなくていいんだ。
生き方まで説教はされたくない。
この小説、ちょっと苦手です。
2024 7 14
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