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感想 三河雑兵心得伊賀越仁義 井原 忠政 家康の伊賀越に関する梅雪の行動をめぐる茂兵衛の優しさがいい。

本能寺の変の後、堺にいた家康が明智軍がいる畿内から逃げるために敵の多い伊賀越えをする話しがメインでした。

またもや、茂兵衛が活躍する。
この逃走に、穴山梅雪も参加しているが、彼は別ルートを取る

梅雪は家康の身代わりとして落ち武者狩りに殺されるが
本書では、京都へ逃げて明智と合流しようとしたとした解釈を採用

梅雪の死後、家老を助け、彼を説得し
梅雪の真実を茂兵衛は隠す
その嘘を家康も嘘と知りつつ、穴山軍を手に入れるため認める

合理的な家康に対し、茂兵衛は情の人
穴山の家臣たちを守ろうとする
この対比が面白い

さらに、甲府にいる信長の家臣川尻を策略ではめる
家臣の本田という男にわざと川尻を怒らせキレさせようとするが
できぬと知ると、本田を服部半蔵が切り川尻のせいにし
甲府を家康は織田から奪う

この非常さこそが家康だと感じた
正直ものの茂兵衛との対比がますます面白くなっていく

てめえの好き嫌いで動くことはねぇ、あるのは損得勘定のみ、むしろ俺等家来には使えやすい主人だがね


このセリフに家康が見事に表現されている
家康は絶対に情には左右されない
その判断基準は損得のみ

得をするためには、何でもやる
それが家康ということらしい。


2023 12 23



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