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2020年 3月の読書記録

3月の読書記録

読んだ本の数:20
読んだページ数:5021


おすすめ本三冊

・悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える 著者:仲正 昌樹
・不確定世界の探偵物語 著者:鏡 明
・肉体の悪魔 著者:ラディゲ


読んだ本の数が、かなり多い。
休日の外出を極力控えた影響だと思います。
漫画や読みやすい物が多く、「悪と全体主義」以外は、難物に挑戦していないのが残念です。
漫画の中では、ゴーリキーの「どん底」が良かった。
「不確定世界の探偵物語」はSF作品として優れていて、かなり楽しめた。おすすめです。
「肉体の悪魔」は古典の名作であり、いつ読んでも心が震える。
ジャック ロンドンの「野性の呼び声」もいい。
4月は長編と格闘したいものです。


以下、簡単なまとめ

超訳ニーチェの言葉 II超訳ニーチェの言葉 IIの感想
ニーチェの思想は難解で、学生時代にチャレンジしたが苦労した記憶がある。本書は名言集なのでとっつきやすい。パート2である。1に比べると少し見劣りする。有名な「深淵を覗き込んだら・・・」の句が収録されていて感動した。おお、ここにあったのか。ここにあったのですよ。
読了日:03月01日 著者:フリ-ドリヒ・ヴィルヘルム・ニ-チェ

マンガで読む名作 ソクラテスの弁明マンガで読む名作 ソクラテスの弁明の感想
マンガなのにポイントをきちんと押さえていて楽しめた。「無知の知」は名言なので知っていた。最後の場面に、プラトンは病気でいなかったんだ。こういう理不尽は昔はよくあったと思う。今の時代でも罪の捏造は起こりえる。ギリシャ時代の裁判は、へんてこだ。あれだと口の達者な人は、いつも無罪になる。嘘つきも無罪になる。正直者だけが損をする。
読了日:03月01日 著者:プラトン,横井謙仁

まんがでわかる 頭に来てもアホとは戦うな!まんがでわかる 頭に来てもアホとは戦うな!の感想
ビジネス書です。私が思っていたのとは内容が違った。ようするに、会社の中にいるアホと、どんな風にして付き合っていくかという話しなのですが、自己啓発本としてはいいのですが、実践的ではない気がする。こんな性格の良いアホはいないよ。もっとアホはアホで腐っていますよ。そんな人に目をつけられたら、何を言おうがダメ。
読了日:03月01日 著者:田村 耕太郎,秋内 常良,松枝 尚嗣

ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)ヘブンメイカー スタープレイヤー (角川文庫)の感想
2つの物語が、やがて1つに重なっていく。なるほと゛・・・納得した。人間の感情は予想できないものなのだなぁと思う。バベルの町が、彼がいなくなったとたん対立し崩壊していったり、初恋の恋人に裏切られたり。ラノベのような軽さと冒険小説が混じったような不思議な感覚です。彼は世界をよくしようと思っていたのだろうが、相手は人間。そんなにうまくはいかない。まるで自分が神にでもなつたように主人公に寄り添うことのできる作品でした。でも、人は神になってはいけない。
読了日:03月03日 著者:恒川 光太郎

悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書 549)悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書 549)の感想
全体主義は突然変異だと思っていたのだが、ヨーロッパの歴史の中で産まれて来たのだとわかりびっくりした。アフリカを植民地支配したことにより優生思想、人種主義。金融業を独占していたユダヤ資本。国を持たない彼ら。歴史的に突き上げて来た差別意識が総合し、排他的というのか、あのナチスの全体主義が発生した。その中心を担った大衆の存在。ユダヤ虐殺の実行者の語った罪の意識の皆無。難しいが学ぶべきものが多い本であった。
読了日:03月05日 著者:仲正 昌樹

刑務所いたけど何か質問ある? マンガ『刑務所なう。&わず。』完全版【文春e-Books】刑務所いたけど何か質問ある? マンガ『刑務所なう。&わず。』完全版【文春e-Books】の感想
刑務所って楽しいところじゃん。おもしろいユニークキャラのおっちゃんがたくさんいて、コーラーやアイスも飲める。映画もテレビも見れる。面会はOkだし、差し入れにエロ本。看守も優しそう。これは普通に面白い本だった。刑務所に問題があるとしたらエアコンがないことかな。冬はかなり寒そうだし、夏は逆に熱そう。生ぬるい麦茶は嫌だな。
読了日:03月07日 著者:原作 堀江貴文,漫画 西アズナブル

行動力のコツ──結果を出せる人になる96のことば行動力のコツ──結果を出せる人になる96のことばの感想
ポジティブとネガティブの2つの感情があって、人間はどちらかというとネガティブにすり寄っていくという話しは、色んな人が言っている。だから、ポジティブに無理から考え方の軸を持っていかないといけない。本書を読んでいると、そうなれる。ポジティブになり、行動的になっていく。同じような単純な、どこかで読んだような記述が続くので馬鹿にされたような気分になり、こんな読書は無駄だ、レベルが低いなどと思ったりもするのだが、読んでいるうちに無意識が洗脳されているのに気づき。「すごいじゃん」と思ったのだった。いい本です。
読了日:03月07日 著者:植西 聰

1984年 ─まんがで読破─1984年 ─まんがで読破─の感想
全体主義の恐ろしさがよくわかった。相互監視の社会。ちくり社会というのか?。そこでは、性欲すらも否定される。部屋や道や店が監視されていて、戦前の日本や共産主義の国のようだった。最後の拷問のシーンが強烈なインパクトがあって印象に残っている。救いのない話しだった。こんな世界で生きていて幸せだと言えるのか?。
読了日:03月08日 著者:ジョージ・オーウェル,バラエティ・アートワークス

秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫)秘書綺譚~ブラックウッド幻想怪奇傑作集~ (光文社古典新訳文庫)の感想
表題作の生肉を食うシーンが強烈だった。あとは、ゴブリンが光るものを収集する話しとかも興味深い。「約束」の死人が訪ねてくる。あの話しもおもしろく、でも、誰もいないベットでいびきだけが聞こえてくるというのもやっかいだ。吸血鬼、千里眼。幻想小説。それに「幽霊」ものとジャンルは多岐にわたっていて楽しめるが、やはり古さを感じてしまう。そこが残念だ。
読了日:03月10日 著者:ブラックウッド

不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫)不確定世界の探偵物語 (創元SF文庫)の感想
一人の人間を神とする世界が、本当に存在しても良いのか。 世界に一つのタイムマシーンが存在する世界。ブライスという男が、世界をより良いものにしようとしている。だから、いきなり、その時代が変化し便利になるが、それは現代人が何かを生み出すことがなくなった社会でもあった。 一人の探偵が、そんな社会で事件を解決していくバードボイルド。かなり面白く、短編集なのだが最終的には繋がっている。未来からやってきたりする奴らもいて、主人公と相棒の女性は常に危機的な状況となるのだった。
読了日:03月12日 著者:鏡 明

武士道 ─まんがで読破─武士道 ─まんがで読破─の感想
西洋の道徳は「キリスト教」という背景があるのに対し、日本は「無宗教」なので何もない。新渡戸稲造は外国人に聞かれて困った。そこで日本にも「武士道」という道徳規範があったと・・・。それを簡単に漫画で解説したのが本書である。読みやすくていいのだが、少し軽い。それと考え方が時代錯誤だ。他人を思いやる優しさや。正義感には共感させられる点が多々あったが、自分の妻を「愚妻」と呼んだり、土産物を「つまらないものですが・・・」と表現するところは、現在的ではない気がする。特に、妻に対する態度はパワハラである。
読了日:03月14日 著者:新渡戸稲造,バラエティ・アートワークス

超訳 ゲーテの言葉超訳 ゲーテの言葉の感想
ゲーテの名言集。あらゆる盗人の中で、もっとも質が悪いのは、愚かな人間だ。 彼らは、金品は奪わない。しかし、人の貴重な時間と快い気分を奪っていく。
読了日:03月14日 著者:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

マンガで読む名作 どん底マンガで読む名作 どん底の感想
帝政ロシアの時代は民衆は貧しかった。この下宿は、職人、死にかけの人、泥棒、元男爵、売春婦、役者、無職の男、イカさま師と癖ある貧民たちのたまり場だった。そこに爺さんがやってくる。キリストのような聖人だ。人々の心が少しずつ変化していくのだが、家主の妻と泥棒が不倫していて、泥棒はその人の妹が好き、妹は家主と姉にいいようにされている。浮気妻から亭主を殺し妹と逃げろと提案されるが断るも、その妹はイジメられ、結局、家主を泥棒が殺すという悲劇の輪島塗り。どこにも幸せはないのだが、何か心の底が温かくなる。そんな作品。
読了日:03月15日 著者:ゴーリキー,横井謙仁

肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫)肉体の悪魔 (光文社古典新訳文庫)の感想
肉体の悪魔 ラディゲ 20歳で早世したラディケの不倫小説。戦争中のフランス。16歳の少年と19歳の軍人妻の不倫を少年の揺れる不安心理を要り混ぜながら描いた秀作である。少年の子供っぽさが楽しく、不倫というよりも遊んでいる。恋愛ゲームをしている感じに思えた。自分の子を妊娠してしまったあたりから雰囲気が変わってくる。彼女の友達との怪しい出来事や、双方の両親の対応も興味深い。最後のシーンは胸にぐっとくる。
読了日:03月18日 著者:ラディゲ

まんがでわかる指名される技術(1) 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術まんがでわかる指名される技術(1) 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術の感想
ホステスさんの技術からビジネスを考察するという試み。確かに参考になることがあった。何かに集中して依存するのは危険だ。ホームランバッターより3割打者になるのが良いのだ。ホステスというのは商売であり、人間は自分本位であるから。客のそういう感情をうまく満足させる。それが客商売の本筋なのであった。自分はよそに置いておいて、まずは客という姿勢は参考になる。
読了日:03月20日 著者:堀江貴文,斎藤由多加

君にはもうそんなことをしている時間は残されていない君にはもうそんなことをしている時間は残されていないの感想
言っていることは正論だし共感もできたが、今の空気を読みあう日本の社会で、これをやると浮き、仕事がやりにくくなる。ようするに、大切なのは時間であるということだ。その時間をどれだけ有効活用するかによって幸せ度が違ってくるということなのかな。通勤時間の無駄、行列のできる店に並ぶ無駄、意味のない講習に参加する時間の無駄。くだらん付き合いに時間を消費させられる無駄。なるほどと思いました。
読了日:03月21日 著者:千田琢哉

総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)の感想
総理の物まねをしていた役者が死んだ総理の影武者をして国難を乗り切るという無理設定なのに、最後は感動した。一個の人として問題に向き合う真摯な気持ちが胸を打つ。政治や経済のことも色々と出てきて、実在の人物であろう人たちも登場する。作者の政治的な立場は与党寄りである。なのに原発は反対。他は何となくアベノミクス。社会党党首らしきおばさんをクズ扱いし、民進党ですか?。民主党ですか・・・、前政権を無能バカ扱い。今の総理はヒーロー扱い。ちよっと偏りを感じるが、まぁ、これはこれでいいのでしょう。ラストは良かった。
読了日:03月24日 著者:中山 七里

たった一人の熱狂 (幻冬舎文庫)たった一人の熱狂 (幻冬舎文庫)の感想
激しい生き方だなぁと思う。「読書という荒野」というこの方の本とダブるところがあり、ちょっと残念。とはいうものの激しい生き方だと思う。努力努力の人なのだ。その先にしか未来や成功はないと思っているのだろう。そういう人しか人として認めないのかもしれない。この本を読むと心の底にある熱い何かが刺激される。とても良い本だと思う。
読了日:03月24日 著者:見城 徹

野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)野性の呼び声 (光文社古典新訳文庫)の感想
野性の呼び声 ジャック ロンドン  主人公はバックという少しニヒルなかわいげのない犬です。犬社会の序列とかおもしろかった。にしても、これは過酷な運命だ。犬の存在が、いかに人間の存在に左右されるのかがわかる。犬の視点で物事を見ると人間の愚かさや残忍さが見えてくる。夫婦と弟と14匹の犬のパーティの旅が象徴的で、無理をさせるから飢え死にしたりする。最後は、彼らも死んでしまう。最後のオチは、ちょっと・・・。せっかく出逢った善人の人間を殺すのは悲しい。動物はやはり野生で生きるのがいいということなのか。
読了日:03月26日 著者:ジャック ロンドン

薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)の感想
薬屋のひとりごと 日向 夏 医学ものであり王宮もの。猫猫のツンデレキャラがよくて、宦官の美青年壬氏との漫才のような掛け合いも楽しい。ほんわかとした雰囲気の中に毒だとか死とかの問題が見え隠れしてくる。のりが軽く、サクサク読める。読んで損はない。好きなシーンは、子供をおしろいの毒で亡くした妃の世話をしていた時、そこの取り巻きたちが病気の妃に「美しくあって欲しい」とおしろいをしているのを発見した時の猫猫の台詞。「誰 が 自分 の 餓鬼 殺し た 毒 を 喜ぶ ん だ よ」。この毒舌がたまらん。
読了日:03月29日 著者:日向 夏


2020年 4/1

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