見出し画像

感想 未来 湊 かなえ 生きるとは、苦痛なのだと証明したいのか。この物語に救いはあるのか?。


たぶん、モチーフは子供の貧困。
それはイジメと関係していて
主人公の少女は、ヤングケアラーでもある。

前半の少女の壮絶な半生。
精神を病んでいる母との暮らし。
暴力をふるう母の愛人の理不尽。

もし、未来からの手紙を受け取っていなかったら、果たして彼女は生きてこれたのかと感じてしまう。

共感する、もう一人の少女との共犯関係も魅力の一つだ。

不穏な前半のパートを。後半のパートは伏線を回収し
物語の骨格を組み立てていくような、読者にとってはわかりやすいが、激しい物語となっていきます。

未来からの手紙の謎の解明。
つまり、あの先生の壮絶な過去と父の想い。
さらに、最後のエピソードにおける父と母と彼女にとっては叔父となる母の兄の物語。
これは魅力的で
過去と今が繋がった瞬間。
それはすべて、誰かが誰かを助けたいと思う熱情の表れだったとわかるのでした。

原因は・・・

それは貧困のせい
変態の親のせい
学校のせい

そんな単純な枠組みに入れ込むと変になるのでして
それは、相談できる信頼できる大人の不在なのかもしれない。

少女二人がドリームランドの前で、思う。
誰か大人に相談しよう。
ここには、こんなにたくさん人がいるでしょ。
という言葉に意味がある。

問題を自分たちで解決しようとするから過激になり
殺害するとか放火するとか毒殺するとか追い詰められるのですが
相談してたら、もしかしたら何か解決策があったのかもしれないと思うのです。



2024 7 22




この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?