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感想 アキラとあきら  池井戸潤 池井戸作品は銀行が出てくる話しが面白い。最終稟議には鳥肌が立つ。



銀行へのリスペクトが強い作品だった。
銀行とは何だという問いかけが、この作品には見てとれた。

二人のあきらが出てくる。
父が無能で騙されて会社を倒産させて夜逃げし
銀行員になったあきら
大企業の創業一家の長男として生まれたが、銀行員になり
弟の失態で会社を引き継ぐしかなくなった企業人のアキラ

この物語は、銀行家と企業家がタッグを組み難問と共闘する物語だ。

バブルで購入したリゾートホテルが本業を傾かせている。
このままじゃ、本体すら共倒れしてしまうという窮地なんだ。

とにかく魅力的で長いのだが一気に読めた。
それだけ面白かったということです。

金は人のために貸せ、金のために金を貸した時、バンカーは、ただの金貸しになる。


これはあるバンカーのセリフです。
この言葉を聞き、貧乏なほうのアキラは、そういうバンカーになると誓う。

しかし、実際は思うようにはいかない。
たいていのバンカーは、自分の成績しか興味がなかった。

ただの金貸しとかわりない。

相手を見て、生きた金を貸すのがバンカーだ。金貸しとバンカーとの間には、埋めつくせないほどの距離がある。同じ金を貸していてもバンカーの貸す金は輝いていなければならない。


これもあるバンカーの言葉だ。

その金は何のために貸すのか
そこが重要なのだ。

金儲けが目的で金を貸すのなら金貸しである。
しかし、銀行は違う。
金に色はないとみんなは言う。
でも、色はあると言う。
色のある金を貸すのが銀行家なのだ。

その金はきっと輝いている。


もう一つ気になった言葉がある。
企業家のアキラの叔父さんの言葉だ。
彼は弟と二人でバブル期にリゾートホテルを建てた。
それが今の現状を招いた原因だった。


敗北宣言は、勝利宣言の何倍も勇気がいる・・・・


この言葉には大きな意味がある。
人は、誰でも負けは認めたくないものだが、これを認めなくては先に進めない。
それが人の業である。





2023 7 19




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