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感想 スクール・フォー・グッド・アンド・イービル  ソーマン・チャイナニ ハリーポッター風の学校なんだけど、何かが足りなくてスケールが小さい。


善と悪の学校へとさらわれた子供二人が、おとぎ話の登場人物となる学校に通うという設定です。
ソフィはいかにも善の容姿なのに悪に、アガサは悪の見た目なのに善に。その葛藤が面白い。

映画化されています。



ルッキズムがモチーフだと思いきやシスターフッドの物語でした。
善とか悪を超越した友情が彼らを救うという物語なのかと感じました。

正直に言うと、ハリーポッターのスケール小さな学校の話し。
さほど面白くなかった。

物語の核は、ソフィという美しい少女が悪の学校に
貧乏で容姿が悪いアガサが善の学校に
その葛藤と友情を描いたところが良かった。

恋が二人の友情の障壁になります。
男子を意識すると女子は変わりますから。

ルッキズムがすべてみたいに感じた、この世界感。
美=善 悪=醜
実際、ぶさいくになる授業とかもあります。

アガサが途中から魅力的になる。
笑顔が素敵になったり服や容姿に気をつかうと激変する。

ブスとはブスッとした陰気な態度が根底にあり
それはアガサが墓地に住んでいて貧しかった卑屈だった
つまり貧困が原因で、それが取り除かれ自信を回復すると輝きだしたのでした。

貧乏全否定みたいで不快です。
見た目がすべての世界観だとそうなのかな。

逆に、美しかったソフィは容姿が悪くなり
悪らしい性格になっていく

善や悪は環境に強く影響されるということなのか。

ルッキズムが全体的に強くて
美=素晴らしいみたいな感覚で語られるので
少し前の世代の人、運動会の順位をなくすのが正しいとか、ミスコンを廃止しなさいとかの考えの人には違和感ありありかもしれません。
僕でもかなり抵抗がありました。

先日、友達とLGBTの話しをしていたのですが、昔は、子供の男子が女子みたいにべたべたしていたのをよく見かけましたが今は少ないらしい。
小学生にもLGBTの授業をすると彼は言ってた。すると意識するのです。ホモとかを差別してはいけないと言われると、ホモを意識する。ちょっと大人びた女子などに。あんたら付き合っているのと聞かれたり、男子からは、おとこ女とからかわれる。せっかくの友情が崩壊する。子供が子供らしさを大人の価値観を押し付けることで無くす。

LGBTの授業は中学になってからというのが友達の考えです。

ルッキズムに関する考えについてもそうで、僕の子供の時は男子が整形や化粧したり美醜を気にすることはなかったです。
しかし、今はそうではない。
その友達が言うに、ちょうどルッキズムが話題になったり、ミスコン廃止の話しが出てきた直後から子供の世界では見た目がやたらと意識されるようになったというのです。
何かの小説で読んだのですが、援助交際したい女子がその組織に面接に行った、動機を聞かれて金貯めてプチ整形がしたいと言うと、仕事舐めんな、整形してから応募して。客をバカにしているのかと罵倒されるシーンがありました。
援助交際して金を貯めて整形するという発想自体がダメで、整形して自分の価値を高めてから援助交際して稼ぐが正解なのだそうです。
美=優れている という価値観が浸透しているということなのかもしれません。
大学生になる前にプチ整形する。父親に金を出させるなどという話しもよく聞く。
昔は、そこまでルッキズムを気にしてなかったので、最近、やたらとみんな気にするようになっている。

つまり、ヘンテコな主義主張じゃ人間の本能の部分は制御できんということなのかもしれない。
やらないよりはましですが・・・。

善は見た目ではありません。
その人の心のありようだと思います。

善のみんなが戦う理由は、ぶさいくになった自分を元の美しい自分に戻すことなのですが
その時、アガサはベアトリスに言います。

外見なんて関係ない
でも、アガサは、まだ、かわいいもん
そう、アガサだけは変化していない。


だいじなのは、何をするか



美を取り戻すことなんかじゃない。
正しいことをするかどうか。
つまり、外見ではなく心のありようなのです。

そして、善と悪が手を結ぶというシスターフッドな帰結に導かれるのです。



2023 9 17





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