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しりとりエッセイ ぶ ぶっちゃけトーク

 >>> <ぶ> ぶっちゃけトーク


今夜は、無礼講だから・・・
とか、ぶっちゃけトークでいこう・・・
などいう言葉を信じたら最悪な目にあう

Nは、大学を卒業し一部上場の建築会社に入社した
3か月まじめに研修をこなし、仕事も頑張った。
早稲田出身の人たちが幅をきかせていた職場なので京都の私立大出身の彼は少し逆風にさらされていた。
何かと不満はあった。
早稲田と言ってもピンキリで、俺は偏差値では負けてへんでという思いもある。
何で、早稲田が偉くて京大とかの人まで遠慮せにゃならんのだと思っていた。

簡単な話しなのである。
部長が早稲田で、課長、係長も早稲田。
つまり、この部長の波平頭が問題なのだ。

他の大学出身の新人を思いっきり下に見る。
どういう基準か知らんが、東大の人にも「けっ」なのである。
だいたい、学歴なんかは就職したら、そこまでとNは思ってた。
なのに、早稲田、早稲田とうるさい。
飲み会になると「早稲田」が中心になって、学食がどうたら、何とか教授が、どうたらと・・・。
というか、おい、部長は60やぞ。
卒業して何年たってんねん。

Nは、早稲田出身というだけで、同僚が自分よりも優遇されるのに腹をたてていた。
正々堂々、実力で勝負したれやと思っていた。
だから、ぶっちゃけトークの時間ですよと言われて、まさに、今が好機。
これを逃したら、俺は一生、うだつの上がらん他大学の出身者で終わる。
下手をしたら30までに子会社に飛ばされる。
それだけは嫌じゃいと思った。

それで「早稲田」「早稲田」って何やねんと言うてしまった。
「くそ、B級大学やねぇか?」
「俺の方が、そいつより偏差値高い」
すると、その男は東京と関西では偏差値のカウントの仕方が違うとか、価値が違うとか屁理屈を言い
東京の偏差値75は、京都の偏差値77に匹敵するという新たな仮説。
というか、暴論を繰り出してきて、ということだから、京都大学卒のXXより自分は上と言い出した。お前より、俺は上と断言した。
それはない。関西と関東で偏差値の数値の価値が違うなんてありえない。
なら、関西で100円のものが、関東では110円でなくてはなんないぞ。そういう理屈になるのだ。
「そもそも、偏差値とか、出身大学とか、就職したんやから関係ないやん。そもそも、ぐびぃーーー」とNが泥酔しながら絡むと、そいつは「ある」「ある」「ある」と連呼したのだという。
それに合わせて波平部長も「ある」「ある」「ある」と叫んだ。
京都大学よりも、早稲田が上だと豪語したので、Nはテーブル叩いて立ち上がり「この禿げが!」と思わず叫んでしまった。
その場は、皆で大爆笑をして終わった。

でも・・・。
以後、彼は管理職から、その存在を無視され続け
昨年の末、子会社に出向となった。
禿げの波平部長が定年退職するまでは復帰は絶望的とのことである。

教訓、ハゲの人にハゲと言ったら、死ぬまで恨まれる
上司に逆らうと、出世の道を断たれる
それがサラリーマンなんだよな。

2020 6/11

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