感想 BIGTHINGSどデカイことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか? V・フリウビヤ 大規模プロジェクトはどうして予算超過するのかの謎を解説したのが本書、事例が多く丁寧に書かれています。
大阪万博の追加費用が膨大で驚くばかりなのですが、世界のこういう大規模プロジェクトは、ほぼ、すべて、予算が膨張しているとのことです。その原因や構造を専門家が解説したのが本書です。事例が多くなかなか面白い内容になっていました。
最初に大切なこと、本書の言いたいことを書きます。
大阪万博のような大規模プロジェクトは期限があります。
だから、構想数十年というわけにはいかない。
十分に考えこまれる前に建設に入るという杜撰な計画が問題なのです。
たいていの大規模プロジェクトはそうなので失敗しています。
たいていの大型プロジェクトは、大幅な予算超過が発生している。
大阪万博なんてましな方でした。中には予算の10倍なんてのもあります。
失敗するプロジェクトはズルズル長引きがちだが、成功するプロジェクトはスイスイ進んで完了する。
工事が長引けば、それだけリストが上昇するとのことでした。
なら、どうして失敗するのかということになります。
そこには人の思考の癖が関係していると著者は言います。
固定化とは、ほかに選択肢があるかもしれないのに、それが唯一の選択肢であるかのようにふるまい、結果として予想以上のコストやリスクを負ってしまう、人や組織にありがちな傾向を言う。
こういう人間の本質が、大規模プロジェクトの失敗に関係しています。
さらに、目的のためなら手段を選択しない役人たちという存在もいます
案を通すだけの楽観的な見積もりが出されるケースも多いとのことです。
既成事実を作ってしまう。すると計画は止められない。
人は損を嫌う。初期費用を無駄にできない、失敗を認めたくないという心理から、その計画は続行されるというわけです。
これらからの教訓は、見たものがすべてだと、つまり必要な情報や知識がすべて手元にあるとは思いこんではいけないということです。
それを建てる前に、本当にそれは必要かを問いかけてみることが大切です。
もう少し人の本質を見ていきましょう。
成功するには緻密な計画が鍵になります。
なのに、納期が早いと緻密な計画は作れません。
経験のパワーの大切さも言っています。
が、人は最初に何かをすることにこだわる傾向がある。
計画が緻密でないのに走り出す。だから失敗する。
人は直近に見た数字に引っ張られる。つまり、アンカーの質が重要となる。その数字を数ある数字の一つという目で見る。自分は違う、今回は違うと思ってしまうと危険です。
計画段階でこそ創造的になれる。
行き当たりばったりでは良いものは作れないのです。
熟練の棟梁や優れた大工の確保も大切なのです。
本書を読んで感じたのは、無駄な大規模プロジェクトが多いことでした。速さを求めるため、緻密な計画ができておらず、故にも工期に入ってから追加することも多く、さらに予算が増大し数十倍にもなるケースが多々あります。
その計画の杜撰さが原因だと感じました。
これは大規模プロジェクトだけのことではなく、色んなことにも応用できる経験値だと思います。
計画はじっくり緻密に、ただし行動は早く。
この考え方は色んな場面で使えそうです。
2024 4 27
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