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感想 はぐれんぼう 青山 七恵 もう少し短くて枝葉を切り取ればすっきりしたのに。とにかく長い。


クリーニング店で勤務している優子さん。
上司に「誰も乗せていない回送電車みたいなひと」って言われている女の人。

店で引き取りてのない商品は、倉庫に運ぶ
それが返品されてきた。
つまり、それは行き場のない子たち

彼女たちは、そんな商品に「はぐれんぼう」と名付けた。

優子さんは悪夢を見る
気がつくと、持ち帰り破棄処分にしようとしていた衣服たちにまとわりつかれていた。

着ぶくれした感じのちぐはぐな姿のまま
彼女は気がつくと外にいた
着ているのは破棄処分にされるはずの「はぐれんぼう」たち

藤色のネクタイの持ち主の家に
ネクタイを持ち主に届ける
しかし、拒絶される
身に覚えないとまで言われる

それは家出した妻が買ったものだったとのこと

「はぐれもの」は、持ち主から、いらないとされたものたち
優子さんは、彼らと自分をタブらせる

倉庫に向かう
何故か徒歩
そして、途中、自分と同じような着ぶくれした人たちと出会い
みんなで倉庫に

そこはディストピアの世界だった
そこでは仕事、役割がみんなに与えられた
そこにいる限り、自分は必要な存在であると自覚できる

しかし、そこでも必要とされない衣服や人はいて
燃料にされてしまう
それを彼らは生まれ変わりというが
それは死だ

理想郷と思っていた倉庫が、実は、必要がないものを焼き、それをエネルギーにして施設を維持していたとわかる。


ここにあるのは、言語化できない感情であり
それを何とか物語にしたのが本書のように思えます

世間から拒絶された必要がない人や衣服たち
優子さんと仲間たちも、そういう人たちです
倉庫では、役割を与えられて、みんなに必要とされるのですが

そこでも必要でなくなると、その施設を維持するエネルギーにされてしまう
それでも誰かの役にたつんだからいいやという発想もありますが
そうじゃなくて、必要じゃなきゃ存在してはいけないのかという問いなのかと思いました

そういう問題はなかなか言語化できないし
感情も言葉に置き換えられない

こういう風に物語にしてやると、すんなり納得できたりしてしまう
役にたつ人間だけが存在できる世界は何かおかしい

そんなことを感じました。


2022 11 8


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