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書評 カラフル 森 絵都  人生の敗者復活戦、環境を変えるだけで別人のように生き生きしていく。

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天界にいた彼は、自殺した中三の少年になって転生する
そして、自分の問題と向き合うのだった。

周辺のキャラが濃いいので、物語の濃度もそれなりに深くて良い
人には、いろんな事情があり、複雑なのだなぁと思ってしまう。

軽いノリで始まるので、とっつき易い。
両親の事情、兄との不和、クラスになじめない・・・
好きな女子が・・・

追い込まれる人間は視野が狭くなる
景色が黒一色になり
死ぬしかないと思ってしまう

本書のタイトルは「カラフル」
黒しかないと人生を諦めていた彼が
この敗者復活戦を戦うことで、人生にはいろんな色が存在しているのだと気づく。
これは希望の物語だ。

少し自分が変わるだけで
周囲は劇的に変化する。
物語だから、こうなのだが、それでも心強い。

2つほど気にいった言葉を見つけた。
最後に、それを紹介したい。

今日と明日はぜんぜん違う。明日っていうのは、今日の続きじゃないんだ。

絶望が永遠に続くわけではない。
今日は雨でも、明日も雨とは限らない。

この大変な世界では、きっと誰もが同等に、傷ものなんだ。

心に余裕のない人は、自分だけ傷ついたと思ってしまう。
人は簡単なことで傷つく
だから、本当は多かれ少なかれ、みんな、傷を抱え込んでいたりする
それを知っているか知らないかで
かなり心の余裕は変わってくるように思える。

自分だけが傷つけられた
しんどいと思ってはいけない。
それが永遠に続くなんてありえない。
たぶん、みんなしんどい
明日は楽しい日かもしれない。
たぶん、未来は明るい。

*映画化されています。
2021  627




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