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感想 生物はなぜ死ぬのか 小林武彦  死に対する考え方が変わる。生物学の本です。面白かった。

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生物学の本です。
理系の人向けです。
簡単そうで難しかったです。でも、楽しい。

【ビジネス書グランプリ2022ノミネート作品】 

生命の死には、重要な意味がある。

遺伝子に組み込まれた「死のプログラム」とは? 

死生観が一変する、現代人のための生物学入門。


気になったとこだけピックアップしていきます。

この本のモチーフは、そもそも何で生物は死ぬのか?です

生物と無生物の違いは、単独で存在でき、それ自身で増えることができるかどうか?

だそうです。

 生き物は進化が作ったと著者は言う。

生命の誕生は度重なる偶然と、効率的に増えるものが残り、死んだものが、その材料を供給したからで、それは変化と選択です。

古いものが滅亡し、新しいものに変化した。
より効率の良いものに選択された。

生物界には常にリストラが行われている。絶滅し別の生き物が発生する。

学生時代習った遺伝子ですが、疑問がありました。
DNAとRNAの違い
これわかりました。

生物のはじめはRNAだったらしいのです。
しかし、これは壊れやすい。つまり変化しやすい。
タンパク質と結合することで安定化していった。
そして、DNAができた。

DNAは安定している。二重螺旋構造だからだ。
そのようにしてRNAがDNAにとって代わられた。

次の大きな変化が起こった

真核生物の誕生と多細胞生物の出現

生物発生までのプロセスが前半の内容でした。


著者は現代を過去最大の大量絶滅時代と呼んでいる。

少なくとも100万種は数十年以内に絶滅の可能性がある。
人間の営みのせいである。
生態系が至る所で崩壊しドミノ倒し的に生物が絶滅しているのだ。

現在進行中の大絶滅は、申し訳ないことに人類の活動が原因で引き起こされています。隕石の落下級以上の影響を地球に与えている

生命の致命的な絶滅の危機は過去にも数度あった。
それは進化の糧であった。
恐竜が絶滅したから、哺乳類は進化できた。

人類の進化は 死 によってもたらされたのだった。
絶滅による進化が、新しい生き物を生み出したのだ。

生物を作り上げた進化は、実は絶滅=死によってもたらされたものです。

死も進化が作った生物の仕組みの一部だということです。

生き物の死には2つある

アクシデントによるもの。食われるとか。隕石が落ちて絶滅とか。
寿命

小型の生物はアクシデントで死ぬことが多い
食べられにくくとか、子供をたくさん産むとか進化した

マグロは、食べてくれと言わんばかりに100万個もの卵を産みにばらまく
鮭はわざわざ大変な思いをして川の最上流まで遡って産卵する。
捕食者が上流には少ないからだ。

人が老化するのはどうしてか?
この疑問の問いも面白かった。

細胞の老化には、活性化酸素や変異の蓄積により異常になりそうな細胞を異常になる前にあらかじめ排除し、新しい細胞と入れ替えるという非常に重要な働きがある。これによって癌化のリスクを抑えているのです。

つまり、老化は癌の抑制のための手段ということになる。
若年でがん患者が少ないのは、その機能が効いているからなのだ。
副産物が老化である。


癌の抑制は、これと免疫システムの活躍によるものらしい。

わざわざ細胞を死なせるプログラムが遺伝子レベルで組み込まれている。

死とは・・・

多くの生き物は、食われるか、食えなくなって餓死します。これをずっと自然の中で繰り返していました。

ある種類の蜘蛛は、生きているときに自らの内臓を吐き出し、生まれてきた子に与え、それがなくなると自らの体そのものも餌として与えます、まさに死と引き換えに生が存在しているのです。

生き残りの仕組みは、変化と選択です。

変わりゆく環境下で生きられる個体や種が必ずいて、それらのおかげで生命の連続性が途絶えることなく繋がってきたのです。

人間の死についても書いてましたが、あまり興味がある話題じゃなかった。
割愛します。

2022 3 12



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