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感想 ブラッドマーク  堂場 瞬一 アメリカの野球選手が賭博で借金、それが元で仲良しの娘が誘拐される。これって大谷のあの騒動を意識して書かれていますよね。探偵のキャラが素晴らしい。エンタメとしてかなり優秀。



野球選手が賭博で大金を借金という設定は、明らかに大谷の事件を匂わせている。
たぶん、あの事件が発覚後、本書の内容に修正があったのではと思う。
でないと、こんな感じのミステリーは書けないと思う。

本書の魅力は、探偵のキャラの魅力だと思います。
舞台はアメリカNY。

探偵ジョーに、メジャー球団から依頼が。
獲得を目指す有望選手を調査してほしいという。やがて、スポーツ賭博の疑いが浮上し……。

レイモンド・チャンドラの小説に出てくるフィリップ・マーロウみたいな名探偵が体当たりで事件を解決します。スピード感がありなかなか面白かった。
エンタメミステリーとして、かなり優秀です。

僕はこういう小説は好きです。一気読みでした。

水原一平さんと、この野球選手は同類でスポーツ賭博に手を出しています。
違法賭博です。

違法賭博の細かい描写に驚いた。

野球だったら完全にアウトだと言う話しから・・・・

自分がプレーしているチームが対象なら、何でもできる勝ち負けまではコントロールできなくても・・・特定のバッターの特定の打席の結果とか、ピッチャーがある回の最初に投げる球がストライクかボールかとか・・・


だからFBIが必死に調べていたのですね。大谷を。
それにしても、アメリカという国は何でも賭けの対象にするのですね。
それが合法の州もあるというのだから驚く。

この野球選手、隠し子がいます。その子供を胴元のマフィアが誘拐し金を要求されるのです。
この選手の賭博をやりだした理由というのが、この子供の養育費を払うためでした。彼は賭博でずっと養育費を払っていたのです。マイナー選手のため年俸は安かったからです。彼は賭博が天才的に強かった。

ですが、大負けを食らってしまった。それでも、また、賭博で勝てば返せると思っていた。
これが賭博にハマる人の危険な発想なのだなと思いました。

20万ドルという借金は多額で、普通の人では返済できない金額です。
なのに、平然と笑っていられたところに彼の不安定さがあります。
これくらいすぐに取り戻せるって発想が怖いです。

このような違法賭博がまかり通るアメリカという社会と、その金銭感覚の異常さが、大谷事件の背景にあるように感じました。

ジョーは、この事件を生命がけで解決します。
今回も金にもならない仕事でした。
なのに死にかけた。

どうして探偵なんかやっているんだ?と問われます。

彼は答える。

メジャーリーガーと同じだ。彼らも子供の頃から野球ばかりやってきて、それしか知らずに一流選手になった人ばかりでしょう。私も若い頃から探偵しかやってこなかったので、これしかできない。


この物語の面白さは、この探偵のキャラにあります。
少しハードボイルドな感じでカッコいいです。




2024 5 29



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