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うちのパパの話

パパのお話をしよう。
父親というのは、千差万別。
美容師をしている父親は大体、おしゃれでパーマをかけていて細身で、他の同級生のパパママより少し若め。飲食店や営業職、郵便局で働いてる父親は大体、少し陽気で、運動会で活躍するタイプ。公務員や、企業勤めの父親は、堅実な昭和の匂いを漂わせている。まあこれらは完全に私の時代の、私の小中学校界隈での偏見だけど。そしてもっと広義に捉えると、父親と言うのはおそらく2種類に分かれる。小学校の授業参観なんかで、◯◯くんのパパだ!と言われ、子どもの同級生たちに絡まれるような、親しみやすいタイプのお父さんと、友達から見ても◯◯ちゃんのパパって怖いよね、と言われるような、子どもの同級生とあまり関わりを持たないタイプのお父さん。

そしてうちのパパは圧倒的後者。しかめっつらだし、そもそもの顔が怖めだし、実際に子どもである私でも怖いと思っていた。短気、という部分はもはや治しようがない。田舎の方言も相まって、もっぱら口が悪い。自分のこだわりのようなものがあって、親と子であるという、上下関係のような境界をしっかり持ちたいタイプ。人見知り。のように見えて、家の中では陽気なおじさん。変な動きしたり、変な歌歌ったり、ゾゾスーツ着て写真とったりする。どうでもいいようなことを家族LINEに共有してくるから、私と妹の間ではまたパパ!となっている。(優しいお兄ちゃんは、どんなに些細なことでも反応を忘れない)。旅行に行く時は予定表をつくったりもする。冠婚葬祭やらなにかしらのお祝いやらででもらったお金なんかは、Excelにまとめて忘れないようにする。繊細で、心配性。ご飯たくさん食べるし、お酒もたくさん飲む。お酒の飲み過ぎですごい転んで血を出したこともあったし、ホテルのオートロックから出てしまってお部屋に入れなくなったこともあったし、家に入れなくなったこともある。血は争えないのだ。私が帰省する時はいつも冷蔵庫に私の好きなお酒を買っていてくれる。お出かけする時は絶対ハンカチをポケットに入れていて、ティッシュも目薬もカバンにはいってる。服が好きだけど、我慢して全然買わない。毎日のように飲みに行ってたこともあったけど、今はお家で飲んでて、ギャンブルもタバコもやらない。得意料理はニラ玉と、豚汁と、おでんと、焼き鳥。お母さんがいない日、ミルフィーユ鍋を作ってくれたこともあったなあ。小さい頃は出張が多くて、出張先でいつもお土産を買ってきてくれてた。ハム太郎のパスケース、今でも覚えてる。プールも、海も、釣りも、虫とりも、ゲームセンターも、ショッピングモールも、公園も、たくさんたくさんつれて行ってくれて、釣りや虫取りに行く時の、深夜もしくは早朝、お店に寄ってくれて、お菓子を買ってくれて、まだ暗い中、非日常感のあるあの瞬間が大好きだった。海でみんなで食べるお母さんのお弁当も、諫早のムツゴロウ公園も、すごーくすごく覚えてる。私と私の友達を、暑い夏の日、グリーンランドに連れて行ってくれたこともあった。大人になった今、元気でわがままな子供を連れて出かけることがどんなに大変かが死ぬほどわかる。子ども三人を育て上げて、大学にいれることがどれだけ大変なことががわかる。私が大学に入る時、パパが脱サラした。仕事をしないで家にいる時期が三ヶ月ほどあって、家に帰るとおかえりって玄関まで出てきてくれる。なのに私は、なんでいるの、これから仕事はどうするのってイライラして、冷たい態度をとった。何十年も同じ会社で働いていたこと自体すごいのに、家族のために頑張ってくれていたのに。去年の夏パパと飲んだ時、亡くなったパパのお父さんの話をしながら、今でも心臓マッサージしながらどうしますかって聞かれた時のこと覚えとる、もっと優しくできてたらって泣いたパパのこと忘れない。自分が成長するにつれて、パパが怖い、というよりも、それはお父さんの性格で、昭和で生まれ育った家長制度の名残で、私のおじいちゃんにあたるお父さんのお父さんの教育や生き方によるもので、私たち子どもに対する愛情で、不器用さである、ということに気づいた。
そんなパパの話。

ゆうきくんと同棲をしようと思ってる、って言った時、パパは、結婚前に同棲なんて!と言った。お兄ちゃんはしてるのに、男の子と女の子は違う、と言われた。ママはいいんじゃない、という感じだったから、さてどう説得しようかと、ママにどうしたらいいかな?と聞くと、普通にいいなよ。今度電話しようと言われた。電話して、最初はママと他愛無い話をする。じゃあパパに代わるね〜って言われて、代わって、どこから話せばいいの?ママからパパになんか話してる?って緊張しながら、当たり障りない話をする。仕事はどうなると?って言われて、6月まで今のとこで働いて、7月は有給。っていったら、ふぅん。それで?って言われた。誘導されている…!と思いながら、それで〜、彼氏と同棲したいと思っとる。て言う。どがん人、て言われて、建築事務所で働いてる、優しいよっていう。そしたら、優しいとかじゃない、優しいなら俺も優しかもん(ママ後ろで大爆笑)。なんかあった時に、みくのこと守ってくれると?都会は色々あるけん、事件とかに巻き込まれんか、それだけがいつも心配かとよ。なんかあった時、守ってくれずに逃げるような人もおるやろうけん。って言われる。ほんとは結婚前に同棲とかも、昔ならありえん話やし、俺からしたら知らない人やし、順番が違うんじゃ無いかとか思うこともあるけど、まあ色々考えとるとやろうけん言わんけど、でも同棲したけん、お父さんお母さんに行ったけんって結婚せんばとかそういうことじゃないけんな。嫌やったり我慢するようなことのないようにせんば。お父さんはお母さんと逆で、悪いほうに悪いほうに物事を考えてしまうけん、お母さんと2人で割れたら丁度いいとやろうけど、俺はみくちゃんば守ってくれて幸せにしてくれるならそれ以外は望まんとよ。彼氏のおるけんってさきちゃん(妹)とも遊んでやらんばって言われて涙が止まらん。うん、うん、ありがとうて言いながら、こんなこと考えてるんだなあ、愛されてるんだなあと思う。最後にお母さんに代わるねって言われて、お母さんに代わって、お母さんが、私たちは昭和だからね〜 ゆうきくんのお母さんたちも、同世代だろうから、同じような考えだと思うよ。お父さんには色々ごちゃごちゃ言わんとよって釘刺したとけどね〜笑 って言われて、うん、ありがとうね、また色々決めたら言うねって言っておわる。

お父さんとお母さんに、だいじにだいじに育てられた私だから、ゆうきくん、だいじにだいじにしてよね。ゆうきくんのお母さんとお父さんも、だいじにだいじに育てた自慢の息子だろうから、私もだいじにだいじにするからね。
って結婚するみたいになりましたけれども、同棲の件、一件落着(?)。パパもママもだーいすき!

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