深紅の摩天楼と動物園➀

マサとの面接を終えた私の感想はシンプルに「この会社は大丈夫か・・・?」ではあったが、好奇心に負けて転職を決めてしまった。
今まで遭遇した事がないタイプの人間への出会い(もちろん悪い意味で)への期待と、少なくとも提示された仕事内容自体には関心があったからだ。

勤務場所はクライアント企業内。つまり常駐型である。しかし、マサがいるオフィスでは色々気になって集中できないので、私にとっては幸運だったのかもしれない。

私は常駐する事になったオフィスはある川沿いにある大きなビルだった。私はそこを深紅の摩天楼と呼ぶことにした。由来は・・・想像にお任せします。そこにはすでに私の部下になる社員5人とアルバイトが30人前後が常駐していた。
出勤初日、前述した今までにないタイプの人間への遭遇という期待は脆くも崩れ去った。私の下に付いた職の4人を紹介しよう。

台湾メスゴリラ:常に発情期なのか疑うほど露出高めの服を着る30代前半
身長は160後半で体重も70キロ越えは確実なおばさん。

タイガーウッズ:20代後半の性欲異常者。見た目は一瞬だけ坂口健太郎に似ているがよく見ると全く似てない。身長170後半で体重60キロ台と思われる。

AIボーイ:20代半ば。顔に感情が出ない上に話し方も暗い。一方未経験ながら独力で一定のプログラムを組み上げる天才。

なまず:30代前半の女性。身長150前半、体重80キロ前後であろうゲーマーで社会人経験が乏しい。前から歩いてくると冷蔵庫が向かってくるような圧迫感が出る。

果たしてこれを人間と呼んで良いのだろうか・・・ちなみにAIボーイ以外はいずれもトンデモない事をやらかしてくれたので、今後をそれの出来事も書き残していきたいと思う。
ちなみにアルバイト達も社員に負けない、と言うよりは社員が足元にも及ばないくらいに猛者たちである。いつかここにも触れていきたい。

さて、本題に入ろう。私が出勤した初日、クライアントとのMTGがあり前後の流れを知らない私は自己紹介をした上でMTGを見守った。内容は簡単には言えば成果報告である。難しい事ではないはずが、ATボーイのファシリは最低レベル未満であり、報告書もその体を成していなかった。私は動揺を隠しながら、MTGを観察していたが案の上のクライアントから「そこそこ」厳しい言葉と恐らく本心からの労いの言葉があった。なぜ労いの言葉あったか後々わかる事なのでここは割愛しよう。

問題は報告のクオリティの低さであったらが、私はATボーイの責任ではないと感じていた。なぜなら、このチームの責任者はマサであり、後任の私が着任したのが報告会当日だ。なぜマサはこの場に居ないのか?なぜ資料をチェックしていないのか?なぜ、ここまで不慣れな若者に任せているのか?など疑問だらけだった。最も、この時点である種の確信めいたものは持っていた。
MTG後にATボーイを捕まえて話をする事にした。結果としては私の読みは当たっていたのである。
続く


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