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「食は遊びじゃない」。食肉料理人集団ELEZOとは?〜イケウチのタオルから探す旅行ガイド1〜

いつか泊まってみたい宿がある。1年後なのか、5年後なのか、はたまた死ぬまでに泊まりたいのか。時間軸は異なるが、きっと誰もがそう思う宿の1つや2つはあるのではないでしょうか。

北海道の帯広空港から1時間ほど、人口3000人ほどの小さな街、豊頃町には食肉料理人集団ELEZOが始めたオーベルジュがあります。

もともとはIKEUCHI ORGANIC在籍時に、お客様に喜んでいただけるようなタオルを探していると、オーナーの佐々木さんがおしぼりやバスローブを見に来てくださったのがきっかけです。

その時はタイミングが合わず、僕は直接オーナーさんとお話することができなかったのですが、1本の動画を紹介されます。

動画を見た瞬間、尋常じゃないというか、狂気の沙汰を感じるような食へのこだわりを感じました。ジビエ料理が特別好きなわけでもなかったけど、たまたま地元の好きなレストランでELEZOの鹿肉を扱っていたり、知人が実際に行って絶賛していたのを聞いて、いつかはこの場所に行こう、そう思う事1年、ようやくELEZO社に行くことができました。

書きたいことは山ほどありますが、ELEZOは、宿泊施設、レストランの外観や内装から食材まですべてにおいて尋常じゃないこだわりをこだわりを感じる施設です。

画像転載:CREA
https://crea.bunshun.jp/articles/photo/39531

外観も、少し宗教施設っぽい、独特な雰囲気。真ん中の照明に照らされた入り口から入ると、食肉と料理人が組み合わさった写真が迎えてくれます(ちょっとこの時点では引いていました笑)

画像転載:CREA  https://crea.bunshun.jp/articles/photo/39531

中に入ると待合室があるわけですが、映画館のような椅子に座らされて、少し待ちます。これから何が始まるのか・・・それは行ってからのお楽しみ。

画像転載:CREA https://crea.bunshun.jp/articles/photo/39531?pn=3

いよいよメインの会場へ。妻と僕は「あ、自分はもしかしたらこの場所で猛獣に食べられてしまうかもしれない」と冗談抜きで思いました笑 それくらい緊張感のある、独特な空間です。

画像転載:CREA  https://crea.bunshun.jp/articles/photo/39531?pn=22

ピンと張り詰めた緊張を察したのか、オーナーの佐々木さんやスタッフさんは、僕らをほぐしてくれるように時折面白い話をしながら、料理を待ちます。

料理の感想は、いろいろなメディアで取り上げているので、ここでは多くは語りませんが(CREAの記事が詳しいのでリンクを貼っておきます)苦手意識のあったジビエがこんなにも美味しく、愛おしく感じる瞬間はないといえるほど特別な体験でした。

食事の時間は3時間ほどでしょうか。1品1品、丁寧に説明をしてもらえますが、あぁ、この強いこだわりこそがIKEUCHI ORGANICのタオルとの共通点だ感じました。
タオルの話にもなり、佐々木シェフは「有名無名は関係なく、本当にいいものをお客様に提供したい。実際にお店で体験して、説明を聞いて納得できた」と話していたのが印象的でした。



食事で提供されるおしぼりもそうですが、宿泊施設のタオル、そしてお風呂から上がった後のパジャマも、IKEUCHI ORGANICのポンチョです。

スタッフさんいわく、泊まりに来る方の評判も良く、著名な職人さんが泊まりに来たときも感動されてどのメーカーが作ったのか?と問い合わせがあったようです。

もしかしたら、ELEZOはIKEUCHI ORGANICのファンの方に一番行ってもらいたい施設かもしれないです。考え方、哲学が似ていて共通点が多いんです。

動物の命を無駄にしないよう、あらゆる部位を使って料理を提供すること。自ら育てた・狩猟したもののみ採用しているから、そのお肉はどんな場所でどこから、どのように育てられてきたのかが、スタッフ全員が理解しています。

印象的だったのは、もともとはスーパーの畜産売り場で働いていたスタッフさん。ここにくるまでは、その食材がどのように作られているか、なんて想像もしたことがなかったと。

この魚は~産で、とかオーガニックで~とか、ありきたりな言葉で説明するのではなく、自身の体験が言葉として落とし込まれています。時にはスタッフさんも狩猟に一緒に行き自ら体験することも。

ELEZOは、生産狩猟部門、枝肉熟成流通部門、シャルキュトリ部門、レストラン部門の4部門にわかれていますが、カウンターにはレストラン部門以外の方が立つ時もあります。

渋谷の松濤にお店を構えていた時もあるそうですが「お客様の声、顔を直接感じて喜んだ顔を見たい」という思いが強く、帯広の地にオーベルジュを開きます。宣伝らしい宣伝もせず(広告)、お客様からお客様へ伝わり広がっていくELEZOのオーベルジュ。

パンフレットの最後にはこんな言葉で締めくくられています。

「食は遊びじゃない。」

この言葉の意味がELEZOでの宿泊体験を通して、真実であることが理解できるようになります。

食べる前までは、エンターテイメント性を感じる舞台と感じましたが、食事をすると、どんな人でも真剣に「食」について考える時間になるでしょう。

もちろんタオルとポンチョの心地よさに触れながら。



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