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クラファンでできること、コミュニティでしかできないこと

私のこれまでのキャリアはEコマースの経験が長いのですが、その間にクラウドファンディングが応援購入という形で瞬く間に成長する姿を見てきました。私自身は、今年の5月からはオンラインコミュニティの会社に転職しましたが、オンラインコミュニティは、クラファンとはまた別の強みがあると感じています。

今回のnoteでは、クラファンでできること、オンラインコミュニティ(応援団)でできることについて書いてみました。思ったより長文になりましたが、継続的な支援をどう作っていくか?を考えている人にはお役に立てる内容かもしれませんので、よかったら読んでみてくださいね。


クラファンの瞬発力

ハマった時のクラファンの爆発力はすさまじいものがありまして、ECの鉄則である予約販売を見事に応援購入という形に変えたことで、瞬く間にお金が集まるのは本当に凄いことです。

クラファンのピークが集中しすぎる問題

ただ、クラファンが万能かというとそうではありません。当然ながらクラファンのピークは開始してすぐのタイミングと、最終の締め切り間近で売上の大部分を占めるのでは?と思うほど、応援が集まります。

初動と最後の駆け込みで、達成度合いがわかるので売る方も支援する方もお祭り感覚で必死になりますが、実はそれ以外の期間って、少しもったいないんですよね・・・特に大きなヤマがあるわけでもなく、少し売上が寝てしまうように見えます。

なので、中間地点でも、新商品に関連する追加情報や、中で働く人を見せたり、イベントを開催して盛り上がりが外に伝わると、もう少し増やせるかもしれません。

クラファンと店舗はもっと連動できる

小売店とクラウドファンディングの連動もできるかもしれません。当然ながらクラファンをすると、店頭の売上にはつかないので、なかなか店舗で告知することはできません。

店頭でも告知させてもらう代わりに、その店舗経由の売上は店舗に還元する、または次に店頭でリピーターとして店頭で買うときは、特典をつけてお渡しするみたいに、クラファン実施中に小売店を巻き込めると、さらに良いのではないかと考えます。

クラファンは書店でいうAmazonのような役割で、クラファンで話題になるから、小売り店の発注が増えるという図式も理解できるんですが、店頭の予約販売(クラファン連動)ってまだまだ可能性が残されていると思うんです。この辺は長くなるので割愛しますが、実店舗での売上をいかに作れるか?はブランドの強さと相関関係にあると考えます。

クラファンとオンラインコミュニティの違いとは?


クラウドファンディングのメリットは、応援したいと思ったら気軽にサポートできること、そして支援したことを外に拡散できることです。外に拡散された投稿の盛り上がっている様子をみて、気になる人がさらに支援する構図です。

一方で、支援した人同士の交流(横の繋がり)はクラファンだけで行うのは難しく、多くの場合はブランド側とのやり取りは1:1に限定されます。クラファンの機能でお客様へ発信できる機能や、支援者が応援コメントを残すこともできますが、横の繋がりはできません。

では、お客さん同士の横のつながりを作ることができるのが何かというと、オンラインコミュニティです。

左:SNSやクラファン 右:横のつながりができるオンラインコミュニティ

SNSやクラファンでも応援者は作ることができます。ただ、応援者同士がもっと横につながることができたとしたら、もっと大きな動きになる可能性はありませんか?ということです。

さらに、横の繋がりといっても、コミュニケーションツールが初対面の人同士でも、すぐ仲良くなる設計であることが極めて重要です。

FacebookグループやSlackをイメージしやすいですが、既存のコミュニティの中に新しく入って、仲良くなるのはなかなかハードルが高いです。その理由は、初対面の人のパーソナリティが、わかりづらい点にあります。

もちろんすべてのコミュニティにおいて、横の繋がりが必要なわけではありません。いわゆるオンラインサロンのような、オーナーの情報に価値を置いている場合は、横の繋がりを求めていない場合も多いです。

コミュニケーションの鍵は、情報交換ではなく、感情交換

仕事上では、slackのように効率的に情報を共有しあい、余計な感情をはさまずにコミュニケーションをとる方が圧倒的に向いています。

もしご自身のブランドやコミュニティで、もっとお客様同士の繋がりを作りたい場合は、既存のグループチャットではない方が良いでしょう。その理由は、オンラインコミュニティの横の繋がりは、単純な情報交換ではなく、感情交換になるからです。

左:オシロ社のある社員の実際の日報本文 右:日報への社員からの実際のコメント

詳しくは、オシロの社長杉山さんのnoteに記載していますが、私たちが推奨するオンラインコミュニティは、メンバー同士も交流できる関係性が大事だと考えています。

お互いの熱量や感情を分かち合う、つまり人と人が仲良くなって、お互いを認め合いながら絆を育んでいく居場所が、理想的な豊かなコミュニティの姿と定めているからです。

継続的な支援の仕組みは、サブスク型コミュニティならでは

クラウドファンディングは新製品の発表の場として、お祭りのような雰囲気を持っています。この雰囲気が購買意欲を高め、支持を集める要因となっています。

一方で、継続的な支援に向いているかというと、難しい側面があります。もちろん、クラファンのメニューでサブスクサポートはありますが、主催者からの情報提供であることがほとんどで、ブランドと顧客、顧客同士の繋がりは難しいです。
難しい理由は元々の設計が顧客同士を繋げる設計になっていないからです。

でも、ほんとうに好きなブランドなら、ずっと応援したいと思うのが自然な流れではないでしようか。

私たちはクリエイターさんやブランドのコミュニティをこれまで300以上立ち上げ、支援していますが、コミュニティができることにより、応援者から、応援団に変わりうねりが大きくなる例をたくさん見てきました。

ロイヤリティプログラムとコミュニティを共存させたブランドの例

ECの場合はサブスク型のコミュニティというよりも、サブスクリプション(定期購入)を活用するケースが多いです。
通常のサブスクとサブスク型のコミュニティとでは何が違うのか?という疑問が生まれるかもしれません。

サブスクリプション(定期購入)は、定期購入する際に、ディスカウントや特典がつくのが一般的です。

サブスク型のオンラインコミュニティの場合は、何か特典やディスカウントといった目に見えるメリットを期待して入るというよりも、スタッフやブランドの中をもっと知りたい、同じ趣味嗜好を持っているユーザー・ファン同士の交流を求めて入会するのが一般的です。

先日、とあるブランドの方が、ECのロイヤリティプログラムを運用しながら、OSIROのコミュニティを導入する決断をしました。

もし自分がブランド(EC)責任者なら、ロイヤリティプログラムを導入していて、コミュニティをさらに導入する決断はできないので、正直かなり驚きました。普通なら、ロイヤリティプログラムやCRM施策で全体を管理すれば
問題ないと考えるからです。

理由を聞いてみると、先に挙げたファンのタイプが異なるのが要因でした。つまり、ロイヤリティプログラムは、たくさん商品を購入した人が優遇を受ける仕組みですが、本当のファンはそれ以外にも存在するから、その人たちのことも大切にしたいという考えです。

ここに気づいている人は、そこまで多くないと思っていますがお客様と日々向き合っていると、購入金額が高い人だけが優良顧客であるわけではありません。

3種類のファンのタイプ

「ファン」と一言で言っても、いろいろな種類のファンがいます。Commune Community Lab 所長黒田さんのnoteにも、ファンのタイプがわかりやすくて分かれていますが、愛用、共感、支持と3つのファンタイプの説明はとても参考になりますので紹介させていただきます。


私自身がブランド側にいた時も、年代や性別関係なく、様々なタイプのファンの方がいると実感しています。もちろん3つどれもあてはまる方もいますし、1つだけ当てはまる方もいます。

ブランドの魅力を伝えたいら応援したいと思ってくださるファンと共創できるのも、コミュニティならではです。

内輪受けのコミュニティから脱却するには?


コミュニティには興味があるけど、懸念として必ずといっていいほど挙がる点があります。「コミュニティって内輪受けみたいになりませんか?」という質問です。

これはオンラインに限らず、リアルのコミュニティによく起きることですよね。僕なんかは人見知りなので、初心者が入りづらい設計になっていると、馴染めずにすぐに抜けてしまいます。

オンラインコミュニティも同じです。周りが盛り上がってる中に入るのは、相当な勇気が入ります。こういう一人ぼっちの状態を作らないために、コミュニティに入ってから自然と馴染めるような設計をする必要があります。

具体的にはファン歴や知識の差でファンの階層を作らないことです。それにはどんな人にコミュニティに入ってもらいたいから?どんな言動を謹んで欲しいか、言語化しておく必要があります。

OSIROのコミュニティでは、グッドエルダーズというコミュニケーションデザイナーの佐藤尚之さんが主宰する、50歳以上を対象にしたコミュニティがあります。


コミュニティの説明ページでは、参加ルール:. いばらない・おこらない・否定しない・説教しない。 と明確にふさわしくない行動を定めています。

どんな場・コミュニティを作っていきたいか?を丁寧に伝えることができれば、トラブルが起こる可能性は限りなく低いです。

そして、いかに新規のファンを増やしていくか?もコミュニティが自然に成長するポイントになりますが、初心者の人でも入りやすいよう敷居を下げることも大事なポイントです。

もう1つ事例を紹介します。芥川賞作家の平野啓一郎さん主宰の「文学の森」というコミュニティがあります。読書会、さらに海外文学というと敷居が高く見えますが、コミュニティを紹介するページに、「読書にレベルはありません。これまでの読者冊数が少なくても、読書への情熱があれば大丈夫」と書くことで、初心者の人でも入りやすい設計になっています。オープンしてから、順調に会員数を伸ばし続け、自然な盛り上がりを見せています。

コミュニティを構築する上で、最初の設計が肝であることをお伝えしましたが、どんなブランド・企業でもコミュニティが効くわけではありません。

企業の日頃の情報発信やお客様とのコミュニケーションをする際に、本当にお客様のことを大切にしているブランドであれば、コミュニティはかなりの確率で上手くいきますが、そうでない場合、特にお客様を利用しようとする思想を持つブランドは、上手くいかないでしょう。

オンラインコミュニティはクラファンと違い、すぐに効果が出るものではないので導入するのにも一定のハードルがあります。最初はマンパワーで一人ひとりにコミュニケーションをとっていく方法が最善かと思いますが、コミュニティによる仲間づくりを設計し、自分たちの直面している悩みや困っていることなどすべてを正直にさらけ出すことで、きっとなくてはならない応援団になっていただけると思います。

最後に、クラファンで初期メンバーの仲間を募集して、オンラインコミュニティを作ることでオーナーさんとメンバーさんが共創して素晴らしい場になっている「空に架かる橋」という、全国の特別支援教育に携わる教職員同士でつながるコミュニティを紹介いたします。

ブランドや事業に限らずオンラインコミュニティでオーナーさんとメンバーさんが良い関係になっている例はたくさんありますので、皆さまのヒントになる例をこれからも紹介していきたいと思います。

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