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しがく 詩集

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言葉を信じるために。『しがく』
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記事一覧

朝靄

悲しいうた
きえないくも
あさがきて
ねむりからさめた


じてんしゃにのって
遠くまで来たぼく
朝もやのなか
田んぼのはしから
太陽がのぼった
すぐそばで

冷たい空気が
肺をみたして
ぼくはおとなになった
#現代詩 #詩

暇 と 座って

もう 上がらなくていい 坂
止まって止まって 縁側で
横なってる おねえさん
うちわを仰いで 庭見てる
気持ちいい風に 風鈴が
そよいで 鼻歌 歌ってる
#詩

いきる

あさがきて
がっこういくの
あきがきて
ひとつのところに
とどまれないたましい
きたないことも
きれいなことも
したりないたましい
うそをつく
ほんとをいう
しんじてみる
うらぎってみる
かぜふく
かぜをひく
ねないでいる
たましい
くもながめる
わすれてみる
せんせいいない
おとうさんも
おかあさんも
いない
ひとりであるいてみる
たよってみる
すなのうえ
ねころがる
ほしがみえて
なみだがでる

もっとみる

かなで

私は自分の中心部に
むかって詩を読む
雪のように 降らせてみる

そうする内に私の空白は
ある一定の音を 奏ではじめる
その音は反響し
身体(からだ)全身を満たす

音楽は波を生み
波はまた音楽を生む

波長の長い音は 遠くまでとどき
だれかの空白を満たすだろうか

私の中心にはなにもない
しかし見えない
時だけがそこにはある

雪の空 一人座るこどもが
そこには居る
#詩

しんじる

ぼくはきのゆれをしんじる
みずのつぶやきをしんじる
かぜのなきごえをしんじる
つちのあじをしんじる
ぼくはぼくのことばをしんじる

ごまかしいらない

よそくもしなきゃもないせかい
ぼくはそこのいきもの
だけをしんじる

「詩って」

詩って意味ないよね
君は言う

そう 意味ない
僕は言う

だから意味があると
続けて僕は言う

意味に溺れないように
詩が居る
存在は必然で
意味を求めない

期待しない
お金持ちを
期待しない
美人を
期待しない
価値観を

詩はただ黙って佇む
聴いてるようで聴いてない
意味は勝手に見つけてね
なんて言ってくる

僕より夏で
僕より僕で
君より君だ

僕の母で
僕のやること
なすこと
ほほえん

もっとみる

未知との遭遇

あまりにも、似つかないかな
わたしこの世界に
なにしにきたんだろ

宇宙船できたはずなのに
記憶がない

漂ってみたけど
人間 わたしにきづかない

ネオンが眩しくて都会は避ける
鳥と、猫と、森にわたしはきづく

だけど少し違くて人と話したくなる

言葉をおぼえて
学校にもかよってみたけど
なんだか息ができなくなって
にげだした。

あぁ、だれかむかえにきてほしい。
わたしの星へ連れ帰ってほしい

もっとみる

詩 神さま

あの人とあの人の間

言葉と言葉の間

引き離されたものがもう一度交わる場所

それがわたしとあなたのあいだ

愛だ

あいだ

太陽と地球の間

地球と月の間

優しく響く愛だ
#詩 #cakesコンテスト

夜 詩

夜がなければ月は見えない

月がなければ夜もこない

かなしさもたのしさも
ただ裏を返したわたし自身

写ったものは消せないけれど

返せない過去が無いように

鏡もまたいまをうつすだろう

ただ その月をうつすために

水面の下に私はいる
#詩 #cakesコンテスト

ゆるやかな午後

ゆるやかな死

ゆるやかな回復

ゆるやかな坂

僕らはくだる

ネコさん

ネコさん、ねている
 ネコさん、ねている

あくびを、たまにする
 しろくて、ふわふわねている

となりで、くろネコさんもねている
 しょうがなく、しろネコさんを
  ささえながら
#詩

脊髄、脳、身体

じぶんをけいさんしようと
 するあまり、からだは
  わりきれないと、叫んでます

その式が正しいあまりに
 脳は、だまされる
  
しんじつ、うそはっぴゃく
 詩も、うそはっぴゃく
  だけど、だまそうとせず

ただ、わらうだけ
ただ、いるだけ

遊び

きのえだ、なげた
あっちむいた

きのえだ、なげた
こっちむいた

なんかいもなんかいも
くりかえし、あそび

つかれて ねむる
#し #詩

詩人はウソつく
ただ囁くように

ホントはうるさい
生きてるだけで耳にする

だから人はたまに
詩を聴きたくなる
#詩