見出し画像

不妊治療をやめるとき

不妊治療はやめるタイミングが難しい。
かかる労力もお金も莫大なだけに、
あと1回やれば結果が出るのでは、と思ってしまう。

私の場合、幸か不幸かドクターストップがかかった。
筋腫の手術ができないと、これ以上何かを改善することはできない。
採卵と移植を続けることはできるが、
結果が伴わない治療を体に負担をかけて続けることはお勧めできないと。

受精卵に問題があれば、それを改善する治療法を試すことができる。
でも、私の場合、卵は無駄にグレードがよかった。
夫の方も運動率が低いと顕微授精になると言われ、
「大丈夫でしょうか?」と確認したとき、
看護師さんが思わずフッと笑って「全然問題ないですね」という
驚異の運動率94%をたたき出していた。
なので、受精卵も育ったコたちはみなさん優秀だった。

問題はそれが育つ土壌がボロボロだったことだ。
筋腫の突起した部分には着床することができない。
なので、私のように筋腫だけの場合、筋腫と筋腫の隙間にある、
わずかな正常な内膜に着床してもらうしかない。
しかも、その内膜も着床に必要な厚さになかなかならず、
受精卵は根付く場を見つけることができず、消えてなくなってしまった。

内膜については薄くても関係ないという説もあるようだが、
一般的にある程度の厚さが必要と言われており、
病院での処方薬のほか、サプリなども飲んでいたけれど、
あまり効果はなかった。

おそらく手術が原因だと思われるのだが、
子宮内に水がたまることも多く、
それによる移植見送りも何度か経験した。

毎回、移植にたどり着くことさえ難しかったうえに、
さまざまな先生から自らの子宮の状況について説明を受け続けた私は、
意外とあっさりと不妊治療の終了を受け入れていた。
先生の方が「筋腫を少し削ればいけると思ったんですけれど」と無念そうだった。
40代後半の患者さんも多いこの病院で、41歳での治療終了は早い方だったと思う。
「お役に立てずに申し訳ない」と本当につらそうで、
一人ひとりにこんなに真剣に向き合ってくださって、
ありがたい反面、先生のことが心配になるほどだった。

この病院の初診から2年、不妊治療の開始から4年、
私の不妊治療は幕を閉じた。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?